北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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事務所全般等

平成26年の業務実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成26年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を簡単ながらまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

取扱う事例も、物損のみで過失割合(事故態様を巡る事実関係)が争点となる事案から死亡事故や高位の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が論点となっている例まで、幅広く取り扱っています。

今も激しい医学論争が続いている「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)」の発症の有無などが争点となった事例を取り扱う機会もありました。その件は、本年3月まで在籍した辻弁護士が、依頼主(被害者)の主治医から詳細に事情を伺うなどして詳細な主張立証を行いました。

残念ながら、当該論点のハードルの高さ(主要な裁判所で大半は退けられています)もあり、和解協議段階で裁判所から難色を示されたものの、単なる頚椎捻挫事案とは異なるとの判断を前提に、一定の加算を受けることができましたので、そうした形で立証努力が考慮されました。

現在のところ、弁護士費用特約は保険料も低廉で、ご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

賃貸借(主として貸主側)、不動産売買学校生活(生徒側)に関する紛争などを取り扱う機会がありました。消費者側代理人として勧誘業者からの接触等の拒否を申し入れるなど、紛争に至る以前の対処についてご相談を受けることもあります。また、後述(次回)の震災無料相談制度を通じ、多数の方々にご来所いただき、日常的に生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じています。

本格訴訟としては、自宅建築目的で購入した土地で過去の所有者による不法投棄が判明し、証拠上、投棄の実行者又は責任者と思われる企業に賠償請求した事案を取り扱っており、相手企業側が強く争っているため、依頼主とも協力しながら投棄行為の立証のため様々な資料を提出すると共に、廃棄物処理法の知見なども生かして徹底的に闘っています(現在も訴訟が続いています)。

(以下、次号)

平成26年の業務実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から、毎年1回、前年度の業務実績の概要をブログで公表しています。昨年(平成26年)の業務実績は、顧問先には1月頃にお送りしたのですが、多忙等を言い訳に、ブログに掲載するのが遅れてしまいました。

長文ということもあり、今回は、3回に分けて掲載します。分類については、当事務所HPの「取扱業務」に基づいています。

(1) 全体的な傾向など

平成26年も、①交通事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚相続など家族・親族間の紛争、③企業・団体の商取引や内部事務に関する紛争の3点が、受任業務の中心を占めました。特に、家族・親族間の紛争や権利関係の処理に関する業務が増加傾向にあります。

反面、本年も債務整理・倒産等の業務は、全国的な傾向と同様、数年前と比べて大幅に減少しています。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

食品製造委託取引を受注した企業Xが、発注者だと認識するY1社に代金請求したところ、Y1が「発注者はY1ではなく(XにY1社を紹介後、事業停止となった)Y2社だ」と主張してきたため、Y1が発注者(債務者)だと主張して支払を求めた事件で、無事に当方の主張が認められ、Y1から支払を受けたという例がありました。

複数の企業が発注側に介在する場合には、「誰が代金債務を負担するか(誰が発注者か)を巡る争い(支払責任をなすりつけ合う紛争)」は頻繁に生じますので、そのような取引に関与される際は、責任の所在を明らかにさせるよう、強くご留意いただきたいところです。

また、経営者が交替した法人で新経営陣が旧経営者に不正行為があると主張して訴えた事件で、旧経営者の依頼で役員欄に押印(名義貸し)した法人とは無関係の方が巻き添え的に提訴され、ご依頼を受けた事件があり、事実経過や相手方の主張の問題点を詳細に主張したところ、相手方(原告)が当方に責任がないことを認めて和解で終了したという事件もありました。

当方の主張が認められたとはいえ、名義貸しは多くのリスクを伴いますので、名義貸しの要請を受けた場合には、極力、拒否いただき、一定の形が不可避といことであれば、後難を避けるための適切な措置を講ずるなど(弁護士に相談いただくべきでしょう)、ご留意願います。

その他、特殊な工事の代金請求に関する紛争(当方は受注者側。相手方が、当方の責任で工事が頓挫したと主張し支払拒否しているため、責任の所在が争われているもの)、採用後ほどなく退職した元従業員の方が申し立てた労働審判(企業側代理人として担当)、協同組合の内部で問題を起こした組合員の処分の当否を巡る訴訟(組合側代理人として担当)などを手掛けています。

