北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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主要地銀も認めた「北東北=北奥」というブランディングと当事務所の魂

4月5日の日経新聞に、北東北の主要3地銀(岩手銀行、青森銀行、秋田銀行)が「北奥 HOKUOU 北東北の味とカタチ」と題する観光小冊子を共同で刊行したとのニュースが出ていました。
http://www.claska.com/news/2017/03/do_hoku-ou.html

主に女性の周遊客の獲得を狙って全国展開しているようで、ネットで調べた限り、タイトルを「北奥」とした理由を見つけることはできませんでしたが、女性観光客にこの地域を「オシャレ」にPRするには「北東北」という言葉ではなく、「北奥」と名付けた方が適切だと判断したものと思われます。

せっかく、そうした雑誌を出すなら、当事務所にも一声かけて欲しかったというか、それはさておき、北東北の主要3行が「北奥」という言葉(概念)に「北東北」の言葉にはない魅力や価値があると感じていることの表れなのでしょうから、一過性のものとせず、「北奥」という言葉を、北東北を象徴する概念として多くの方・企業などに用いていただければと思います。

ところで、私は平成16年に東京を引き払って岩手に戻る際、北東北の社会と人々のために生きる弁護士というコンセプトのもと、それを体現する言葉として「北奥」という企業名(事務所名)を考案し、以来、当事務所のアイデンティティとして掲げています。

もちろん「北東北法律事務所」などはネーミングセンスが悪い(また、北東北の三県全部に店舗展開しているならまだしも、ちっぽけな個人商店に過ぎないのだから、雅称を拝借するに止めておくべきだ)という判断があったことは言うまでもありません(他にも色々と候補名はありましたが、ここで挙げるのは遠慮します)。

もともと、他所で使われていたのを拝借したのではなく、自分なりに思いついた言葉でしたが、全くのオリジナルよりは、多少とも歴史などの重みがある由緒ある言葉を使いたいという欲があり、少し調べてみると、「北奥」という言葉は滅多に見かけないものの、全く使われていないわけではなく、歴史関係の書籍で北東北を一括りに論じようとする際に、稀に使われていることが分かり、それが決め手になっています。

以前にも書いたことがあるかもしれませんが、「東北(地方)」という言葉は、基本的に明治以後に成立した言葉ないし概念と理解しており、それ以前から存在している「奥州(陸奥・出羽)」という概念と比べて、歴史の重みを欠くというか、私自身はあまり好きではありません。

wikiによれば「東北」は幕末頃に使われるようになった言葉で、明治期に西南=勝者たる薩長土肥に対抗・抵抗する「民権(反官)の牙城ないし象徴」といったニュアンスで、この地を表す概念として広まったようです。

しかし、私に言わせれば、東北(奥州)は、明治政府(薩長土肥)の敵役であることが本質(地域のアイデンティティ)ではなく、戊辰戦役は「政見の異同」に過ぎないわけで、東北という言葉に縛られる(「ありき」で考える)のは、「この地が何者であり、どこから来て、どこに行くのか」という本質的な考察を失うことになりかねないと思います。

その上で、私自身は、この地の本質(固有の特徴)は、日本列島(北海道を除く本州)では弥生人(大和国家)の征服が遅れたことで縄文人の文化が最後まで残った地域であり、縄文人の末裔たる蝦夷(奥州人)がアイヌ(北海道人)と大和国家(弥生人)の双方と交流を持ちながら独自の文化・社会を維持していた(が、最終的に平安朝から鎌倉期にかけて大和国家に呑み込まれる形で同化した)という点にこそ求めるべきではないかと考えており、そのような理由から、必ず言われる「辺境性」と共に、異質な文化・民族が交わる結節点(融合点)的性格(地域的な事柄だけでなく、人的役割などを含め)を掘り下げる視点があってよいのではと考えます。

そうした意味では、大和朝廷に名付けられたものとはいえ、奥州という、何か得体の知れぬ異形の存在が潜んでいるかようなニュアンスを含む言葉を私自身は大いに気に入っており、この地域の人々は、もっと大切にしなければならないのでは?と思っています。

だからこそ、大和国家との同化の程度が強く「奥州人」としてのアイデンティティが現代ではほとんど消失している南東北と異なり、同化の程度が低く(遅れて)、抵抗と闘いの歴史や独自性の強い文化を擁している北東北の人々には、そのことへのこだわりを全国・世界に正しく表現して欲しいと思っています。

平成10年頃に「道州制」が盛んに語られていた際は、北東北三県の統合なども話題にされていたと思いますが、人口減少という大きな社会変化に伴い、改めてそうした議論が盛んになってくるかもしれません。

その際の「統合された地域の組織のあり方や名称」は、行政の都合で役所を統合するだけといった話ではなく、この地のアイデンティティを掘り下げ、地域の一体化に相応しい統合の哲学や言葉を探して欲しいと思いますが、「北奥」はそれに相応しい概念・言葉というべきで、地銀さん達に限らず地域の方々に広く使っていただきたいと思います。

現在は、当事務所の職員が電話口で事務所名を伝える際に「奥様の奥です」などと話している(しかも、県内の方に向かって・・)のを聞く都度、「せめて、みちのくの奥かムツノクニの奥と言って欲しいんですけど・・」という愚痴ばかりの日々というのが正直なところですが、いつの日か、「北奥州」の輝かしい成立の光景?を見届けることができればと地域の片隅で願っています。

