北奥法律事務所

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無料掲載を装う悪徳求人広告被害について

最近は沈静化したと思いますが、5年ほど前には、小規模企業に対し、インターネットで求人広告を掲載するとの勧誘を行い騙し討ちのような形で不当な高額請求を行う業者が全国規模で多数出現し、その相談を受けたことが何度もありました。

それらの業者は、あたかも無料掲載であるかのように装いつつ「無料掲載は最初の短期間だけで、その期間を経過すると高額な有料掲載に自動更新する契約であり、お宅はそれにハンコを押した。よって数十万円払え」という請求を行うのが通例で、安易に応じてしまった多くの事業主が泣かされる事態が膨大に生じました。

当方も当時は数件の依頼を受け、いずれも「悪徳商法だから一切払わない」などと抗戦したところ、運良く?ゼロ和解ができたり、膠着状態でそのままとなったり、当方が了解可能な少額な解決金で決着するなどの経験をしたことがあります。

この件は今も全国で続いているのだそうで、私も形だけ参加している同業者の情報交換サイトMLでは、活発な意見交換がされているようです。

悪徳業者と名指しされた業者の中には、(恐らくは対決姿勢を示して支払っていないのであろう)歯科医院に対し、「虫歯などの酷い画像を付けた負の広告」を出してくるという挙に及んでいるものもあり、それを見たときは呆れるばかりでした。

以前、闇金が「(刑罰金利を前提とした悪徳融資の)返済をしなかった女性について、事前に送信させた裸の写真をネット上で掲載している」との報道も見ましたが、それに類するような酷い話だと思いました。

こうした事案に限らず、事業者の皆さんには人手不足などの問題があっても安易な電話等の勧誘に応じることなく、求人などの課題は健全な常識に適う方法で解決を図っていただきたいものです。

 

国会を少数精鋭の府に~歳出削減と定数不均衡の一挙解決策としての間接選挙制~

国会も地方議会も、議員数が多すぎるとか、国会議員の報酬などが(労働ないし人物の質に比して)高すぎるなどという議論がある一方、小選挙区制では一人一票の原則(投票価値の平等)を守るには、相応の議員数が必要だと言われています。

その是正策として、近時は中選挙区の復活論も耳にしますが、もっと抜本的な解決策を考えてもよいのではと思います。

例えば、盛岡選挙区では10人前後の選挙人を有権者が選び、当選した選挙人達(全国で2000人程度の規模)の互選で数十人~100人以内程度の議員を選ぶという方法(間接選挙型の国会議員選挙)はどうでしょう。

選挙人は基本的に議員の選出を行うだけの仕事とし、さほどの負担がないことから実費等を除けば原則として無給とします。

国会で討議を行うのは「議員」のみですので、「選挙人」のため新たに施設を作る必要もありません(投票=議員選挙はしかるべき場所で実施すれば足りるでしょう)。

これなら、①選挙人なら若者など就労中の者も立候補が容易、②選挙人を全国で2000人規模とすれば人口比で調整可能なので、定数(人口比)問題も一挙解決、③有給の議員数を大幅に減らすので、税負担も減り、人材の少数精鋭化にも資する、と考えます。

また、選挙人に選ばれる国会議員は、現在の金額に匹敵する相応の報酬を支払う代わりに原則として議員活動に専念させる(兼業禁止・許可制)ことで良いと思います。

現行制度は、大物歌手のような特別な経歴・知名度を有する若者しか立候補できないとか、逆に国民代表として相応しいと思えない残念な行状が露見している方でも有力政党の所属であるというだけで選出されてしまうバランスの悪さが否めません。

国民全体から「誰を代表にすべきか」の判断のみを託された2000人?程度の選挙人が、各人の見識や所属政党などに応じて国会議員を選ぶなら、知名度が極端に有利になることなく、能力や識見などを備えた御仁が選出される可能性は高まるように思われます。

また、選挙人は、選ぶだけでなく、個々の議員の解任権も持つ(その議員に投票した面々が過半数での解任権を有する)ものとすれば、国民の多くが望むであろう、任期中に重大な不祥事等を行った議員へのリコール制度を、間接選挙人の投票による議員の交代という形で、さほど高額な費用をかけずに実現できるでしょうし、国会議員側はもちろん選挙人自身も緊張感をもって仕事ができそうな気がします。

