北奥法律事務所

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10月

空家問題や「お隣さんから降って湧いた災難」の費用保険と行政支援

先日、法テラス気仙のご相談で、「隣の家の木の枝が越境して雨樋に落ち葉が溜まるなどの被害に遭って困っている」とのご相談を受けました。

それなら土地の所有者に切除請求(民法233条)すればいいじゃないかと思ったら、案の定というか、所有者はすでに亡くなり法定相続人は相続放棄したようだとの説明がありました。近時は、こうした「問題が生じているが、解決を申し入れるべき相手が誰であるか判然としない」というご相談は珍しくありません。

そのため、私からは、

①その問題を解決したいのであれば、所有者の相続人の調査(相続放棄したのであれば、申述受理証明書の交付要請を含め)を行い、その上で、相続財産管理人の選任を申し立て、選任された管理人に対し切除請求をするほかないこと、

②相続財産管理人の申立・選任の際は、当該所有者(被相続人)に十分な金融資産があることが判明しているのでなければ、相応の予納金の納付=自己負担が必要となること、また、選任申立も弁護士等に依頼するのであれば、一定の費用を要すること(フルコースで40~50万円前後?)、

③その上で、所有者が無資力(問題となる土地以外には資産がない)とのことであれば、管理人の同意を得る形で、自己負担で切除作業をするほかないこと、

④但し、その土地を売却して十分な現金が形成できるなら(管理人は職責としてそれを行う必要がある)、予納金の自己負担はなく、債権者として切除費用等を回収できる可能性があること、

を説明しました。ただ、毎度ながら、そうした問題を相談してくるのは高齢の方(しかもお一人)というのが通例で、ご自身では手間も費用も負担困難との理由で、そのまま放置(或いは、実害がないので違法を承知で仕方なく無断切除する)という展開もありうるのかもしれないとは感じました。

こうした問題に限らず、近年は「隣地に何らかの問題が生じ、当方の所有地(自宅等)に何らかの被害が生じているが、隣地所有者側にはきちんと対処できる者がいないというケースは、年々増加していると思います(上記のように死亡→全員放棄のほか、所有者が存命なれども「困った人」であるとか、所在不明、要後見状態(かつ後見人等の選定なし)といったパターンもあります)。

無縁社会・人口減少社会などと言われる現代では、そうした現象が生じるのは避けがたい面がありますが、その近所で生活する方にとっては、自身に何ら落ち度がないのに、突如、著しい手間と高額な費用を投入しなければ解決できない問題に直面することを余儀なくされるため、どうして自分が重い負担を強いられなければならないのかと、強い不遇感に苛まれることになると思います。

そこで、例えば、そうした問題に対象できる保険制度があれば、被害を受けている近隣住民は、保険会社に申請すれば、保険会社が代理人(弁護士)を手配して上記①の調査や申立を行い、相続財産管理人の予納金や被相続人が無視力の場合の切除費用も保険で賄うことができ、さしたる労力や出費を要することなく、一挙に解決することができます。

これに対し、そのような都合よい保険制度が簡単に構築できるわけがないじゃないかと言われるかもしれませんが、上記のようなケースでは、不動産の売却して十分な売得金が得られれば、その代金から上記の各費用の大半ないし全部を回収することも不可能ではなく、保険会社の「持ち出し」を抑えることができることができるはずです(保険金支払により債権が保険会社に移転するタイプの保険を想定しています。なお、ご相談の件は無担保でしたし、そうした事案では無担保が珍しくありません。むしろ抵当事案の方が、競売により買受人が対処してくれる期待が持てるとすら言えます)。

よって、保険会社側にもさほどリスクの大きくない保険として早急に導入を検討いただいてもよいのではと思われます。少なくとも、相続財産管理人の申立や管理人として実務を担う弁護士の立場からすれば、当事者が一定の経費と若干の手間さえかけていただければ、概ね確実に解決できると感じるだけに、そうした問題が長期放置されることなく解決に向けて進めることができる仕組みを整備して欲しいと思います。

単独の保険として販売するのはハードルが高いでしょうが、火災保険などに附帯する特約として少額の保険料で販売すれば、相応の加入は得られると思います。そもそも、上記のようなケースでは保険会社の持ち出しも大した額になりませんので、弁護士費用特約のように少額の保険料で十分のはずです。保険の対象範囲を、空家問題だけでなく騒音など生活トラブルに関するものも含めれば、かなりの契約者が見込めるかもしれません。

さらに言えば、そうした保険商品が世に出るまでには相当の年月を要するでしょうから、少なくとも上記のような「相続放棄された土地の売却で概ね債権回収ができる事案」に対しては、行政が当事者に費用支援する(その代わり、支援した費用は債権譲渡等により行政が直接に売得金から回収できるようにする)という制度(行政の事業)が設けられてもよいのではと思います。

相当の債権回収ができる(いわば行政が立替をするに過ぎない)事案なら税負担もさほどのものではありませんし、それが「お試し」的に行われ、保険料を払ってでも利用したいという層が相当にあることが確認されれば、保険制度に引き継ぐ(行政は撤退する)こともできるはずです。