平成28年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚請求や関連紛争(離婚時までの婚姻費用、面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、様々な立場の方から多数のご相談・ご依頼を受けています。被害者側の受任事案で、加害配偶者側が不貞を争ったものの、携帯電話の会話記録などを整理して不貞の事実を立証して賠償金が認められた例もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争離婚後に生じた子の引渡や親権の変更を巡る紛争など、親子の問題に関する事案の受任も複数あり、依頼主の希望をはじめ子の福祉など様々な事情を考慮し各種の調整を行い穏当な和解による解決に努めています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、遺産分割を巡って当事者間に激しい対立があり、遺産の評価や寄与分、特別受益など複雑な争点を伴う事案のほか、被相続人が死去の直前に親族に財産の一部を贈与する旨の書面を作成し、遺言としての様式は満たさないものの贈与としては有効になされているとして、法定相続人に請求した事案(法定相続人が要後見状態になり長期化した事案)などを手がけています。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、相続財産管理人やそれらの一貫として遺産の管理や付随する法的問題の対処などを行った事案もあります。

身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案や、信託のような特別な配慮をするのが望ましい事案は今後、急速に増えていくと思われます。

なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが紛争やトラブル発生の防止のため望ましいことが多いと思われますので、遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め、早期の対策などをご留意・ご検討下さい。

離婚・親子・相続などの問題に関しては、昨年中は幾つかのセミナーを行う機会がありました。それらの分野に限らず、セミナー講師などのご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、特定の産業分野(行政の規制対象)で自治体に営業許可を申請し不許可となった方々が、その行政処分に不服があるとして取消や許可の義務付けを求めて請求している訴訟を自治体側の代理人として受任しています。

詳細は差し控えますが、その分野に関する長年の政策的な積み重ねの当否などが争点とされている事案であり、担当の方から様々なお話を伺うと共に、行政訴訟に関する基本的な法律論(取消訴訟の主張立証のあり方や行政裁量の問題など)の検討も積み重ねており、大変しんどい裁判ですが、固有のルールが複雑に重なる行政訴訟を手がける上では、学ぶところの多い事件となっています。

他にも、区画整理に伴う損失補償の問題に関する事件を手がけたこともあります。

刑事弁護については新人弁護士の増加により受任件数は多くありませんが、被疑者段階を含め、窃盗や覚せい剤事案など主な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

また、私選での少年審判の受任もあり、事件の背景や今後のあり方など少年の更生環境を検討したりご家族とお話しする機会がありました。

その他の業務としては、昨年に引き続き被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています。数年に亘り大船渡の法テラス気仙など沿岸での相談を担当してきましたが3月に担当を外れ、本年は内陸部での相談が主となります。

平成28年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成28年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

争点としては、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案が多く、過去には死亡事故や重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案など、幅広い類型を取り扱っています。

事故直後など加害者側の示談案提示前の時期から受任し後遺障害の認定申請なども含めた支援を行う例も増えており、実務では非常に多い「レントゲン等による所見が確認されない神経障害に関する後遺障害(14級9号)の成否」などについて、幾つかの例を通じ知見を深めることができた1年だったと思います。

また、本年は学校で生じた生徒間の事故に伴う賠償請求訴訟(後遺障害の評価が主な争点となったもの)、若年者間のスポーツ事故に関する賠償責任や関係者間の求償(加害者側と施設管理者の責任割合など)につき検討を要した事案など、加害者(損保)側の立場での検討を含め交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

他にも、福島第一原発の事故に基づく東京電力に対する賠償請求(県内企業が受けた被害の賠償を求めるもの)を手掛けており、特殊な事情から長期化したものの、先般、原子力紛争解決センター(ADRの手続)で相当な解決案が示されて無事に終了できました。

現在のところ弁護士費用特約は保険料も低廉でご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします。

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

個人間の貸金に関する紛争(授受の当事者双方が死去して貸主相続人が借主相続人に返済を求めたものの、相続人は双方が貸金に関与しておらず、領収書などの直接証拠が乏しく立証に課題のあった事件)、不動産の登記(古い登記の抹消など)に関する訴訟、労働審判(労働者側)など、多くの事件を手がけています。

不動産の賃貸借の紛争では、契約終了に伴う貸主からの借主への目的物返還や賃料などの請求を貸主代理人として扱った案件が幾つかありますが、中には、「貸主の相続人が借主に明渡等を求めたところ、借主が、被相続人から目的物を(廉価で)譲り受けたと主張し、被相続人と借主との間で売買契約が締結されたかどうかが争点となった例」もありました。

「被相続人(ご両親など)と相手方との間で何らかの問題が潜在し、相続の際にそれが噴出して相続人が法的対応を余儀なくされ、被相続人の真意や生前の協議内容などを巡る事実の立証などが問題となる事案」は、昔から非常に多くあります。ご高齢のご両親などが多くの権利関係を有するのでしたら、ご親族内部に相続紛争などの問題がなくとも、対外的に問題が生じる可能性があることも踏まえて、ご両親から事情を確認していただくなど適切な対応・ご準備を考えていただければと思います。

また、多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害や近隣トラブル、労働事件など生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じており、大半の方が震災無料相談制度を通じて費用負担なくご相談いただいています。

(以下、次号)

平成28年の取扱実績①全体、中小企業法務、債務整理・倒産

当事務所では、数年前から毎年1回、前年の業務実績の概要をブログで公表しています。例年、1月か2月頃に業務実績を顧問先にお送りして、その後にブログに掲載することとしていますが、諸事に追われブログへの掲載の方がかなり遅くなりました。