中小企業庁が行っている「下請かけこみ寺」事業に基づき、小規模な下請業者の方から発注者の支払拒否や取引中止への対応などの相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は僅かなものとなっていますが、企業倒産に関しては、かつて多数を占めた建設業界に代わって、福祉やITなど広義のサービス業に携わる企業の方からご依頼がありました。

個人の債務整理については、昨年同様、「完済後の過払金請求」のご相談が若干あったほか、かつての「多数の高利業者から数百万円の借入がある多重債務事案」に代わり、債務額・件数は多くはないものの、生活保護ないしそれに準じる低所得の方や、住宅ローンの支払が諸事情で頓挫し破産等を余儀なくされた方からのご依頼が増加傾向にあります。

破産管財人を担当した方で、多数の農地等を有するものの市場性が乏しく売却に困難を来したり(様々な手法をとることで、一定の農地を売却できたこともあります)、保険契約などで名義貸し(実際の保険料を親族が支払っている事案)が関係する例(原則として名義人の財産として換価対象となりますので、ご家族の名義でご自身が保険料を支払って契約をなさっている方はご留意下さい)などがありました。

管財手続が終了した後の会社の権利関係の処理(放棄された不動産の売買など)に従事することも何度かありました。

(以下、次号)

「弥生の血」の象徴としての伊勢神宮と縄文の魂

先日も書いたとおり、今年の夏休みは、伊勢神宮に行きました。私は総本家が地元の神社の宮司さんで、実家は本家を支える氏子の主要メンバーですが、恥ずかしながら、2年前の式年遷宮に関する一連の報道までは、伊勢神宮でそうしたことが行われていること自体、知りませんでした。

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そんなこともあり、以前から伊勢神宮に行ってみたいと思っていましたが、いざ、行ってみると、「神社仏閣と言えば、築何百年が当たり前で、その古さ(歴史)こそが有り難み」という固定観念に縛られていた私としては、どこに行っても新しい社殿が並び、隣に遷宮のための砂利の空き地が並んでいるという神宮のスタイルに、凄い違和感というか、神社に対する固定観念を覆すような、不思議なものを感じました。

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7月末に沖縄に仕事で行ってきたこともあり、沖縄と並んで縄文文化の跡を遺している北東北の人間としては、「縄文(と弥生)」というものを意識する機会が増えていたのですが、弥生時代(から飛鳥時代?)の建築様式が継承されている伊勢神宮の社殿群を見ていると、「ここは弥生だ」という印象を、強く受けました。

詳細は書きませんが(私自身、自分の知識に出来ているわけでもありませんし)、伊勢神宮で行われている様々な営みを見ると、ここには、豊作祈願や新米への感謝をはじめ、弥生文化(稲作農耕)を象徴するようなものを守り伝えていこうという強い意志のようなものを感じました。

反面、神宮では、狩猟や漁労などという縄文文化的なもの(への礼賛、信仰)を見かけることがほとんどできなかったように思います。古代文化に知見が深いわけではありませんので、思いつきレベルで恐縮ですが、伊勢神宮には、「主として縄文人と弥生人の混血で、概ね弥生人の血の方が濃い」とされる日本人のルーツのうち、弥生的なものを凝縮して継承している面があるのではと感じました。

裏を返せば、日本の宗教文化(神道を含め)の要素と目されるのに、神宮で見かけないものがあれば、それは、縄文的な文化に由来する面があるのかもしれません。

例えば、私の薄い知識の範囲では、古い神道には「万物に神宿る」という感覚(アニミズム=精霊信仰。山岳や巨木・巨石などへの信仰)があると思うのですが、伊勢神宮には、立派な大木や見目麗しい池などが多数配置されているものの、それらを天照大神ら(伊勢神宮が祀っている神々)と連なる独自の信仰対象として位置づける姿勢は全く感じません。むしろ、伊勢神宮の庭園に対する姿勢には、一神教の文化であるフランス式庭園(自然は神や神の延長にある人に仕えるものという思想)を思わせるものがあるとすら感じました。

私に限らず、古い神社と言えば、異形の巨木や巨岩・奇岩が境内に存在して霊的な存在として崇められている例が多いのではと感じる方は少なくないのではないかと思うのですが、そうした「霊的なものを体現した自然物」は一切存在せず、遷宮による真新しい社殿群が、人間の生々しい営みを想起させることと相俟って、人間中心主義と言わんばかりの思想を感じる面がありました。