なお、上記の制度を構築するにあたっては、現在は「自腹扱い」とされるのが通例となっている相続財産管理人などの申立費用も事務管理などを理由に優先回収を認める扱いにしていただきたいと思っていますし、そのためには、行政・保険業界と司法当局(家裁や最高裁?)との協議などが必要になるのではと思っています。

ここ数年、配偶者や子のない高齢・熟年の方が、自宅不動産+α程度の資産だけを残して亡くなり、親族が相続放棄するため、その物件の管理や権利関係の処理などが問題となる例は多く生じており、私にとっても相続財産管理人の受任事件は、成年後見関係と並んで、ここ数年では最も受任件数が伸びている類型になっています。

特に、冒頭の事案のように、やむを得ない相続放棄などにより管理者不在となっている空家が増え、それが社会問題となっているという現状にあっては、それにより被害を被っている関係者の自主的な努力にのみ委ねるのではなく、負担の公正な分配を確保し、ひいては予防などに繋がるような仕組み作りが問われていると思います。

余談ながら、少し前に、法テラス気仙の相談件数が減少し存続が危ぶまれているという趣旨の投稿を書きましたが、運営者たる法テラスのお偉いさん方も、例えば、今回のように「実際の相談事例をもとに地域社会に注意喚起や問題提起をするような記事」を担当弁護士、司法書士らに作成させ、それを月1、2回の頻度で、自治体の公報や地元の新聞などに掲載させるなどの努力をすれば、かなり違ったんじゃないのかなぁと思います。

少なくとも、私がこんなところでボソボソ呟いていても、社会を変えることは微塵もできないでしょうから・・

この日の気仙の山々は紅葉のピークに入り、里の彩りは11月上旬ころまで続くと思われます。皆さんもぜひ、お出かけになって下さい。

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相続セミナーと夫婦岩

半年前の話で恐縮ですが、今年の春に明治安田生命さんから相続セミナーのご依頼を受け、岩手県内の5ヶ所(盛岡、北上、水沢、久慈、一関)で実施しました。1月にも同じ内容のセミナーを実施しており、前回の反省を踏まえて若干の修正をしてお伝えしました。

3月末は裁判所の都合により法廷が全く入らない時期になるのでお引き受けできたのですが、毎日のように自動車や新幹線で県内各地の長距離移動を余儀なくされ、講義の時間も含めて肉体的にはしんどい面はありました。幸い、受講者の方々からは概ね好評をいただいたようで、その点はホッとしています。

久慈のセミナーでは営業所のご希望で午前と午後の2回に分けて実施したのですが、昼休みに小袖海岸の「つりがね洞」に行ってみたいと思い、現地に向かったところ、小袖海岸の入口が通行止めになっており、山側に迂回路があるとの表示がありました。

そのため、片道5分程度で済むのならまだ時間はあると思って迂回路に向かうと、10分以上も山道をウロウロする羽目になり、最後に海女センターに到着したのですが、滞在できる時間が全く残っておらず、やむなく海岸の立派な夫婦岩と「じぇじぇじぇの碑」の写真だけを撮影して後にしました。

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そんなわけで、また時間のあるときに改めて来たいと思いますが、折角なので、この仕事を通じてお会いする様々なご夫婦や私自身のことも含めて色々と考えつつ一句。

たどり着くまでが じぇじぇじぇの 夫婦岩

先日も、離婚・不倫・親権など男女間紛争をテーマとするミニ講義の依頼をお引き受けし、11月13日(土)に実施予定となっていますが、今後も、相続の問題に限らず、様々な法律問題、裁判実務等についてセミナーなどのご要望がありましたら適宜お問い合せいただければ幸いです(私がどうしても口下手で早口なので、レジュメ依存の傾向があることはご容赦いただければと思いますが)。

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市役所が生じさせた不良債権に対し住民ができること

整骨院による診療報酬の不正請求に関するニュースは時折目にしますが、3年前(平成25年)に盛岡市の整骨院が診療報酬の架空請求をして支払を受けた後で自己破産をしたため、市などに8000万円を超える不良債権が生じたとの報道を見たことがあります。

当時の盛岡市は、この件や平川食品(地元の大手豆腐業者)の倒産などで市に巨額の不良債権が発生したとのニュースがよく出ており、4年前(平成24年)には市の発注工事で業者と市の担当者が詐欺・贈収賄で逮捕された事件もありましたが、それについても市に生じた損害が填補されたという報道は無かったと思います。

当時も今も、それらの問題について市の担当者などの責任を問う住民訴訟が起こされたとの報道もなく、昨年(平成27年)の盛岡市長選でもそうしたこと(具体的な予防策などを含め)が論点になることもなく、残念に感じています。