このような制度をとる以上、選挙人による議員選抜(間接選挙)は、秘密投票ではなく国民全員に投票行動が判明する公開(顕名)投票とします。

選挙人が選ぶ国会議員(専業議員)の出身地域は必ずしも人口比にこだわらなくとも良く、都市と地方・東西のバランスを確保すべきとの原則を定めた上で、基本的には選挙人の判断に委ねて良いと考えます。

人口比に応じて選ばれる選挙人が各人の判断で国会議員を選ぶ以上、「代表者の選出に関する国民一人一人の投票価値の平等」は担保されているとの認識に基づくものです。

このように考えれば、一人一票の原則を守りつつ国会議員の大幅減員による税金削減と質の確保の双方を実現できると思われるのですが、どうでしょう。

同様の試みは、国会だけでなく地方議会(県議会・市町村議会)でも行ってよいのではと考えます。例えば、間接選挙を前提に、専業議員は「地方自治のプロ」として辣腕を振るう力のある数人程度に大幅に絞り込み、その代わり、選任時に期待された実績が出せないと、選挙人の判断で相応の期間で任期終了・解任するなどの形で緊張感のある議会運営をさせてよいのではと思われます。

それこそ、地方自治法14条などを改正し、条例で独自の機関設計が一定程度できる制度ないし特区を設けてもよいのではないでしょうか。

現行法制度を詳細に検討した上で述べているわけではありませんが、案外、憲法改正をしなくとも公選法その他の改正で実現できそうな気もしますので、選挙制度の専門家などに試案として考えていただければと思っています。

 

盛岡市議との懇談会と「弁政連のあるべき活動」に関する幻の意見書(最終回)

前回までに引き続き、先日の盛岡市議さん達との懇談会のため用意した(ものの出番なく葬られた)レジュメを載せます。

今回=資料3は、先般の市長選で当選された内舘茂市長の公約を市役所が実施しようとした場合、地域の弁護士がどのような形で役に立てるか、テーマを絞って考えたものとなっています。

標題のテーマ(地方で執務する弁護士が、地方における民主主義と人権保障の拡充の向上のため何を考え何をすべきか)に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

私にとっては残念な会合となりましたが、これまでお名前や写真等しか存じなかった何名かの市議さんに初めてお会いできたことは、有意な経験だったと思うことにします。

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資料3 内舘市長の公約等に関するノンポリ無党派弁護士からの一考察(雑駁なもの)

もともと、これが「当職が担当を配点されることになったきっかけ(元凶?)」ですが、資料1・2の作成で力尽きたこともあり(所詮「おまけ」扱いですし)、すいませんが、今回は簡易なレポートとさせていただきます。

ここでは、内舘市長の公約を網羅的に分析等することはしませんが、パンフレットなどからは次のようなものが掲げられていると理解しています。

Ⅰ 地域内の様々な経済的・社会的弱者支援

①高齢者等の交通支援(ミニバス・乗合タクシー)=(自動車に依存しない)外出支援
②戸別訪問ゴミ収集・在宅医療介護強化等=外出せずとも各種サービスを受ける制度
③Uターン就職者への返還不要奨学金、学校給食無償化・センター整備や保育料無償等
④いじめ対策、習熟度別の学習支援、不登校他ハンディキャップ児童等の教育環境整備
⑤教員の増員と就業環境改善
⑥市長対話・住民対話部門、除雪部門強化、各種DX、公共交通整備、自転車専用道路

Ⅱ 地元経済・事業者の活性化支援

①地元企業の売上向上支援、上場支援、起業支援、起業等移住若年世代の定住支援
②地域の魅力発信と各種文化・産物の魅力強化(いわゆるブランド化=高付加価値化)
③地域の歴史文化(街並み)・先人(原・新渡戸・啄木等)の発信強化(VR等)
④社会的弱者向けの街並み整備(点字・スロープ、トイレ整備ほか)
⑤各種ボランティア活動に対するポイント付与(市内商業施設での還元)
⑥公共施設での再生エネ事業、エネ地産、EVスタンド、農業支援等