そういえば、伊勢神宮は、大日本帝国=国家神道では全国の神社の総本山とされていた(今も、神社本庁の制度のもとで同じような位置づけにあると思います)だけでなく、鎌倉末期に伊勢の外宮の神官(度会家行)が提唱した理念(度会神道・伊勢神道=反本地垂迹説)が、国家神道ひいては国粋主義の源流にあるとされており、それらの事情も、「伊勢神宮にアニミズムが存在しない(感じない)こと」と近接性があるように感じます。

また、太陽神たる天照大神を祀る内宮ではなく、産業従事者=一般の人々の神を祀る外宮の神官が、国家神道のもとになった思想の提唱者であることも、伊勢神宮を形づくる思想と関わりがあるように思います。

大雑把な感覚ですが、伊勢神宮には、人間中心主義(農耕及びその基盤としての土木文化に代表されるように、人間が自然を凌駕し支配する存在であるとの思想)が背景にあり、それは、中国の儒教思想(現世利益的な合理主義)と近接性があり(感覚的なことばかり書いて恐縮ですが、伊勢神宮には密教的な神秘主義思想の匂いを全く感じませんでした)、また、西洋の合理主義や一神教(キリスト教)の根底にある人間中心主義とも近接性があるように感じました。

だからこそ、国家神道の行き着く先が、あたかもバテレン神父の布教活動のような、日本民族の主導による欧米植民地等の解放と救済という啓蒙思想(ひいては、そのなれの果てとしての世界征服思想?)になったのではという見方もできるのではないかと思います。

そのことは、裏を返せば、古神道などと称されるアニミズム(自然崇拝)が、弥生人の文化ではなく縄文人の文化であり、神道は、山岳信仰などの「縄文寄りの神道」と、伊勢神宮などに代表される「弥生寄りの神道」の二種類に分かれていると考えると、神道を巡る様々な物事が理解し易くなる面があるのではないか(ひいては、「平和」のあり方を考える上でも、縄文的な思想にもっと目を向けてよいのでは)と感じました。

私自身は、思想という点では、人間中心主義や一神教が決して嫌いではないのですが、自分の信仰心や身体感覚という点では、アニミズムやそれを前提とする価値多元思想に馴染む面がありますし、私が北東北の人間であることも、そのことと関係があるのではと感じるところがあります。

伊勢神宮を歩きながら、「これは、私が好んでいる神道とは、ちょっと違う」という違和感を感じていたのですが、上記に述べたこと(伊勢神宮の思想が、自然からの採取=自然のコントロールを諦めた恩恵的思想=アニミズム的な縄文色を排除ないし抑制し、農耕=自然のコントロールを指向する思想=人間(文明)中心主義的な弥生文化を全面に押し出しているのではないかと感じたこと)が、その理由ではないかと思った次第です。

私も、伊勢神宮が日本人にとって大切なものということに異論はないのですが、正直なところ、宗教的崇敬心はあまり掻き立てられませんでした(むしろ、上記のとおり学問的な関心が湧いた面があります)。そのことは、以上に述べたこと(私自身の思想ないし宗教的感覚との相違点)が関係しているのだと思います。

そうであればこそ、縄文と弥生の混血である日本人、なかんずく滅ぼされた縄文側の文化を継承する立場にある北東北(北奥)の人々は、伊勢神宮に匹敵するような、縄文人の文化と思想を後世に継承するような何かを創出する姿勢を持つべきではないか、そのことは、人間中心主義や統一性(体系性)を感じさせる弥生と、自然中心主義と多元性(共生性)を感じさせる縄文の思想的な違いという面でも意味があるのではないかいうのが、「初めての伊勢神宮」で私なりに感じた結論でした。

伊勢神宮は、「日本人の心のふるさと」と称されることが非常に多く(例として、伊勢市観光協会のHPを引用します)、弥生という観点から見れば、それは至極正当なのですが、縄文という観点からすれば、伊勢神宮だけを「ふるさと」として強調するような考え方には、異論を唱える必要があるのだと思います。

以前、世界遺産登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」について少し書いたことがあるのですが、京都・奈良をはじめとする登録済みの日本の世界文化遺産群が、いずれも弥生文化や大陸文明(仏教等)の延長線上に形成されたものと見受けられるのに対し、もう一つの日本のルーツである縄文文化について、世界遺産(人類の共有する価値)として認められたものはないと思います。