まあ、市長さんなどへの賠償請求を求めても、主導的な関わりをしていたのでもない限り判決を待たずに市議会の放棄議決で終了となってしまうかもしれませんが。

ですので、紛争をたきつける趣旨ではないのですが、市当局も、回収できませんでした、だけで終わってしまうのはあまりにも情けないというか、住民側が市政運営を監視し場合によっては関係者の責任を問うような、何らかの具体的な営みがあればと残念に感じてしまいます(市議会にその役割を求めるというのは無い物ねだりでしょうか?)。

行政の責任という点ではオンブズマンなどを称する市民団体の方により訴訟がなされる例も国内ではそれなりにありますが、現職・与党への糾弾を強く意識する政治色の強いものは私が関わることはないでしょうから、できれば「第二オンブズマン」とでもいうか、政治色の薄い「ノンポリ無党派の立場でも、これはいかがかという問題があれば、役所に物申したい(そうした形で市政参加ができる)」といった文化が形成されてくれれば、私にもお役に立てる場面が増えるのではと思われ、そうした萌芽が何らかの形であればと願っています。

「地方自治体の運営に対する監視」という点では、訴訟だけではなく、このブログでも以前から触れている包括外部監査制度もありますが、これも我が国(特に東日本)ではほとんど活用されておらず、可能なら、包括外部監査(専門家)と良識ある住民の双方による建設的な監視・関与の制度・文化が形成されてくれればと残念に思っています。

ジョークの類で恐縮ですが、新聞に入っている市民講座のチラシを見ていると、市役所が住民の法的素養を涵養するとの見地から、「初めての監査請求」「住民訴訟にチャレンジ」などという講座を開いていただいてもよいのではと思わないでもありません(弁護士も余ってきてますので、講師のなり手はいくらでもいますし。ただ、県内では住民訴訟の経験が豊富な人は恐らくごく僅かというのが玉にキズですが)。

私も、昔、本人訴訟で別な自治体を提訴していた方から法律的な論点について簡易な書面作成のご依頼を受けたことがありましたが、それ以外で住民訴訟に従事した記憶がなく、いずれの立場であれ関わる機会を与えていただければと感じています(ただ、行政が当事者となる訴訟は、いずれの立場でも大赤字になりやすく、なるべくボランティアではなく持続可能な程度の対価はいただければ幸いですが・・)。

余談ながら、当家は生協の共同購買を利用しているため、当時、平川食品さんの倒産で、これまで購入していた豆腐が入荷されなくなったというお知らせを見たときは、ちょっとしたショックというか寂しさを感じました。

(本稿は、平成25年6月に旧ブログに投稿した文章を微修正し再掲したものです)

地元自治体の代理人の悲喜こもごも

地方都市でしがないノンポリ町弁をしていると、いつかは地元の県庁や市町村などの代理人をやらせていただきたいと思うのが人情?かと思いますが、岩手に戻ってから十数年目にして初めて岩手県庁が当事者になっている裁判のご依頼をいただき、感無量などと思うゆとりもないまま、あくせく書面作成に追われています。

以前、県の様々な役職や顧問をされている大物の先生が「県の仕事って安いんだよね」と呟いていたのを聞いたことがあり、この点は全国共通らしいのですが、この件も、相手方の主張への対応もさることながら、ご担当の方が様々な資料等を送ってくるので、それらの確認、検討などを含めて必要となる作業量が膨大で、事件自体のやり甲斐や色々なことを学ぶ充実感に反比例して、経済的には泣きそうな思いをしながら仕事をしています。

時給換算では勝っても負けても事務所屈指の大赤字事件の一つになるのはほぼ確定ですが、当方に価格決定権がないことは申すまでもありません。

ちなみに現在の1位・2位は、今も延々と続く震災絡みの某大事件と、昨年末にどうにか終わった「子の引渡」などを含む深刻な夫婦間紛争だろうと思っています。もちろん、しんどい事件ほど大変学ぶところの大きいことも間違いありませんが。

一般論として、事件のスケールもさることながら、相手方又は当方のどちらかに「強烈な負の感情の持ち主」が絡んだり、私の介入前に錯綜とした紛糾状況が形成されてしまうと、説明なども含め非常に手間が増えて消耗を強いられる傾向はあります。

以前、FB上で他業種の方が「役所の受注仕事は不採算だ」と書いているのを見たことがありますが、他方で、建設業界などでは、談合云々で税金から巨利を得る事業者がいたり、「閑散とした公共施設」などの無用の事業に多額の税金が投入されるなどの現実もあり、そうした不均衡を是正するにはどうしたらよいのだろうなどと、余計なことばかり考えてしまいます。

そういえば、青森の「アニータ事件」では県が回収したお金の大半は受任した東京の大物先生やチリの弁護士の方の報酬に使われたという話を聞いたことがありますが、色々な意味でそうした話は例外なのかもしれません。

幸い、仕事の中身自体は十分にやり甲斐があるもので(中身は差し控えますが、岩手県がある分野で長年進めてきた政策の当否が問われており、多数の利害関係者がいるため、その事業に真摯に取り組んできた県民の方々の思いも背負っているのだという自負や緊張感を感じる面はあります)、今後の糧になればとの思いも含めてあれこれ勉強しながらやっていますが、時には、仕事の進め方などに役所の方々との文化の違いを感じることもないわけではありません。