今回も当事務所WEBサイトの「取扱業務」に基づいて分類し、3回に分けて掲載します。依頼先の選定などの参考としていただければ幸いです。

(1) 全体的な傾向など

平成28年も、①交通事故などの各種事故(主に被害者側からの賠償請求)、②離婚や相続など家族・親族間の紛争や各種法律問題、③企業倒産や個人の債務整理、④企業の取引や内部紛争、⑤個人の方に関する各種の民事上の法律問題などについて、様々な分野の紛争解決や法的処理のご依頼をいただきました。

全般的には、①②は件数も多く論点も様々で、③④⑤は件数こそ多くないものの作業量や問題となる点が多い大型案件の解決に力を注いだ1年になりました。

(2) 企業・団体の業務や経営上の法的問題に関する支援

①旧所有者による廃棄物の不法投棄に伴う撤去費用を請求した事件

A氏が建物の建築目的で岩手県内の某土地を不動産業者Bから購入しC社に建築工事を発注したものの、着工後まもなく土地の地下にコンクリートガラや廃材などの廃棄物が埋設されているのが発覚したのでC社が調査したところ、10年以上前に同土地でD社がコンクリート製の建物を建築して営業しており建物解体の際に不法投棄された疑いが濃厚だとして、D社の責任を求めたいという相談を、C社(A氏から相談を受けて被害解決の窓口役を担当)から受けたという事件があります。

直接の被害者はA氏ですが、瑕疵担保責任などの事情からA氏に土地を売却したB社にも被害が生じ、最終的にC社にも様々な損失が生じるおそれがあった事案で、実質的にはB・C社vsD社側の様相を呈しました。

様々な検討の結果、D社側に賠償責任を問うべき案件として請求したところ、D社は「残置物は自分達の建物の解体物ではなく埋設もしていない」などと全面的に争ってきたため、D社側を相手に賠償請求しました。

D社側が全面対決の姿勢を示し「埋設された物はどこから来たのか、どうしてその土地の地下にあるのか、個別の埋設物とD社建物との結びつきはどうか」などの様々な問題について広範な主張立証を余儀なくされたほか、撤去費用の相当性なども争点になり、2年以上を経てようやく裁判所から和解勧告が出て、完全な満足ではないものの埋設物がD社建物から生じたものであるとの前提でD社側が相当の費用(解決金)を支払うという当方の主張を十分に酌んだ内容の勧告をいただき、協議がまとまりました。

膨大な労力を投入せざるを得ず、消耗の大きい事件でもありましたが、不法投棄問題に関しては日弁連の活動を通じ廃棄物処理法のルールを多少は存じており、その知見を活かすこともできたので、その点は何よりでした。

②業務委託契約で途中で問題が発覚し頓挫した後、報酬や損害の負担が争われた例

A社がB社から受注した業務の委託料などを請求する訴訟をA社代理人として対応し、当方の請求を認める判決をいただき無事に回収して終了したものがあります。

受注した事業に関する行政手続上の不備(Aが事業のため用意した設備に関するもの)で事業が途中で頓挫したため、Bは「契約時のAの説明に問題があった」と主張して支払義務を争い、Aに賠償請求しましたが、契約の締結から事業の破綻までにいたる事実経過を丹念に説明し、双方の尋問結果も踏まえ、Aの対応に特段の問題はなかったとして、Bの主張が退けられました。

ただ、A側も事業の準備のため多額の経費を投じたものの経費を賄うだけの売上を得られたわけではなく、両社痛み分けに終わった面もないわけではありません(A側にも見通しの甘さなどの反省点はあったと思います)。

この件のように受発注の対象となった事業の継続性に何らかのリスクが内在する場合は、リスクの発現時に責任の所在を巡り泥沼的な紛争が生じることが非常に多くあります。

事前にリスクを予め検討して明確化すると共に、そのリスクが現実化した場合の負担を誰がどのような形で負うのかを予め契約書などで明示しておくことで、裁判等による紛争の長期化、高負担化を避けることができます。

契約前にそれらのリスクや不安を具体的に弁護士に説明いただければ、それに見合った文言などを整備し紛争に備えると共に、問題が生じる可能性や生じた場合の帰結を互いに意識しておくことで、リスク発生を防ぐよう互いに努力する契機とすることもできますので、事業者の方々におかれては、「ご自身が従事する事業に内在するリスクの確認と対処(弁護士への相談を含め)のあり方」を強く留意いたきたいところです。

③その他の紛争としては、「Bビルに入居していたA社が短期間でCビルに転居した際に、Bビルの入居時に差し入れた敷金の返還(破損部分の修繕を除いた残金)を求めたところ、AB間の契約書に壁紙やカーペットなども全面的に取り替える趣旨の特約(通常損耗負担特約)が含まれていたため、Bがそれらの交換費用等を理由に敷金全部の返還を拒否し、Aが納得できないとして返還請求した訴訟」をA代理人として対応しています。

事業者間の紛争であるため消費者契約法が適用されないものの、敷金に関し過去に積み上げられた議論や最高裁判決の趣旨などを踏まえ、本件では通常損耗を借主に負担させる合意は成立していないと主張し、それを前提とした勝訴的な和解勧告をいただき解決しています。