そうであればこそ、縄文文化の価値を適切に理解、説明し世界に認めさせることは日本人の責務であり、日本国憲法も期待するところ(安倍首相が仰る「積極的平和主義」に適う道である)ではと思うのですが、いかがでしょう。
→ 縄文の遺跡群と北東北のオリジナリティ

余談ながら、外宮(正宮)の参拝を終えた後、参拝者向けの朱印帳コーナーの隣に将来の式年遷宮の寄付を受け付けている窓口があることに気づきました。で、私の父(実家)が、地元(氏神)の神社や祖霊社の維持のため長年に亘り相応の負担をしていたことや、2年前の式年遷宮の際も何人かのJC関係者の方が参加等されていたことなどが脳裏をよぎり、自分も、そうしたものの庇護を受けて今に至っているのに、単なる観光客として通り過ぎるのは筋が通らないと思って、ささやかながら、寄付をしてきました。

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そのとき初めて知ったのですが、寄付の感謝として、正装(スーツ)して行けば、観光客よりも社殿の少し内側に入れていただけるのだそうです。

平成28年末まで有効(本人限り)とのことで、次に行けるチャンスとして、津地裁に係属する尋問付きの訴訟のご依頼が舞い込んで来るよう、日々祈願している次第です。

辻弁護士との2年間

平成25年春から当事務所に在籍した辻陽加里弁護士が、都合(ご夫君の転勤に伴う転居)のため、3月末をもって岩手弁護士会の登録を抹消し、併せて当事務所を退所することとなりました。

辻先生は、家事事件や刑事事件などを中心に、幾つかの分野に力を入れて取り組んでおり、特に、社会的に弱い立場にある女性からの依頼、相談に熱心に取り組んでいました。

離籍の直前である3月末頃に、辻先生が特に力を入れて取り組んでいた離婚関連紛争の事件で、当方(妻側)が申し立てていた「相手方(夫側)への子の監護者指定及び子の引渡請求(審判)」が裁判所に認められ、様々な苦労の末に無事に引渡が実現できました。時期的な問題(お子さんの就学)もあり、彼女にとって良い経験になっただけでなく当事者にとっても本当に良かったと思っています。

当事務所の方針として、辻先生が依頼を受けた事件のうち、単独で問題なく対応できるものは彼女一人で受任、対応し、複雑・規模の大きい事件や在籍期間中に解決できないと見込まれる事件は共同受任する形態(依頼主との関係では私が受任者)をとってきました。上記の事件では、まだ未解決の問題が幾つかあるため、引き続き私が対応することになりますが、辻先生が積み上げたものを台無しにしないよう、適切な解決を目指していきたいと思っています。

また、ご出身が福岡県ということもあり、仕事に負けず劣らず、観光名所をはじめ岩手での生活を満喫して欲しいと話していたのですが、岩手山の登山やウィンタースポーツなど、春夏秋冬それぞれの岩手の良さを体感する機会を持つことが出来たとのことですので、その点は、県民として幸いに思っています。

ともあれ、上記の事件を含め、何人かの社会的に弱い立場の方の相談、依頼に熱心に応じている様子を見ていると、ささやかながらも辻先生に活躍の場を提供できたことは、辻先生個人だけでなく、岩手県民全体のためにも大いに意義があったのだと感じました。

辻先生は、プライベートな事情から、転居先では弁護士登録を保留し、法律家としては充電期間に入るとのことですが、岩手での町弁としての実務経験も生かして、法律家として大成していただければと願っています。

現在も、当事務所では、私の隣席で地域のため活躍いただける新たな弁護士の加入を募集しております。恥ずかしながら、業界環境の激変のほか私の至らなさもあり、経済的に恵まれた待遇を提供できそうにありませんが、岩手での執務に関心のある方は、お問い合せいただければ幸いです。

メールの受信設定に関するミスについて(再送のお願い)

私とメールのやりとりをなさっている方へのお知らせですが、1月末頃から4月3日頃までに私あてにメールを送信いただいた方で、「どうして(小保内から)返事がないのだろう?」と疑問に感じている方がおられましたら、私のPC設定ミスで、私が受信(閲覧)できていない可能性がありますので、至急、再送又はお問い合せ下さるよう、お願い申し上げます。