ただ、こちらも色々と我が身を顧みて仕事をしなければなりませんし、そうしたことも含めて一般の個人などの方々から事件をお引き受けするのとはまた違った学ぶべきものがあるのだろうと心がけ、今後も努めていきたいと思います。

第1回期日に原告代理人(行政訴訟の大ベテランの方)と名刺交換した際「厄介な事件を引き受けて大変だね」と仰っていましたが、「そう思っていただけるんでしたら、ぜひ、今すぐ請求放棄書の提出をご検討ください」などと面と向かって憎まれ口を叩けるような図太い人間になりたいものです。

北東北の秘境・小又峡は一度ならず二度までも

先日、突如思い立って秋田県北秋田市(旧森吉町)の太平湖(小又峡)に行きました。太平湖は、昭和27年に森吉ダムの建設に伴い生じた規模の大きいダム湖ですが、「日本で一番ツキノワグマが多い山(マタギとナメ滝の聖地)」とも言われる森吉山麓の、人里離れた非常に奥深いところにあります。

で、遊覧船でしかアクセスできない場所から片道1時間~2時間ほどナメ滝(滑滝)が連続して姿を現すエリア(小又峡)があり、滝大好き人間の私にとっては昔から行きたい場所の一つでした。

ナメ滝とは、豪雪で磨かれた滑り台状の一枚岩を轟々たる水が流れていくタイプの滝で(ちなみに、華厳の滝のように真っ直ぐに水が落ちるのが「直瀑」)、私の知る限り、日本では秋田・上越・奥秩父のエリアに割と多く存在していると思います(奥秩父の代表的観光名所・西沢渓谷の隣にある東沢というナメ滝・ナメ床が密集する渓谷が、私のトレッキング趣味の原点の一つになっています)。

ただ、それだけに、小又峡は決して「素人ないしお気楽な観光客に優しい場所」ではなく、滝を見に行きたいのであれば、基本的には正午までの船便に乗船する必要がありますし、遊歩道とはいえ靴なども相応のものを履いて来た方が望ましいと言えます。

太平湖には6年ほど前にも一度、来たことがあるのですが、その際は田沢湖と阿仁スキー場のゴンドラを経由したため最終便しか乗船できず、小又峡に近づけずに遊覧船に乗船しただけで終わってしまいました。

そのため、今度こそは小又峡の名瀑群を見に行きたいということで、北回り(鹿角八幡平ICから西南方向に向かうルート)で向かいました。ただ、諸事情により出発が遅れ、12時半の便に辛うじてアクセスできました。

で、出航から20分ほどで南側の波止場に到着しました。人里・道路などが一切見えないことはもちろん、周囲にはかつての材木運搬用の線路跡もあり、秘境ムードたっぷりです。

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そして、木々を鏡のように写す湖面を横目にしつう、いよいよ小又峡に向かって歩き出すと、ほどなく轟音と共に最初のナメ滝が現れます。

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さあ、いよいよ憧れの小又峡に到着!ここから滝巡りだ!と思っていると・・

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長靴が無いと渡れぬ小又峡 銭はあれども貸す婆もなく

前日の増水で、小又峡の入口の沢に設けられた「入口」と言うべき渡渉用の石が全て沢の流れに埋もれ、長靴がないと渡れない状態になってました・・

私一人だけなら、靴を脱いでスボンもたくし上げ、裸足で渡ろうとしたかもしれませんが、さすがに家族と一緒なので自粛・断念し、ここで引き返しました。遺憾ながら、小又峡の滞在時間は実質5分、次の便までは40分以上も波止場でダラダラと過ごし、やむなく次の便で撤退しました。

レストハウスで乗船のチケットを買う際も係員の方に言われていたので覚悟はしていたのですが、まさかこんな入口すぐの場所とまでは想像もできず、ショックです(まあ、それでも乗船したでしょうけど)。

どうせなら、こういうときこそレストハウスには「長靴を一人ウン千円で貸すよ」などと結構な商売をしていただければ(今の私なら蜘蛛の糸を掴むかのように借ります)と思わないでもありませんでした。

帰りの便では、不安定な天候のせいか、湖畔に虹も姿を現しており、せめてもの慰めになりました。

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この湖は三菱マテリアル(当時の商号・太平鉱業)が付近にある鉱山への電力供給などの目的でダムを建設した関係で、太平湖と名付けられたとのことですが、人造湖ですので、ダムの建設時に幾つかの人里が湖底に消えたことは間違いないかと思います。

山深い場所ですのでマタギなどで生計を営む小さな村々ばかりだったとは思いますが、それでも、湖面を眺めていると、当時の人々の営みがどのようなものであったか、色々と考えずにはいられない面もあります。

例えば、湖面の下に眠る鎮守の社ではマタギの人々が山の恵みを肴に村祭りをしたり、美しい村娘と若いマタギが村人に隠れて逢瀬を重ねるなどということもあったのでしょう。

或いは、そんな二人がダム建設で生じた村の混乱の中で思いを遂げることができず、湖を訪れる人の心に今なお語りかけているなどという秘話が、湖底の深くに眠っているのかもしれません。