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全般的な特徴は、社会的弱者支援が強調され、対人給付(奨学金や各種無償化=税対応、ポイント制など)が多く掲げられている(インフラ整備的なものは強調されてない)ことだと思われますが、ここでは政策自体の当否や財源問題などは取り上げず(その検討は、第一義的には議員さんのお仕事でしょう)、これらを実現しようとすれば、法制度上どのような課題が生じるか、実現のため弁護士がどのように役立てるかを検討対象とします。

ただ、網羅的な検討はできませんし、公約の大半が税金の使い道を述べているに過ぎず、市民生活や企業活動等への規制等を掲げた公約がほとんどみられないため、前者(法制度上の論点)は一旦置いて、後者(弁護士の使い道)を中心に検討します。

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例えば「いじめ対策」や教員支援などに関し、近時は、いわゆるスクールロイヤー(教育委員会や学校法人等の依頼により、学校で生じる諸問題について継続的に相談や事件対応に応じる弁護士)が提唱されています。

内舘市長も範としている?兵庫県明石市は、人口比に照らし「日本で最も弁護士が常勤職員となっている自治体」と言われ(平成30年は7名とのこと)、教育委員会に所属しスクールカウンセラーやソーシャルワーカーと共に市内公立校の各種問題に専業的に対処する弁護士職員もいる(いた?)そうです。

この点は、弁護士会の「こども委員会」や「法教育委員会」の所属弁護士の方々(今回も参加されています)に発言を求めれば、様々な意見や提言がなされるのでしょうが、明石市のように「弁護士の常勤職員を多数雇用する」形でなくとも、市内の多数の弁護士の参画を得て、生徒や教員、或いは保護者等の様々な相談に対応する仕組みを作ることは、さほど難しくないと思われます。

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問題は予算措置(カネ)で、法テラスと連携したり、国の補助金対象事業化をお願いできれば有り難いですが、高額な予算がなくとも一定の対応は直ちに可能と思われ、弁護士会などに制度設計を要請の上、議会等で導入を検討いただければ幸いです。

スクールロイヤーや学校を巡る法律問題に関心のある方は、学校教員でもある弁護士の方が執筆した、神内聡「学校弁護士」(角川新書)をぜひご覧下さい。

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その他、高齢者・障碍者支援であれば弁護士会に担当委員会がありますし、地元企業の支援の一環として弁護士への相談等補助も検討いただきたいです。

カネの支援が無理でも、相談や事件対応のため必要となる事務作業などを、行政や商工会議所などが補佐する仕組みがあってよいと思います。

少なくとも、ご本人が適切な準備や作業ができないため、相談等できずに終わっている事案や、相談等がなされても「その先の作業=解決」に繋がらずに終わってしまう事案は珍しくありません。

歴史的景観保全等のための街並み整備などは行政の規制や居住者等支援が必要な分野ですが、日弁連公害環境委員会ではそうしたテーマも取り扱っており、条例整備であれ、個別事案対応であれ、市の顧問弁護士事務所の方々と役割分担をしつつ何らかの第三者的な形でお役に立てることはあるかと思います。

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市議の方々は、市長の公約云々に関係なく、市内の様々な課題を掘り起こし(光を当て)解決を推進することが求められていることは申すまでもありませんし、「掘り起こし」をする上で、市内で活動する弁護士達に、現在はどのような事案の相談や依頼等が多いか、どのような問題が発生しているか(住民や地元企業がどのようなことで困っているか)を定期的に聴取して全体像を把握し、それに基づいて市のあるべき施策を提言していくことは、市議会に求められている役割の一つだと言うべきではないかと思います。

私に関して言えば、震災前に山ほど受任していた個人や企業の債務整理等が大幅に減少した反面、近年、増加傾向にある類型として、次のものがあると感じています。

①全く身寄りの無い方の相続(相続人不存在事案や、被相続人と全く交流のない遠方在住の多数の甥姪などが相続人となる事案など。隣人が世話したり高額な相続預金等を有する例もある)

②老齢の親が重大な障害を抱えた子と二人だけで暮らしていたが、様々な事情で同居等が困難となり財産管理等のため弁護士の支援が必要となる事案(重大な紛糾例を含む)