これは、先週末(3日頃)に気付いたのですが、次の経緯によるものです。

すなわち、私が加入している幾つかのメーリングリスト(弁護士会絡みなど)で、送信されているメールを受信できていないと思われる(週に何通もメールが送信されてくるML内に1件も追加投稿が入らない)事態になっており、その現象自体は、3月中には気付いていたのですが、正直、現在の仕事にはあまり関係のない(大して閲覧もせず放置している)MLだったので、そのままにしていました。ただ、さすがに、いつまでもそのままというわけにはいかないだろうということで、4月1日頃から、その状態の解消のための作業を開始しました。

ただ、私自身がPCの素人なので、「MLに送信されたメールが受信できない」という事態の原因が把握できず、容量オーバーにでもなっているのか(古いメールを削除すれば新しいメールが受信できる状態に戻るのか)とでも思って、数年前のメールを大量削除するなどしてみましたが、一向に改善されている様子がなく、途方に暮れてしまいました。

で、当事務所内のPC達人である事務局長に相談し、ほとんど一日がかりであれこれ設定等を確認して貰ったところ、迷惑メールの受信拒否設定に関し、「ほとんどの迷惑メールを処理するが、必要なメールまで巻き添えになる可能性がある」という設定と、「迷惑メールと認識したものは迷惑メールのフォルダに入れないで、そのまま削除する」という設定の双方を入力した状態にしていたため、私自身は迷惑メール扱いにしていないメール(主に、幾つかのML宛てに送信されたもの)までも、閲覧の機会のないまま自動削除されていたことが判明しました。

そのため、直ちに、自動削除の設定を解除し、現在は、必要・不要に限らず、メールはことごとく受信(閲覧)できる状態に戻っています(反面、明らかにスパムである英語のメールなどを久々に目にすることになり、その多さにウンザリしていますが)。

で、ML宛てのメールは、大半は一般的な情報提供の類なので、2ヶ月程度のものが閲覧できなくてもやむを得ないと思っているのですが、問題は、この間にDMで頂戴したメール(ML内の私あてメールも含め)についても、受信(閲覧)できなかったものがあるのではないか、という点です。

これは、現時点で当方PC内で解明(自動削除したメールのサルベージ作業)は不可能と思われますので、誠に申し訳ありませんが、この投稿を確認いただいた方で、これに該当するメールを送信いただいた方がおられましたら、至急、再送又はお問い合せいただくよう、お願いいたします。

幸い、大半のDMについては問題なく受信できていると思われるのですが、今、思い返してみると、ここ1、2ヶ月の間に、依頼者の方に「メールを送って下さい」とお伝えしたところ、いつまで経ってもメールが来ないので、お電話したところ、送ってますと言われたことがあったような気もしますので、もしかしたらという方は、ご対応いただければ誠に幸いです。

裁判所等の提出文書を事前確認いただくなど、仕事上、不可欠のツールとして電子メールを活用していますので、このようなトラブルは心底恐ろしく、今後は、再発防止のため、もう少しPCについて知識、理解を深めるための努力をして参りたいと反省しております。

と同時に、私と同様に「スパムメールが大量に送られてくるため、同じような設定をせずにはいられなくなる方」は少なくないでしょうから、そうした方に注意を喚起する社会内の仕組みについても、考えていただければと思っています。

新規加入弁護士等の募集について

平成25年春から加入していた辻弁護士がご夫君の転勤のため遠方に転居することとなり、残念ながら3月末で退所することとなりました。

これまで辻弁護士への事件依頼等を通じてお世話になりました皆様には、心より御礼申し上げます。辻弁護士は家事事件などを中心に、熱意をもって受任事件に取り組んでくれましたが、辻弁護士の離脱後も、リーガルサービスの質を落とすことがないよう、引き続き、全力を尽くしていきたいと思います。

ともあれ、辻弁護士の離職により、弁護士の執務席が空きますので、現在、新たに加入いただける弁護士を募集しています。現在の業界の状況や私自身の力不足もあり、勤務弁護士(給与制)ではなく準パートナー形態での加入をお願いすることになりますが、岩手で自分の力を発揮し地域社会に貢献したいと考える若い弁護士の方には、ぜひ門を叩いていただければと思っています。
https://www.bengoshikai.jp/kyujin/search_lawyer_office_detail.php?id=3968