太平にまどろむ人の見る夢は 村のやしろで交わす約束

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太平湖・小又峡は、私の感覚では、登山者でない普通の人が行ける場所としては、北東北では「最強」の紅葉の名所の一つだと思っています。お時間のある方は、10月末までの晴天の日に、ぜひ訪ねていただければと思います。

私自身は、小又峡の再々挑戦もさることながら、いつの日かこの近くにある桃洞の滝や安の滝にも訪れることができればと願っています。

余談ながら、「北秋田市」はこんな無個性なネーミングでなく、南アルプス市に対抗して「マタギ市」と名乗れば良かったのではと、訪れるたびに思います。

弁護士協同組合の物産販売に関するオリジナル商品と浅智恵

6月の話で恐縮ですが、岩手弁護士会協同組合の総会があり、昨年と同じくタダ飯(弁当)をいただくという志の低い目的のため参加してきました。

昨年も「復興支援やらなイカ~」のタイトルで少し書きましたが、今年も、専務理事をつとめる先生から、「全国の弁護士向けの商品の販売を行うため県内の有力企業などと相談をしたのだけれど上手くいかなかった」とのご報告がありました。

その先生が仰るには、特産品(商品。他県では果物や酒、牛タンなど)を協同組合を通じて販売する場合には、例えば、通常単価で5000円の商品を売るのであれば、組合員価格はそれよりも安い4500円で販売することになっており、しかも、販売に従事する方(購入者が所属する弁護士会の協同組合関係者?)の事務手数料として500円程度を要するので、商品を提供する業者にとっては「5000円の商品を4000円で売る」ことにならざるを得ず、在庫の確保の負担も含めて基本的にはインセンティブがない(ので、相談した業者からも消極的な回答が示された)とのことでした。

ただ、市場で他にも販売する既存の商品だからそのような問題が生じるのでしょうから、新規商品を協同組合の側で開発し、それに「顧客の支持が得られる付加価値」を持たせて販売できれば(要するに高値でも売れる商品が開発できれば)、商売として成り立つはずです。

すなわち、付加価値を付すことができなければ(材料原価ベースなら)3000円でしか売れないはずの物を、特別なアレンジをして5000円の定価として販売することができれば、「協同組合には4000円で販売する」という形でも商品の提供事業者にとって十分に元が取れると思います。

そして、その商品が世間で話題になって人気が出れば、協同組合には4000円で販売し、一般にも業者が自ら5000円で販売できる(協同組合にライセンス料として500円を支払う)ことにすれば、業者にも利益が出て協力できるはずです。

あとは、協同組合がその枠組みを満たすだけの商品を開発できるか次第ということになるでしょうが、以前に投稿した京都弁護士会の「やっこさんは白だな」の二番煎じで考えれば、「弁護士らしら(弁護士っぽさ)を全面に出した商品ネーミングと、そのコンセプトを生かした商品(中身)づくり」について、世間の注目を浴び、購買意欲をそそる商品を作ることができるかにかかっているのではないかと思います。
http://bengo.pro/info/201312121.cfm

例えば、イオンがサンマのパッケージ商品を「鉄道ダンシ」と称する男性キャラの絵を添えて販売しているのに倣い、被災者支援に取り組む「アワビ弁護士、ワカメ弁護士」などのオリジナルキャラを作り、それを生かした新商品などを考えてもよいのかもしれません。

震災に限る必要もないでしょうから、地元の様々な個性・伝承と弁護士らしさを組み合わせて、「座敷わらし弁護士」とか「なんぶ弁護士武将隊」みたいな路線もあってよいはずです。

前者は、あどけない顔立ちの若い女性弁護士が適役のような気もしますが、それでは「岩手まるごとおもてなし隊」とキャラが被ってしまうので、いっそ広島(呉市)のA原先生のような「キモかわいい系」の若い男性弁護士を選抜、育成してもよいのではと思わないでもありません。
http://iwate-omotenashitai.com/about.html

また、「金持ち向けの仕事で儲けているウニ弁、庶民派のシャケ弁、粘り強さが売りのモチ弁、新人のホヤ弁」などを集めて、5人組で「べんごきょうだい」と称し、「わんこ某」とのコラボ企画などを提案してもよいのではと思います(県庁からクレームを受けるかもしれませんが・・)。

或いは、「カッパ無罪!」みたいな商品タイトルでキュウリの漬け物か何かを作り、無罪の代わりに化学調味料などを極力使わない(無添加)とか、激辛とか苦いとか食べるのに一苦労するような味付けをして売り出すのも、インパクトの面からよいかもしれません。

弁護士激増政策が浸透し多くの弁護士が生き残りを賭けて様々な営業活動をしている現状にあっては、弁護士会(協同組合)も思い切った行動に出ることも考えなければならないのではと思っています。