他に、中小企業庁が行う「下請かけこみ寺」事業に基づき小規模な受注業者の方から発注者の不当対応についてご相談を受けることもありました。

(3) 債務整理と再建支援

倒産件数が激減している社会情勢に伴い、自己破産、個人再生、任意整理とも受任件数は数年前に比べて僅かなものとなっていますが、近時は、「総債務額が極端に大きな額ではない(100~200万円未満)ものの、僅かな収入しかない又は無収入ゆえ自己破産をせざるを得ない方(生活保護の方を含め)」からの依頼が増えており、社会で広く言われている格差や貧困の問題を実感させるものとなっています。

企業倒産(破産申立)に関しては、約10年前に民事再生の手続の依頼を受けていた会社さんが様々な事情から法律上の問題が顕在化し、それらの整理・解決のため本年になって自己破産の申立を余儀なくされたという事案があります。

企業に関する破産管財業務では、平成27年に管財人に就任した製造業を営む会社に関し、訴訟や原発ADR、原状回復作業などの事務処理や法的手続が必要となり、本年に受任した建設関係の会社についても多数の不動産の任意売却や賃借関係の処理、労働債権の対応など様々な法的対応に負われました。

また、金融機関に巨額の債務がある一方で、それ以外にほとんど負債がない事業者(金融債務の連帯保証をしている方)から廃業支援の依頼を受けて、金融機関に一定の弁済を行うとの前提で、破産手続で認められた額(99万円)よりも多い個人資産を手元に残した状態で破産せずに債務免除を受けることができる手続(経営者保証ガイドライン)による解決を実現すべく、現在も交渉している案件があります。

他に、個人の方の破産管財人を受任した事案で、破産手続前に親族への無償譲渡行為があり、否認権を行使すると共に、債権者への配当原資の確保のため様々な工夫を行ったケースなどがあります。

(以下、次号)

平成29年の年頭のご挨拶と新聞雪崩警報の先にあるグローバル社会の今後

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

例年は年末に妻の実家に帰省するのですが、今年は事情により正月を自宅で過ごし、その後に若干の休暇をいただく予定です。

そのため、大晦日の夜は、年末に済ませることができなかった「面倒な作業や論点が山積みの企業倒産(管財)事件における労働債権(論点多数)の弁済表と裁判所向けの検討レポート及び元従業員の方々への通知書面」の作成で過ぎてゆき、気がつくと、新年の6時頃には恒例の事務所ソファの寝袋で初日の出を見ながら昼まで初夢気分という、この上ない素晴らしい正月になりました。

昔は、深夜3時か4時くらいには仕事を切り上げて、残りの時間で溜まった日経新聞を一気読みするのが習慣だったのですが、根気が続かない老骨へと堕してしまったのか4ヶ月以上も山積みになるばかりの有様で、先日ようやくお盆の頃の「トランプ氏が失言で支持急落」などという記事を見て、おぉ、ヒラリー逃げ切りかなどと微笑ましい感想を抱いている次第です。

司法改革に伴う町弁業界の荒波と迷走は止まるところを知らず、社会正義のやりとりをする法曹界も今や大規模な弱肉強食の時代に突入していますが、群れに馴染めず権威にも束縛する権力者にもご縁がない田舎のしがない一匹狼の町弁として、ドラマではなく現実に存在する危機的な裁判実務の穴埋めに役立てるよう、今後も精進して参りたいと思います。

今年も町弁の基本である「①中小企業法務、②家事(男女・親子・相続等)全般、③交通事故などの賠償問題、④倒産・債務整理全般、⑤その他の民事上の法律問題・各種紛争」の5分野が業務の基軸になると思いますが、成長著しい若い世代をはじめ県内の他の先生方に負けることのないよう、研鑽を積んで法律家としての地力を高めると共に、一定分野・類型での特色やアドバンテージをより強調できればと考えています。

昨年の最後の投稿になった前回のブログでは、「平成という時代は個人の多様性と尊厳(に対する社会の包容力)という日本国憲法の最高規範(根源的価値)がようやく日本社会に浸透していく過程を描いた時代だったのではないか」、「次の時代は多様性の深化が進む一方、それを拒絶し既存のスタンダードの墨守を求める勢力との抗争が強まる時代になるのではないか」という趣旨のことを書いていました。

すると、本日の日経新聞の「私の履歴書」で登場したカルロス・ゴーン氏が「現代に大切なのは、アイデンティティを失わずに多様性を受け入れることだ。自分の人生がまさにそのようなものであった」という趣旨のことを仰っているのを見つけ、我が意を得たりと思わずにはいられませんでした。

アイデンティティと多様性という二つの核は、時に激しく対立する要素を有している一方、人間(個人)の尊厳(憲法13条)という触媒を通してこそ最もよく結びつき、輝くものでもあろうと思います。

そうした理念を掲げた武器(法)をもって闘う存在たる我々法律実務家の社会での役割は、ますます深化されるべき面があるはずで、そのことも視野に入れながら、良質な研鑽に努めて参りたいと思います。

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岩手の弁護士の「Webサイトの歴史」と、そこから見えてくるもの(後編・県内の各事務所のサイト開設状況と特徴)

前回に引き続き、岩手の弁護士に関する「Webサイトの歴史」をテーマに取り上げます。といっても、前回は当事務所の実情を中心とした説明でしたので、今回が「本番」のようなものです。

まず、前回述べたとおり、「岩手でWebサイト(以下「HP」と表示)を作った最初の法律事務所」が当事務所であることは間違いないと思いますが、「最初の弁護士」であれば、正しくありません。