一緒にやっていける方であれば、弁護士以外の他士業の方の加入も前向きに考えたいと思っていますので、関心のある方は、ご遠慮なくご連絡下さい。

新年のご挨拶

更新がご無沙汰しており恐縮ですが、本年もよろしくお願いいたします。

12月中旬頃から新件や書類仕事などが山積した状態が続いた上、年末年始は家庭の都合に従事せざるを得ず、遺憾ながら、「事務所に籠もって書類仕事をするという贅沢」ができない身の上のため、来週が期日となっている幾つかの事件の起案に現在まで追われているという有様が続いています。

ともあれ、弁護士業界も未だ激動の最中にあり、仕事に追われる日々の有り難さを痛感せずにいられないところはあります。

週明けにはある程度の目処が立つと思いますので、折を見てブログの更新を再開していきたいと思います。

判例地方自治と雑誌購入

何度か書いていますが、私は数年前から購入している判例雑誌などをもとに判例等のデータベースを作成しています。平成23年頃までは、本業と兼業主夫労働で一杯一杯の毎日で、雑誌に付箋を貼るだけの積ん読状態が続いていましたが、その頃から債務整理などの仕事が減ったせいか?本格的に入力できるようになりました。

現在は、毎月購入している雑誌は、その月のうちに入力を終え、過去の積ん読状態の雑誌も着々と入力を進めることができており、収録も数千件(少なく見積もっても2000件以上)といってよいのではという程度に達しています。

該当する条文の箇所に論点などを付記し要旨をまとめる程度なので、大した作業をしているわけではありませんが、同種の相談を受けた際は前例や参考情報の検索という形で威力を発揮することが幾つかあり、地味で地道な努力が性に合っていることもありますので、今後も続けていくつもりです。

また、判例等によっては、滅多に勉強の機会に恵まれない法令等がテーマになっていたり、様々な論点・法分野が複合的に問題となり、どの場所に収録するかを決める際に多角的な検討を要する事例もあり、そうしたケースでは、要旨を収録するだけでも勉強になるという面があります。

現在、定期購読しているのは、実務家にとっては定番というべき判例時報と判例タイムズのほか、判例地方自治の3冊です。金融・商事判例や労働判例など幾つかの雑誌は、判例秘書(判例・雑誌検索ソフト)で対応させていただき、必要に応じて検索する扱いとしています。

判例地方自治は、判例秘書でフォローされていない上、弁護士会はおろか、盛岡地裁の資料室(弁護士等の第三者も閲覧等が可能)でも購入しておらず、盛岡市内では他所での閲覧等が容易でないため、やむなく購入している面がありますが、受験生時代には行政法はノータッチのため、その勉強も兼ねてと考えています。もちろん、経費の負担を考えると、弁護士会等に定期購読していただき、購入を打ち切りたいとの希望も無いわけではありませんが・・・

ともあれ、判例地方自治には、判例タイムズや判例時報には滅多に掲載されない地方税法絡み(固定資産税関係など)や住民訴訟絡み、自治体が当事者となる国家賠償請求や情報公開請求などが関係する裁判例が多数掲載されており、そこで勉強したことを生かせる場があればと願っています。

遠方の企業様からの顧問契約のお申し出について

ここ1年ほど、東京など遠方の都道府県の企業の方々から、顧問契約の問い合わせ(申込み)を受けることが何度かありました。サイト上に表示されているとおり、当事務所は平成23年から「月額3000円」という顧問料のコースを設けているため、いずれも、これを利用したいとのお申し出でした。

ただ、顧問契約も、弁護士としての業務受任の一形態に他なりませんので、面談原則を重視すべきで、ご来所いただき幾つかの事情を伺うなどして一定の信頼関係を築くことができると判断できなければ、お引き受けすることができませんし、「簡易なやりとりなら電話等で済ませるが、資料の確認や詳細な事情聴取が望ましい相応の問題の場合には直ちにお越しいただく」ことをコンセプトにしていますので、来所困難な方(或いは本格事件が生じても対処に関する面談や委任を予定していない方)と顧問契約を締結するのは適切ではないと考えます。

事件委任との関係では、セカンドオピニオン目的の2番手顧問という利用法もあるとは思いますが、大企業はいざ知らず、大半の中小企業では顧問という形をとらずとも個別相談で済ませればよいと思われますし、まして殊更に遠方の弁護士に依頼する必要性もないでしょう。