特攻隊員からの自由主義のバトン

平成25年の夏休みに、松本・安曇野方面に旅行したことがあります(今回の投稿は基本的にその際の旧ブログ投稿の再掲です)。

その際は、大所帯の旅行となったため50分待ちの松本城内入りを断念せざるを得ないなどやむを得ざる制約がありましたが、それでも色々と新しい発見があり、訪ねた甲斐がありました。書きたいことは沢山ありますが、さしあたり1点だけ。

松本城内に入れなかった悔し紛れ?で城に隣接する市立博物館に入ったところ、たまたま特攻隊をテーマとする特別展をやっていました。

恥ずかしながら「きけわだつみのこえ」を読んだこともなく(どこかで見ているのかもしれませんが)、特攻隊の具体的な知識はほとんどない不勉強の身でしたので、初めて知ることが多く、色々と考えさせられました。

館内では、安曇野出身の上原良司という学徒動員された慶応の学生さんが大きく取り上げられており、その方の手記(展示されていた文章)が心に強く残りましたが、帰宅後に調べたところ、「きけわだつみのこえ」の冒頭に収録されていて、特攻隊の悲話を象徴する人物の一人として位置づけられているようです。

ここでは書きませんが、彼の手記(とりわけ、下記の石碑でも引用されている象徴的な一節)は今も微塵も色褪せることなく、国民一人一人に渡されたバトンとして、受け止めていかなければならないと思います。

帰宅後に知りましたが、安曇野地区の随一の観光スポット「大王わさび農場」の近くにある公園に彼を偲ぶ石碑があるそうで、旅行中に知ることが出来れば、こちらにも立ち寄りたかったと思いました。
http://www.ikedamachi.net/pages/1_meiyo.html

ところで、毎年8月15日は終戦記念日である以上に、靖国参拝を巡る報道が過熱する日という印象が強くなってしまっているように感じますが、彼を取り上げたあるサイトによれば、上原良司は自分は愛する者のために死ぬので天国に行くから靖国には行かないよ、と語ったのだそうです(知らない方のサイトかと思いきや、平成24年に岩手弁護士会の憲法委員会の企画で講演をされた、いわゆる護憲派の憲法学者の方のサイトでした)。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2009/0810.html

私自身は、身内(直系の尊属)に出征者がいないせいか靖国にはニュートラルなスタンスのつもりですが、靖国を大切にしている方々も、こうした方の存在や思いは知っておいてよいと思いますし、逆の立場を鮮明にされている方々も、当時の若者達が、戦争や当時の社会の誤りを十分に理解しつつ敢えて体制の中で自らが新しい社会を作るための犠牲になることを潔く引き受ける道を選んだことの重みを、考えていただきたいところだと思っています。

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法テラス気仙の落日?と「被災地」無料相談事業の行方(後編)

前回の続きですが、今回は、「法テラスの無料相談事業」に力点を置いて書いてみようと思います。

法テラス気仙での相談はすべて無料ですが、岩手の多くの方がご存知のとおり、無料相談ができるのは法テラスだけではなく、岩手県内では当事務所をはじめ法テラスと契約している県内の全ての弁護士(法律事務所)が、原則30分の無料相談に対応しています。

法テラスは、本来は「低所得者などの支援のための公的機関(税金で運営する組織)」なので、無料相談等には一定の所得制限があるのですが、被災3県や青森県八戸市など幾つかの沿岸被災地域では、震災後に制定された法テラス特例法により、震災当時にこれら対象地域の居住者であった方なら、資力等を問わず、また対象事項を問わず(刑事を除く)、無料相談を受けることができるようになっています。

ちなみに、先般の熊本大地震でも、すでに同様の特例法が定められたと聞いています。

この制度は平成27年に延長され、現在は平成30年3月までとなっているのですが、この制度が再延長されるのかどうかも、被災県で活動する弁護士にとっては大きな関心事となっています。

ただ、確かな筋から伺ったところでは再延長の見込みは絶望的で、残念ながら平成30年で終了することが確実視されているようです。

この制度が導入される直前には、弁護士会(盛岡)の相談センター(有料)ですら閑古鳥が泣きそうな状況になっていましたし(これは、他の都道府県でも同様の現象と聞いています)、当事務所に来所いただく相談者の方々にとっても、無料で相談できるということで気軽にご利用いただいている面もあろうかと思います。

ですので、この制度が廃止された場合は、既に全国各地で生じている光景のように、有料に戻す=相談者が激減するリスクを負うか、完全無料(自腹)とするなど事務所の経営(存続)リスクを覚悟するか、選択を迫られることになりますが、いずれにせよ、町弁の事務所経営上は大きな打撃になることは間違いありません。

個人的には、いっそ発想を転換して法テラス無料相談(無条件30分)の制度を全国的に導入してはと思わないでもありませんが、その場合、現在とは比較にならぬ膨大な財源が必要になり、かつ、それを捻出する政治力を弁護士業界が有していないことも間違いないでしょう。