お名前を出してよいか分かりませんが、平成14年か15年頃?に、現会長である小笠原基也先生が個人としてのHPを開設されているのを拝見したことがあります。弁護士としての業務よりもご自身の趣味(B級グルメ?)に関する話題が中心だったように記憶していますが、残念ながら現在は閉鎖されているようです。

以下、私が把握している限りで、現在HPを開設している県内の法律事務所を大凡の開設時期順に列挙します。

他にもサイトを拝見したことがありますが、理由は存じないものの、現時点では閉鎖され閲覧できない状態になっていましたので、ここで取り上げるのは止めておきます(新サイトを開設されているのかもしれませんが、確認できておりません。ご存知の方はお知らせいただければ幸いです)

また、iタウンページや弁護士紹介サイトなどに登録されている方なら他に何人かお見受けしていますが、ここでは「事務所自身のサイト(HP)」を開設しているという方に限って取り上げています。

1 当事務所(H17。盛岡)
2 小原恒之先生(リーガルスピリット。H20頃。一関)http://www.obara-law.jp/index.html
3 前田毅先生(早池峰。H23頃。花巻)http://www.hayachine-law.com/
3 八木橋伸之先生(岩手総合。H23頃。盛岡)http://iwatesougou-law.jp/index.html
3 熊本賢吾先生(H23頃?。一関)http://kengo-law.jp/index.html
4 川見哲一先生(岩手銀河大船渡。H24。大船渡)http://gingaoofunatojimusho.seesaa.net/

5 安部修司先生ほか(はなまき。H25。花巻)http://www.hanamaki-lo.sakura.ne.jp/index.html
5 千田實先生(H25頃?。一関)http://www.minoru-law.com/index.html
5 深瀬墾先生(H25頃?。北上)http://hiraku.jp/
5 桝田裕之先生ほか(セントラル。H25。盛岡)http://cent-law.com/
6 村井三郎先生(H26。盛岡)http://www.morioka-murai-law.com/index.html
6 吉田瑞彦先生(H26頃。盛岡)http://iwate-law.com/
6 加藤文郎先生(岩手銀河水沢。H26。水沢)http://iwateginga.sakura.ne.j  p/wp/
7 小野寺泰明先生(H27頃。盛岡)http://lawyer-yasuaki.sakura.ne.jp/
8 川上博基先生ほか(H28頃。盛岡)http://kawakami-law.com/index.html

パートナー方式で経営されている(と思われる)事務所は「ほか」を付し、加入弁護士の先生(全員)が恐らくイソ弁(勤務者)と思われるところは複数事務所でも「ほか」を付さずに表示していますが、正確には存じていない先生も多く、その点はご留意下さい。また、全部で15件もありますので、H25前後で一行あけています。

よく見ると、分かる人にはすぐ分かるのですが、「岩手で弁護士としてのキャリアをスタートした人」は、最近開設した方々を別とすればあまりおらず、早い段階でHPを開設している方々は、ほとんど全員が東京や仙台で弁護士としてのキャリアをスタートさせ、それから岩手に移転してきた方になっています。

この点は、地元のご出身で最初から岩手で登録するなど、地縁=人脈=受任ルートの多い方は、十分な受任件数(体制)があり、「宣伝ツール」としてのHPは必要としていないということを示しているのかもしれません。

また、八木橋先生のように「岩手・盛岡を代表する有力弁護士」と認知されている先生のサイト(内容・体裁)は、宣伝(集客)目的というより、顧客たる企業・団体さんなどとの関係でHPくらいは作っておくべきというお考え(一種の企業イメージ戦略)に基づくのではないかと思われますし、他にも有力な先生のHPでそのような印象を受けるものがあります(宣伝色の薄いHPは、東京の大事務所などによく見られます)。

そんなわけで、「岩手でHPを作成する法律事務所のまとめ」としては、総じて次のようなことが言えるのではと思います。

・東京など「外」から来た人(外で働いた経験のある人。特に若い世代)ほどHPを作る傾向がある。地元出身者や最初から岩手で開業(弁護士登録)し、すでに一定のキャリアを積んでいる方は、最近までほとんどHPを作らなかった(特に、盛岡)。

・岩手の法律事務所のHPは、平成25年頃に一気に増えた(これは、弁護士激増や債務整理特需の終焉による地方の町弁の業界不況が本格化したことと同じタイミングである)。

・当事務所を例外とすれば、HP作りはもともと県南・花北で盛んだったが、近年は盛岡でも広がり、市内で最有力(代表格)と目されている先生方が次々にHPを開設するようになってきている

・中には、ご自身(事務所関係者)ではなく本格的なHP作成業者やコンサルタント?に依頼し東京の事務所のような強い広告効果を意識していると見られるHPもあるが、全体としては手作り感のあるものがほとんど。

・イソ弁の加入などにより複数事務所となった(或いは規模が拡大した)時点でHP開設に踏み切る先生(法律事務所)は、割と多いように感じる。

・県内の日弁連ひまわり基金事務所や沿岸地域の事務所は、HPを開設しているところがほとんどない(現時点で確認できたのは、大船渡の川見先生のみ)

そんなところで、色々と感じたことを好き勝手に書き連ねましたが、やはり我々「岩手(地元)の弁護士」にとっての商売敵は、岩手で起きている事件(弁護士の支援を必要とする法律問題)を、派手な宣伝など何らかの「事件・当事者にとって、遠方の弁護士に依頼するのが必ずしも合理的でない理由」でさらっている東京や仙台その他の弁護士というべきだと思います。