これらは、社会内の人間関係(家族・親族・地域その他)の希薄化で「ひとりぼっち」「二人ぼっち」家庭が非常に多くなった結果として生じているもので、盛岡に限らず全国的な現象だと思いますが、被相続人の死去で、遠方の甥姪等(往々にして大都会に在住)に預金が移転(盛岡から流出)することが多いほか、相続人不存在であれば、国庫帰属の形で、国が全て取得する(市役所や県には一円も入らない)形となります。現行の相続財産清算人(管理人)制度の運用にも、疑問を感じる点は色々とあります。

ただ、そうした事案では、「もしかしたら、ご本人(被相続人や被後見人等)は、そのような形で財産が流出するのではなく、地元の近しい関係にある方に引き継いだり、地元のため有効活用して欲しいと願っていたのではないか」と感じることは珍しくありません。

条例で「相続人不存在事案を国庫帰属ではなく地元自治体へ」と定めても無効になるでしょうが(地方自治法14条)、例えば、推定相続人(財産を相続する予定の方)がいない(身寄りのない)方や推定相続人と疎遠になっている方(市民)に向けて、積極的に遺言書の作成(自身の死去後の財産等のありかたの検討)や弁護士等への相談等を促す施策があって良いのではと思います。

その一貫として、多額の資産(相続財産)をお持ちの方には市役所などへの寄付を呼びかけても良いのかもしれませんし、それは後見人無報酬事案の補助原資にもなりうるでしょう。

もちろん、その前提として、そうした方の生活を様々な形で行政が支援することが伴われるべきでしょうが。

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ご承知のとおり、盛岡市民には市役所から「健康診断に行って下さい」というカードが毎年送られてきます。身体の病に限らず、社会生活上の様々な病の未然防止のため、様々な論点・事案(必要性)を具体的に紹介し、「弁護士などに相談して下さい」と市の広報などで呼びかけることは、あって良いと思います。

岩手弁護士会サイトの弁護士名簿をご覧のとおり、岩手の弁護士の過半数以上が盛岡で執務しており、盛岡市(市役所・市議会)は弁護士の活用について強いアドバンテージを持っていると言えます。皆さんにも、そのことを生かしていただければ幸いです。

長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 

 

盛岡市議との懇談会と「弁政連のあるべき活動」に関する幻の意見書(第3回) 

前回に引き続き、先日の盛岡市議さん達との懇談会のため用意した(ものの、ボツ扱いで葬られた)レジュメを載せます。

今回=資料2は、盛岡市議の方々に、地方議会・議員として弁護士という存在=インフラを、どのように活用いただきたいか、考えたことをあれこれ述べています。

標題のテーマ(地方で執務する弁護士が、地方における民主主義と人権保障の拡充の向上のため何を考え何をすべきか)に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

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資料2 弁護士・弁政連と市町村議会議員の交流等のあり方に関する一考察

皆さんは、上川あや「変えてゆく勇気」(岩波新書)を読んだことはありますか?

これは、性同一性障害が社会に認知される以前の時代に、その「心」を持って生まれた筆者(MtF)が、艱難辛苦を乗り越え前向きに生きようとすると共に、区議会議員に立候補して当選し、性同一性障害性別取扱特例法(特定の要件のもと、戸籍上の性別を変更=人格に適合させることができる法律。先日、手術要件の違憲判決がなされた)の制定運動にも携わった方が、立法運動を含むご自身の半生を語った本(平成19年出版)です。

僭越ながら、私は、この本に、資料1で述べた「住民の民意反映と人権保障の担い手」としての地方議会議員の「あるべき姿」の一例を見る思いがしています。

と同時に、本書で描かれた上川議員の熱意と工夫溢れる立法活動を拝見すると、社会的的課題を立法(法律制定)によって解決するためには、立法化を強く希望する方が当事者として地方議会議員となり主要国会議員(政府を運営する関係者)に強く・賢く働きかけ理解を得る形をとらなければならない(そうでなければ実現は困難であろう)と感じます。

今や、盛岡をはじめ各自治体で「同姓パートナーシップ制度」の導入が盛んに行われていますが、本書が出版された平成19年当時には、現在の光景はほとんどの人が想像していなかったでしょう。