顧問契約も受任業務一般と同様に考えるべき話で、弁護士としては、互いに顔の見える関係でなければ仕事を請け負うべきではないし、依頼者サイドにとっても、「顧問」であれ何であれ、仕事は「会いに行けるアイドル」ならぬ、会いに行ける弁護士に頼むべきだということに尽きると思います。

もちろん、当方も、遠方にお住まいの方から訴訟等を受任し電話やメール等で連絡のやりとりすることは頻繁に行っていますが、それらは盛岡地裁等に係属する事件の受任が前提になっていますし、最初に面談し依頼主との信頼関係を確立することが必須であることは言うまでもありません。

そのため、残念ながら、遠方にお住まいの方からの顧問契約のお申し出は、その企業が岩手県内で経済活動をしているなど、敢えて岩手の弁護士に依頼すべき相応の理由を見出すことができる場合でなければ、お断りせざるを得ないと考えており、岩手に進出されたとき、ぜひもう一度お声掛け下さいと申し上げています。

逆に言えば、他の都道府県の弁護士さんも、同じような顧問契約のコースを設ければ、一定の需要はあると思いますので、業務開拓を希望する若手の方などは、積極的に試みてよいのではと思いますし、需要者(企業)サイドも、意中の若手弁護士の方に「岩手でこのような試みをしている弁護士がいる」などと、持ちかけていただいてもよいのではと思います。

ただ、肝心の私自身が、岩手の企業さんからは新規の顧問契約のお申し出にご縁のない状態が続いており、ネット経由でこの種のお話を頂戴することは容易でないとは分かっているものの、東京時代には契約書の作成や更正、業務上のトラブル等に関する相談など、その種の仕事に日常的に携わっていた身としては、顧問に限らず一般の相談や業務の受任を含め、企業法務的な仕事に従事できる機会を増やすことができればと、日々願っているところです。

平成25年の業務実績

当事務所では、数年前から、毎年1回、前年度の業務実績の概要をブログで公表しています。ご一読いただき、当事務所へご相談等に関する参考としていただければ幸いです。なお、顧問先には、これに若干加筆したものをお送りしています。

(1) 全体的な傾向

本年は、交通事故を中心に、介護や保育の際の事故も含めて、事故の被害者の方からの賠償請求事件が大きな割合を占め(交通事故では大半の方が弁護士費用保険を利用されています)、離婚関係や相続関係などの家事事件も多数手がけました。反面、本年も債務整理・倒産等の業務は、全国的な傾向と同様、数年前と比べて大幅に減少しています。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

数年前から手掛けていた、「大手企業による継続的取引の不当停止に対する下請企業からの賠償請求」で、勝訴判決を受けています。これは、首都圏から岩手に進出したY社から下請取引(食品加工の業務委託)を受注したX社が、自社に何らの帰責性もないのに、Y社から突然に取引停止を言い渡されたという事件でした。

また、建設工事や食品製造委託取引に関連し、契約当事者(注文者=債務者)が誰であるか等が争点となった事件などを担当しています。この種の紛争(受注時に発注者サイドに複数の関係企業が生じ、後日に誰が契約当事者か=誰に代金請求できるか等が争われる例)は非常に多く、貴社におかれても、新規の取引を行う際に複数の当事者が生じる場合は、ぜひお気を付けいただきたいところです。

その他、企業取引に関し、ソフトウェアの利用等を目的とする契約に関する紛争への対応、「下請かけこみ寺」事業に基づく無料相談のご利用による企業取引上のトラブルに関する相談などを担当しています。

企業内部の問題では、不況(リーマンショック)で業績が悪化した企業から早期退職者募集制度や整理解雇の進め方等についてご相談を受けた例などがあったほか、法人関係者の責任追及の当否に関する訴訟も受任しています。

(3) 債務整理と再建支援

過去に比べ大幅に受任件数は減りましたが、建設会社や消費者向け物販企業など幾つかの企業や経営者の方の申立代理人や破産管財人を手がけています。

小売業の企業の自己破産の申立に関し、受任時に十分な申立費用が確保できず、当事務所の関与のもとで、閉店セール等の換価作業を進めて費用を確保した後に、裁判所に申立を行うという例もありました。