そうした方々との「大受注競争」に負けないためにも、各人が個性を発揮したり研鑽を高め、そうした「地元業者の価値の増進」のため結束して立ち向かう仕組み作りや意識の涵養、さらには県民・県内企業などへの認知や信頼を高める努力が必要なのではと思っています。

などと偉そうなことも申しましたが、残念ながらそうしたことを話す機会も相手もなく、昔も今も独り不平を託っているというのが私の恥ずかしい実情です。

岩手の弁護士の「Webサイトの歴史」と、そこから見えてくるもの(前編・前置きとしての当事務所の実情)

私は平成12年に弁護士になり、平成16年11月に岩手に移転・開業しましたが、平成17年の秋頃に当事務所のWebサイト(以下、「HP」といいます。)を開設しています。

これは、東京ではすでに弁護士のHPも当たり前になりつつあったことや、私自身、「岩手は司法過疎の地域であり、弁護士にアクセスしたくても、上手にできず困っている人は沢山いるはずだ。そうした方のアクセス障害を取り除きたい」との気持ちが強かったことが最大の理由です。

後記のとおり、平成17年当時は「HPを開設している法律事務所」は岩手県内では誰もおらず、その意味では当事務所が「先駆け」となったことは間違いありません。

もちろん、盛岡に地縁・血縁等のない私にとって営業対策ということも頭になかった訳ではありませんが、当時は「弁護士過疎」の言葉どおり、とりわけ若い世代の弁護士には、刑事の国選・当番をはじめ、単価の大きくない仕事でしたら山のようにご依頼等をいただき、食べるのに困らない生活はできましたので、営業面ではHPを開設する必要はありませんでした(他の先生方も同様の状況だったからこそ、県内では誰も作る人がいなかったとも言えます)。

余談ながら、平成16年という年は何かと話題のアディーレ法律事務所が開設された年でもあります。開設直後のHPを見たことがありますが、代表の方の顔写真が最近ネット等でお見かけするご本人の写真と比べ、あまりハンサムに写っていなかったように感じた記憶があります。

HPを作って依頼が殺到したかと問われると、全くそうではなく、大雑把に申せば、平成20年頃までは1ヶ月に1、2件程度?の問い合わせがあったに止まったように記憶しています(ちなみに、同時期に大阪で開業された同期の方は「HPで毎日のように次々と依頼が来る」と仰っていました。現に、今ではその事務所は大阪でも有数の規模に成長されているようです)。

これは、旧HPをご覧になった方はご存知のとおり、ホームページビルダーを購入して自前で作成したという、見栄え的にも「ぱっとしない」ものだったせいかもしれませんが、それ以上に、岩手県民に「インターネットで依頼先の弁護士を探す」という文化が乏しかったということも大きいのではと感じています。

ちなみに、現HPも、同様にホームページビルダーを買い替えて平成25年に作成したものです。所内にPCの達人(元システムエンジニア。但し文系)がいますので、その点は大助かりしています。

結局、身内の事情や私自身の適性などの事情から、私(当事務所)に「拡大志向」がほとんどありませんでしたので、ネットなどを通じた集客宣伝や大量受注の受け皿としての新人弁護士の採用などといったことは一切することなく、受任(営業)を支える幾つかの柱の一つという位置づけで淡々と運営してきたというのが実情です。

大まかな記憶としては、平成20年から22年頃は、債務整理(過払金)絡みのご依頼をHP経由でいただくことはそれなりにあったと思います。これは、「過払金」が社会内で大きくクローズアップされ、東京の一部事務所が全国的な宣伝を行ったことから、社会内でも認知が高まった一方で、この時期はまだ岩手に「出稼ぎ」に来る東京等の事務所がなかったことなどが要因になっているのだと思います。

これに対し、(何度も書いていることですが)平成23年(震災の年)以後は、債務整理絡みのご依頼は急激に減少しています。これは、法改正や一部の貸金業者の倒産などに起因する社会問題としての高利金融被害(町弁業界にとっては特需)が終焉に向かったこと、その一方で県内の弁護士も激増して「パイの奪い合い」が顕在化したことのほか、岩手に関しては、沿岸まで片道2時間以上をかけて何度も被災地の相談活動に赴いた、我々「地元の町弁たち」を尻目に、地元紙やTVで過払金に関する大宣伝攻勢をして頻繁に県内の公民館等に陣取る「東京の法律事務所の出張相談会(私は「地方への出稼ぎ」と呼んでいます)」が盛んに登場するようになったことの影響が大きいのだろうと思われます。

他方で、平成25年頃は、「弁護士ドットコム」経由の相談依頼が多く寄せられたと記憶しています。主なものは不倫・離婚などの男女トラブルや相続など家庭内の問題や近隣トラブルなどでしたが、事件性が薄いなど相談のみで終了することの方が多かったように思います。

26年頃からは、盛岡市内の複数の法律事務所(有力な先生が運営されているもの)でもSEO対策などネット上での集客に力を入れるようになったせいか、「弁護士ドットコム」をはじめ、ネット経由でのお問い合せは、現在では平成25年頃と比べて大幅に減っています。

ただ、それでもHPを通じてご相談等を受ける機会は月に数件程度はいただいており、「債務整理や国選・当番を中心に次から次へと依頼があり、てんやわんやだった」という震災以前の恵まれた時代とは異なり、大変ありがたく対応させていただいているというのが正直なところです。

当事務所での「お子様づれ」のご相談とキッズルームが示す業界の近未来?