当事者でもある上川議員に限らず多くの方々の地道で熱心な活動の積み重ねと、それが(世界の潮流も含め)徐々に社会内で理解を得てきたことが、現在の光景に繋がったのだろうと思われます(某市長の当選もそれに似ているのかもしれません)。

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このような「小さい(ごく少数だ)けれど切実な声」は、LGBT等に限らず、社会に様々な形で存在しているのだろうと思います。自分達の地域社会に間違いなく存在するであろう、そうした声を拾い集め、専門家の力を得て、様々な艱難辛苦を受けつつも現実的に可能な解決に向けて努力していく。それこそが、皆さん(地方政治家)や我々(地方のフツーの弁護士)のあるべき仕事の一つであろうことは、申すまでもありません。

医療の世界では「かかりつけ医」が提唱されて久しいですが、地域の伝統的な相互扶助システムが崩壊し揉め事を仲間内で解決することが困難となった現在では、社会生活上の病の治療の担い手としての弁護士の果たすべき役割が飛躍的に増大しています。

そうであればこそ、地域住民の多くが、ご自身や大切な方に問題が生じたとき解決を真っ先に相談に行くべき「かかりつけ弁護士」を持つべきと言えるでしょうし、かつての「二割司法」の時代は弁護士大増員により終わりを告げ、それが可能な人的供給は十分に整えられた(整えられつつある)と言えます。

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とりわけ、支持者・支援者をはじめ多くの地域住民と関わりを持つはずの地方議会議員の方々は、様々な困りごと・悩みごとの相談等を通じて「これは(議員マターではなく)弁護士に相談して解決すべき」と感じる点があれば、地域内の弁護士への相談等を勧めていただきたいと思いますし、そのような意味で、地方政治家の方々こそ、そうした用途を含めた「かかりつけ弁護士」を(得意分野や年代別などに応じて)複数擁しておくことが望ましいと言えるでしょう。

何より、上記の理由(隣近所や親族との交流が絶え、勤務先の人間関係も希薄だなどという、かつて社会にあった地域相互扶助が崩壊したことに伴い、地域の相互扶助の再構築が求められていること)から、助けを求めている住民と、ニーズに応えられる専門家との媒介役(仲介者)としての地方政治家やその補助スタッフなどに求められる役割は、飛躍的に増大していると言えるはずです。

・・・が、盛岡で開業してはや20年。私(小保内)自身は、ただの一度も政治家の皆さんから、相談者のご紹介などを受けたことはありません・・

盛岡市議会や岩手県議会などでは、コイツに紹介するのだけはやめておけ、という悪評でも立っているのでしょうか?(笑?まあ、皆さん、重鎮の先生方や優秀な若手の方々を紹介され、しがない町弁は相手にされていないのでしょうが・・)

それはさておき、既述の理由から、地方政治家こそ「かかりつけ弁護士」を持つべきであり、多数の弁護士が参集する場で一人一人の顔や人となりを見ることができる「弁政連との懇談会」は、ご自身や支援者のための「かかりつけ弁護士」を選ぶ場(相性を含めたマッチング)としての機能も持ちうるものと言えます。

そのような観点から、この機会を積極的に生かしても良いのではないでしょうか。
(便乗して当方の営業活動をしているわけではありませんので、ご理解ご容赦のほどを)

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ちなみに、10年以上前、盛岡ではない某市役所の無料相談会を担当した際、地元の市議さんが、相談者に付き添って何度か来所されたことがありました。

私の知る限り当職への法律相談等の場に盛岡市議さんが同席されたことはありませんが(そもそも、どなたも紹介いただけないし・・)、とりわけご高齢の方などは、ご本人が当方の説明内容を十分にご理解いただけない場合もありますので、ご自身が同席されるかはさておき、そうしたことへの支援も地方議員さんの役割の一つとして考えていただいても良いかと思います。

盛岡市議との懇談会と「弁政連のあるべき活動」に関する幻の意見書(第2回)

前回に引き続き、先日の盛岡市議さん達との懇談会のため用意した(ものの、会場でボツ扱いになり闇に葬られた)レジュメ(資料1)です。

標題のテーマ(地方で執務する弁護士が、地方における民主主義と人権保障の拡充の向上のため、何を考え何をすべきか)に関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