或いは、日弁連が法科大学院(LS)と決別し、LSへの国からの補助金を撤廃させ無料相談の財源に廻せとの運動をしてはいかがかと思ったりもしますが、「LSへの補助金のせいで司法修習生の給費制度が廃止されたので、補助金を撤廃するのなら給費制をこそ復活させるべき」と仰る方も少なくないようですので、遠からず、「国から弁護士業界に流れてくるお金(パイ)」の争奪を巡り醜い争いが生じたり、それに伴う業界の衰亡などという現象も生じることがあるのかもしれません。

そうした意味でも保険制度による費用問題の解決が何年も前から求められていたというべきなのですが、それを怠ってきたツケを、我が業界は今後ますます負っていくことになりそうで、ため息ばかりが増す有様です。

(写真は4月の担当日の際に撮影したものです)

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法テラス気仙の落日?と「被災地」無料相談事業の行方(前編)

平成24年頃から月1回の頻度で法テラス気仙(大船渡市)に通っていますが、今年になってから私の担当日には相談件数が一挙に減り、3月から7月まで、5回連続でゼロ件(6月に受任事件の関係者に私から頼んで来ていただいたものが1度あっただけ)、8月は当日に飛び込み1件のみという惨状が続きました。

片道2時間ほどかけ、丸一日潰して(拘束されて)通っていますので、相談者ゼロ件が延々と続くと、さすがに厭戦気分というか、担当から抜けられるものなら抜けたいという気持ちを抱かざるを得ません。

私に限らず、沿岸に開設された2つの法テラス事務所(気仙、大槌)とも、最近は弁護士への相談件数が大幅に減ってきたとの話を伝聞ですが聞いており、下手をすると今年度末には法テラス気仙が廃止されるのではないかという噂も聞いたことがあります。

ただ、司法書士さん(週1回の担当)への相談状況がどのようになっているかは聞いたことがなく、ひょっとしたら土地の区画整理・自治体買収などに伴う相続登記の関係などで閑古鳥の弁護士と異なり大盛況になっているのではと想像しないこともありません。

そうであれば、すぐにでも弁護士相談=原則週4回を減らして、司法書士の相談日を増やした方がよいと思いますが、司法書士さんの担当日の来客状況などを伺ったことがないので、よく分かりません(先日、某先生のFBで、今日は来客なしと仰っていたのを拝見したので、弁護士と同じような現象が生じているのかもしれません。弁護士と異なり?高台移転や区画整理などで登記手続などの需要は多いのではと思いますが・・)

昨年の段階から1回あたりの相談件数がかなり減ってきたので、今年の相談担当の更新の際は辞退するか悩んだのですが、現時点で沿岸被災地の関係で従事している「弁護士としての支援活動」が他に特段なく、縁を切るのも忍びないということで無為に続けているのが恥ずかしい実情です。

気仙地区に関しては、訴訟等が必要な場合、地裁の管轄が一関市(盛岡地裁一関支部)になるため、私のように盛岡から出張してくる弁護士に相談するよりも、端的に一関で執務する弁護士さんの事務所に相談に行くという方も少なくないのかもしれません(統計情報などがあれば、ぜひ見てみたいものですが、恐らく誰も調査などはしていないのでしょうね・・)。

そうした話に限らず、いわゆるアウトリーチ問題(法テラス自身が沿岸の自治体や団体・企業などに働きかけ、担当弁護士を相談日に事務所に置いておくのでなく、ミニ講義+プチ相談に派遣するなどの事業をしなくてよいのかという類のもの。「役所」の典型たる法テラスには期待し難いかもしれませんが)を含め、「沿岸被災地の無料相談事業の低迷」は、様々な要因が複合的に関わっているのでしょうから、幅広い視野での総合的な検討が必要でしょうが、そうしたものもほとんどなされない(或いは、私のような現場の末端には伝わらない)まま終わってしまうのかもしれません。

と、ここまで書いて9月下旬の担当日のあとにでも載せようと思っていたところ、9月には過去最高?の5件(飛び込みを含む)のご相談があり、開設時に戻ったかのような感じがしました。

或いは、法テラス気仙を廃止をさせてなるものかという「見えざる力」が働いたのかもしれません。

(写真は4月の担当日の際に撮影したものです)

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ピアニート公爵vs異議アルルカン軍曹、そして芸術は太古の杜の深くから

家族から、「ピアニート公爵」と称されているピアニスト・森下唯氏の演奏会のため仙台に連れて行けとの出動命令が下ったため、やむなく丸一日を潰して仙台まで行きました。
http://sencla.com/artist/3160
http://www.morishitayui.jp/

本人は、森下氏の演奏が聴ければ後は用なしという感じで、出発も遅くなりましたが、それだけのため仙台に行って帰るのは私が納得できませんので、会場近くの「地底の森ミュージアム」に立ち寄ることにしました。

この施設は、仙台市太白区の長町小学校を建設する際の地盤調査で発見された、2万年前の森のあと(枯木)が膨大な水と土砂で封じ込められたため(缶詰のようなものだそうです)、そのままの状態で保存、発見されたもので、世界的にも唯一といって良いものだそうです。