日弁連の機関誌「自由と正義」の7月号に、大阪弁護士会館にキッズルームが昨年に新設されたとの記事が出ていました。

確かに、弁護士会館にキッズルームがあるという話はこれまで聞いたことがなく、東京の日弁連会館(日弁連と東京三会が入居)に存在するのか知りませんし、岩手弁護士会(サンビル2階)はもちろん、仙台の弁護士会館にもたぶん設けられていないと思います。

これに対し、個々の法律事務所に関しては、何年も前から「キッズルーム完備!お子様づれも安心してご相談下さい!」とHPで標榜している事務所は珍しくありません。

かくいう当事務所も、いわゆる「キッズルーム」こそありませんが、諸般の事情で幼児向けの用品類(揺りかご風の幼児用ベッドや逃亡防止用?の柵のようなものなど)が色々とあり、少しですが幼児用の本なども置いていますので、ある程度、相談中にお子さんを飽きさせない工夫ができるようになっています(ちなみに、岩手弁護士会=相談センターには、私の知る限り、そのような設備云々は微塵もありませんし、法テラス岩手も同様ではないでしょうか)。

裏を返せば、岩手に限らず、ほとんどの弁護士会では、相談中に幼児をフォローするための設備すら全くない状態が続いているのであり、一向に「女性会長」の登場の気配がない日弁連の役員人事なども相まって、我が業界(の元締めたる弁護士会)の後進性を示すものの一つというべきなのかもしれません。

これをさらに進めて「弁護士会は業界の支えにならない。現代のニーズを多く取り入れている有力な弁護士事務所らによって業界が変革されるべきだ」などと言い出すと、まるで雄藩連合による幕府改革(或いは維新云々)の主張っぽくなってきますが、さすがに冗談が過ぎましょうか(今、「花燃ゆ」の実質的原作にあたる「世に棲む日日」を読んでますので、その影響の戯れ言とご容赦下さい)。

それはさておき、大阪弁護士会のキッズルームは、相談者や会員等による託児利用だけでなく、面会交流の場として使用する試みも始まっているそうで、この点は非常に画期的ではないかと思います。

裏を返せば、公的施設に設けられたキッズルーム等も、そうした形で利用したり、様々な可能性があるのではないかと感じますし、関係者の模索に期待したいところです。

そういえば、裁判所や検察庁には託児サービスがありませんので、彼ら(お役所)にそのような機運が生じないのであれば、盛岡に限らず全国の弁護士会の大半は裁判所等の近くにありますので、相談者等の利用に限らず、裁判期日に出廷(証人など)する方など向けに有料利用できるようにするというのも「小口収入」という点では一つの策かもしれません。

ただ、裁判所には面会交流向けの「キッズルーム(試行面会室=面会交流・親権紛争の調査施設)」がありますので、使用していない時間に裁判所の利用者のため開放するような試みはあってよいのではと思います。

こうした話は「国民の声」がないと動きにくいでしょうから、裁判員裁判に参加された方などから、裁判所の方々に向かってゲシゲシと嫌みの一つでも仰っていただければと思います。

平成27年の取扱実績③家庭(離婚・親子・後見)、相続、行政、刑事ほか

前回に引き続き、平成27年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(6) 家庭生活や親族関係、相続を巡る法的問題やトラブルの解決

離婚やこれに関連する紛争(離婚時までの婚姻費用面会交流、離婚後の養育費のほか、破綻の原因となった不貞行為を巡る賠償問題など)については、昨年も多数のご相談・ご依頼を受けています。芸能人の報道で話題になったように、当事者のデジタルの会話記録を入手、整理して不貞の事実を詳細に立証して高額な賠償金が認められた例もあります。

概ね、半年から1年程度の審理を経て和解する例が通常ですが、中には、子の引渡しや親権をはじめ不貞行為などを含め夫婦間に厳しい利害対立があり、2年以上に亘り様々な訴訟手続を行い争いを繰り広げた末に和解が成立し終了したという案件もあります。

夫婦間の子の引渡を巡る紛争母が子を連れて別居した直後に、父が子を連れ戻し母との接触を拒否したため、母の代理人として子の引渡と引渡までの面会交流を求めたもの、その逆に、別居した母が子と同居する父に子の引渡請求を行い、父側で受任したもの)も何件か受任しており、昨年に従事した事案では、当方依頼主の主張が認められています。

子を巡る紛争は、面会交流を含め近時は著しく増加しており、裁判所は子の福祉のための環境のあり方を重視しますので、お子さんのことを深く考えて柔軟な対応が求められることも多いと感じています。

成年後見に関しても、裁判所から、後見人のほか、保佐人・補助人として選任される例が増えています。前者(後見)は重度認知症などの方を対象とし、後者(保佐・補助)は疾患等があるものの一定の意思疎通が可能な方のために財産管理を支援する業務であり、ご本人の日常生活への配慮など後見とは異なる難しい配慮が必要となる例もあります。

相続分野では、自筆遺言証書に基づく財産相続を受けた方から、その内容を遵守しない他の相続人にやむなく訴訟提起し、遺言の内容(効力)が争われたものの、無事に当方の主張が認められた事案や、きょうだい間で不和が生じ当事者間で対話が難しい状況にある方のご依頼で遺産分割を行った例などがあります。