個人の債務整理については、いわゆる多重債務事案(多数の消費者金融業者から多額の高利借入をしている方)の相談を受けることがほぼ無くなった一方で、信用情報登録を回避したい方から、金融業者に約定額を完済した後に過払金を請求するご依頼が多くなっています。

自己破産等に関しては、生活保護世帯など非常に低所得又は無収入の方からのご依頼の比率が高くなっており、格差や貧困の問題を感じさせるものとなっています。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も、交通事故の弁護士費用保険を通じて、被害者側での受任事件が増加しており、物損のみの事案や比較的軽傷の事案、重大な後遺障害が生じた事案や死亡事故まで、様々な案件を取り扱っています。

顕著な成果が生じたものとしては、専門性の高い仕事を行っていた方が被害を受けた件で、職務の性質上、自賠責保険の認定等級よりも高位の後遺障害が裁判で認定され、保険会社の提示より遥かに高額な賠償を受けることができたケースなどを担当しています。

保育・介護事故対人トラブルに基づく傷害事件についての賠償問題なども担当し、いずれも穏当な形での訴訟外の和解を成立させています。

また、被害者代理人として加害者の資産調査や債権執行(預金等の差押)を行う例も増えていますが、現在の執行法制の不十分さ(債権者にとっての使いにくさ、回収の難しさ)を痛感させられることも少なくありません。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

借地契約の終了に付随して当事者間で紛争が生じた事件(先日、勝訴判決を受けました)や個人間の貸金などの訴訟を扱ったほか、紛争性は低いものの、関係者との直接のやりとりを避けたいとのご希望から、円満処理のための調整業務をタイムチャージ形式でお引き受けすることが増えています。

後者の例として、「競売で落札された物件に居住(賃借)中の方が、落札した不動産業者から法律上問題のある要求を受けたので、その対応や退去時の調整等を依頼された件」や「自宅の隣接地の枝が自宅敷地に伸びてきたため、隣接地に立ち入って切除をしたいが、所有者が遠方に居住し面識がないため、所在調査や連絡調整、合意書作成等の依頼を受けた件」などがあります。

また、訴訟等に発展していないものも含め、不動産取引に関する相談(購入後に敷地内に廃材の不法投棄が発覚した例など)を受けることが増えています。埋設をした者が倒産している場合(倒産企業の所有地を購入した場合など)には責任追及に大きなリスクを抱えることになります。その種の取引を行う場合は、リスク調査(当職へのご相談を含め)を十分に行って下さい。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚に関し、「住宅の購入の際に妻の両親が多額の援助をした場合、離婚の際に夫は妻の両親に援助金の返還義務が生じるか(贈与か貸金か)」「退職まで10年以上の期間がある場合の退職金予定額に関する財産分与の当否」などが争われた訴訟を担当しました。

また、面会交流の調整が主たる争点となり、調停の場で試験的な交流を繰り返してルールを定めるなど、きめ細かい対応を必要とする例もありました。

相続分野に関しては、「死亡危急者遺言」(危篤時に第三者(証人)が作成し後日に裁判所の確認を受ける制度)が作成された件で、遺言者の意思に反することなどを理由に遺言無効の当否を争っている事案、数十年前に亡くなった方の相続が放置されたため、数十人の当事者が生じて不動産の相続処理に様々な論点が生じている事案、親子関係の存否等が問題となった事案などを担当しています。

その他、成年後見の申立や後見人の受任案件、被災地の出身の方の相続財産管理人として被災地の土地の権利関係の処理を担当している案件などがあります。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする訴訟の受任はありませんでしたが、昨年までに受任していた事件を機に、県内のある基礎自治体(町)から顧問契約をいただき、自治体の業務を巡って生じた法律問題について相談を受けています。行政(別の自治体)を相手方とする相談も幾つか受けています(区画整理関係など)。

刑事事件については、若手弁護士の激増の影響で国選事件は大幅に減りましたが、私選弁護の受任が増え、長時間の従事を必要とする複雑な事件や起訴されずに釈放され短期間で終了する事件まで、様々な案件を扱っています。

その他の業務としては、昨年に引き続き、被災者支援の一環として、弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています(大船渡の法テラス気仙などの相談担当のほか、県内企業の風評被害を含む原発事故に起因して被った被害の賠償問題を対象とする無料相談制度などを担当しています。)。