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施設内では、当時(2万年前)の現地が、北海道の大雪山系にある湿地帯と気候・風土がよく似ているとの紹介があり、その場所を舞台に「旧石器時代の人間が、この地を訪れ、焚き火をして去って行く姿」を撮影したミニ映像が写され、その姿を今に残しているのがこの場所なんです、とスタッフの方の説明を受けることができますので、旧石器時代の日本(人の暮らし)に関心のある方にはぜひ訪れていただきたいところです。

ところで、私は、「日本の文化・社会は、縄文と弥生の混血(基本的に後者が優勢)で、それが現代にも多大な影響を及ぼしている」と感じており、このブログでも度々触れているのですが、縄文以前=旧石器時代(先土器時代)については、私自身の知識・理解の希薄さもさることながら、その時代の精神文化(メンタリティ=当時の人々が何に価値を感じ、敬い、畏れ、時に侮るなど、喜怒哀楽の対象をどのように形成してきたのか)がほとんど知られていない(解明されていない?)こともあり、「その時代の魂、精神が現代まで息づいていること」を全くといって良いほど意識することができていません。

しかし、一般的には、この時代(の日本人)が縄文時代(の日本人)と連続性がある(絶滅や人種の交代などの事情はない)と考えられているでしょうから、日本人のメンタリティというものを考える上で、旧石器時代とは人々にどのような精神性が形成された時代だったのかという視点は、持っておくべきではないかと思います。

そうしたことも考えつつ、公爵こと森下氏の演奏会場に向かい、演奏を拝聴してきたのですが、今回の企画は様々な奏者(プログラム)の組み合わせになっているせいか、演奏曲数はアンコールを含めて4曲のみ、時間も1時間弱という感じでしたので、あっという間に終わりました。

家族が「4月は君の嘘」という漫画・アニメ作品を気に入り、アニメ番組の最終回でのピアノ演奏(ショパンの「バラード第1番」)を自宅で繰り返し聞かせられていたため、その曲の演奏は一番楽しめたと思います。

あと、この公爵さんですが、演奏の合間のトークの際(正面)はさほど風采があがらない方との印象(ニートかはともかく、ちょっとオタクっぽい感じ)を受けたのですが、演奏中(横顔)は表情がガラッと変わり、誰かに似ていると思って思い返したところ、私の純個人的なランキングで「男の色気のある弁護士・堂々の全国1位」であるK野君(52期の盛岡修習仲間)に表情がよく似ている感じ(K野君と堺雅人氏を足して2で割った印象。ちなみに私を含めて3人とも同い年です)がしたので、その点は(K野君をはじめ)一流の人は横顔にも通じるものがあるのだろうと、妙に感心しました。

ところで、3曲目に取り上げられた「ガンバスター幻想曲」は、庵野監督が20年以上も前に制作した「トップをねらえ」というアニメ作品で使われた楽曲群をアレンジしたもので、「公爵」の代表作なのだそうです。

このアニメ作品は、私も15年以上前にビデオで借りて見たことがありますが、制作責任者が「おたく」文化の巨頭である岡田斗司夫氏(ガイナックス社)のせいか、作品中にも若干ながら「おたく」好みの描写もあった(ので、見たことを人様に公言できる作品とは言い難い面もあった)ような気もします。

が、森下氏の会場でのトークやWeb上での発言などを拝見すると、作品の物語に強い感銘を受け、相応の理念と誇りをもって、こうした作品を題材とする二次創作(アレンジ)に真摯に取り組んでおられるものとお見受けしましたので、そうであれば、前回の投稿のように人知れず替え歌づくりを趣味?にしている根暗な私とも通じるところがあるのではないかと、勝手なことを思わないでもありませんでした。

そんなわけで、いっそ、私も対抗して「覆面ブロガー弁護士・異議アルルカン軍曹」などと称して、「妖怪ウォッチ」の替え歌など、実名では投稿できない文章を密かに投稿してみたいなどと思ったりもします(ちなみに、「アルルカン」とは、フランス語で即興喜劇に登場する仮面の道化役者(トリックスター)を指す言葉で、ピカソやセザンヌの絵にも描かれたことがあります)。

ただ、うかうかしていると、私の預かり知らぬところで、お笑い芸人「売れない覆面弁護士こと異議アルルカン軍曹」と称する芸能人が出現しないとも限りませんので?今のうちに商標登録した方が賢明かもしれません。

日本ではまだ見つかっていないかもしれませんが、旧石器時代と言えば、人類が世界中で壁画など芸術的な営みを表現していたことがよく知られており、そうした意味で、芸術の発祥というべき石器時代の太古の森が残されていた「杜の都」仙台・長町の地で行われた演奏会を拝聴したことには、時間と空間、二つの観点から魂の底にあるものに心を向ける契機とするという点で、大いに意義があったのではと思います。

余談ながら、演奏会のあと、夕方ギリギリに「仙台うみの杜水族館」を初めて訪れて駆け足で拝見し、帰宅時には折角の機会なので、数年ぶりに塩竃市に行き、地元の寿司を美味しくいただいて帰りました。