また、身寄り(配偶者や子、両親、近しいきょうだい)のない独居の高齢者の方が亡くなり、親族(後順位相続人である兄弟姉妹や代襲相続人)のご依頼で、多数の親族関係者の意向調査や利害調整を伴う遺産分割や預金払戻などを手掛ける機会もありました。

昨年も、相続放棄やご家族(妻子・両親・兄弟姉妹等)の死去等により相続人が不存在となった方について、裁判所の要請で相続財産管理人に就任し権利関係の処理を行う事案が幾つかあったほか、関係者のご依頼で、特別縁故者に対する財産分与の申立を行った例もあります。

今後、身寄りのない方であれ、身内の「争族」が危惧される方であれ、法的手続を通じて相続財産の処理をせざるを得ない事案は増えていくと思われますが、なるべく生前に相続や財産管理のあるべき姿について、遺言などを通じ適切に意思を表明していただくのが、紛争やトラブル発生の防止のため望ましい面がありますので(遺言の内容や書き方などに関する弁護士等へのご相談も含め)、ご留意下さい。

この点に関し、1月に明治安田生命(盛岡支社)さんのご依頼で相続や遺言に関するセミナーを行う機会がありました(現在も第2弾の真っ最中です)。相続に限らずセミナー講師等のご要望がありましたら、ご遠慮なくお申し出下さい。

(7) 行政との訴訟、刑事事件、その他の業務

行政を当事者とする紛争では、長年に亘り区画整理の問題を抱えていた事業者の方から、整理事業の実施に伴う建物等の撤去により自治体が提示した損失補償額に不服があるとして、県庁(収用委員会)による損失補償額に関する裁決手続を行った例があります、

また、先般、岩手県庁の依頼で、ある行政訴訟(県の行政処分を受けた方が不服があるとして取消請求している事件)を県の代理人として受任した事案があります。

他にも、特殊な事例で国に対する国家賠償請求訴訟を手掛ける機会もありました。

刑事弁護については、新人弁護士の増加により受任件数は減少傾向にありますが、被疑者段階を含め、窃盗や傷害など主要な犯罪類型に関し幾つかの国選事件を手掛けています。

その他の業務としては、昨年に引き続き、被災者支援の一環として弁護士会の被災地向け相談事業に参加するなどしています(当職は大船渡の法テラス気仙などを担当しています)。

平成27年の取扱実績②交通事故等(賠償)、生活上の問題(消費者・契約)

前回に引き続き、平成27年の業務実績(従事ないし解決した紛争の概要)を守秘義務の範囲内で簡単にまとめました(全3回)。依頼先の弁護士を選定する際に参考にしていただければ幸いです。

(4) 事故等による被害の賠償等の請求や防御に関する支援

本年も、交通事故の被害者側での受任事件が多数あり、そのほとんどの方が、ご自身が加入する任意保険の弁護士費用特約により費用負担なく利用されています。

受任の内容も、過失割合(事故態様を巡る事実関係)が主な争点となる事案、物損の金額が争われる事案、むち打ち症(頚椎捻挫など)に基づく人身被害の賠償額の算定が中心となる事案のほか、過去には死亡事故や重度の後遺障害が生じて多様かつ多額の損害の算定が争われる事案も含め、幅広く取り扱っています。

また、学校で生じた生徒間の事故に伴う賠償事件など交通事故以外の人身被害に基づく賠償事件に従事する機会もありました。

他にも、福島第一原発の事故に基づく東京電力に対する賠償請求(県内の企業が受けた被害の賠償を求めるもの)を手掛ける機会あり、先般、原子力紛争解決センターに対するADRの申立を行っています。

現在のところ弁護士費用特約は保険料も低廉でご自身が被害を受けたときに弁護士への依頼の円滑さを確保する点で絶大な力を発揮しますので、必ず、この特約が付された任意保険に加入いただくよう、お願いいたします

(5) 個人(消費者)が交わす契約や社会生活を巡る法的問題の解決

不動産の賃貸借(契約終了時の貸主の目的物返還請求、借主の保証金返還請求など)や金銭貸借に関する紛争、不動産の登記に関する訴訟に関する紛争などを取り扱う機会がありました。

また、後述の震災無料相談制度を通じ多数の方々にご来所いただき、各種の消費者被害近隣トラブル労働事件など日常的に生活上の様々なトラブルに関するご相談に応じています。

本格訴訟としては、自宅建築目的で購入した土地で過去の所有者による不法投棄が判明し、証拠上、投棄への関与や監督責任があると認められる企業に賠償請求した事案を取り扱っています。相手企業側が強く争うことから投棄行為の立証のため様々な資料の提出を余儀なくされており、2年以上も続く難事件となっています。

その他にも、貸主側(貸主の相続人)の代理人として借主の賃料不払を理由に賃借物件の明渡請求をしたところ、借主側から、被相続人との間でその物件を購入する合意をしたとの反論があり、当否(売買契約の成否)が争われた事案(1審勝訴で相手方が控訴中)、数十年前に売買がなされた土地で、法務局に備え付けられている公図の表示などに問題があり、現在の登記などの状況では売却が困難であるため、当時の土地の使用状況や名義人の相続状況などを詳細に調査して取得時効による解決(移転登記請求)を図った事案(1審勝訴で完了)などを取り扱っています。

他にも、対人トラブルに起因する名誉毀損絡みの訴訟に関するご依頼もありました。

(以下、次号)