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資料1 日本弁護士政治連盟や弁政連岩手支部の「きほんのき」と実情・課題の考察

日本弁護士政治連盟は、日弁連の政策を立法等を通じ政治的に実現することを目的として昭和34年に設立され、昭和期はさしたる活動がみられなかったものの、平成期には、隣接他士業(司法書士・行政書士・税理士・弁理士など)の職域拡大に関するロビー活動に触発される形で全国の弁護士会ごとに支部設立が行われるようになり、岩手支部は平成23年(震災直前)に設立されています。

岩手支部は、発足以来、概ね年に1~2回の頻度で、県内選出の国会議員や岩手県議会議員の方々との懇談会を実施しており、基礎自治体(市町村議会など)との交流は前2者と比べて少ないものの、数年前には盛岡市議会議員の方々との懇談会を実施しています。

他方、首長(知事・市町村長)との懇談会等は、岩手では実施例がありません(他支部=他県等では実施例もあります)し、自治体行政部局との関係でも同様と思われます。

弁政連本部(日弁連会長OBなど重鎮の方々)は、定期的に主要各政党や政府(弁護士出身の政務三役、とりわけ法務省関係者など)との懇談会を行っているようです。

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冒頭のとおり、弁政連の趣旨・目的は「日弁連ないし弁護士業界が、社会正義や弁護士業務の適性確保などの見地から実現したい(すべき)政策(立法=法律・条例等の制定や行政による事業化・予算措置など)を政治部門を担う方々(議員や首長)にお伝えし実現を要請させていただく点にあります(他士業と違い?職域拡大への関心は低そうですが)。

そして、法律実務の専門家集団たる弁護士の団体である以上、単なる「陳情」に止まることなく、条例その他(政策実現のための各種文書)の起案であるとか、条例等の必要性を支える基礎事実(いわゆる立法事実)の収集・分析・報告等、政治部門(議員や首長、行政部局など)との折衝、さらには自分達の陳情だけでなく、政治部門の要請に基づく法律実務シンクタンクの受託者そしてロビー活動の従事者・補助者としての役割を果たすことが期待されていると言えます。

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が、いち末端窓際会員としての私が垣間見てきた限り、岩手支部は言うに及ばず弁政連本部や他県支部などが、その役割を現に果たしているのか判然とせず、実情としては各種議員さん達との単発的な(悪く言えば、その場限りの)懇談会等を続けているだけのように感じています。少なくとも、個別の陳情について、条例等であれ議会の決議等であれ、政策として実を結んだという話を聞いた記憶がありません。

また、岩手支部の過去の岩手県議さんとの懇談会では、関心をお持ちの議員さんが多いテーマ(震災対応、養育費など)を取り上げた際は、多くの質問等があって盛り上がったものの、その議論等が「その後に具体的な政策として生かされた」という話は存じません。

まして、多くの議員さん方に馴染みの薄いテーマ(ご自身の社会生活や議員活動で現に取り扱ったり接することが乏しい事柄。例えば、司法制度改革、刑事法制等)については、担当弁護士の資料に基づく説明を聴取等いただく以上のやりとりは無かったと思います。

所詮、相手(議員側)が強い関心を抱いているわけではない事柄の陳情(説明)ばかり繰り返しても、相手が関心のない(自分=話し手しか関心がない)話題で異性を口説こうとしているようなもので、上手くいくはずもありません。私が今回「内舘市長の政策を取り上げては」と話したのも、まずは聞き手が関心を持つテーマを懇談の対象とすべきでは(相手のニーズに適うサービスから始めるべきでは)と考えたからでした。

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また、弁政連のあるべき活動は、いわゆるロビー活動(ルール策定交渉)や「最近話題の法的論点」について政治家の方々と懇談等することに尽きるものではありません。

地方議会の主要な目的(活動原則)は、地方行政の運営者である首長及び自治体各部局に対し、適切な自治体運営がなされるよう監視や評価を行い働きかけることにありますが(盛岡市議会基本条例2条参照)、議会ないし各議員は、住民の代表者として選挙結果に基づく地域内の民意を適切に反映させる(民主主義)と共に、多数決の横暴・濫用にならぬよう、住民全員の権利擁護や福利(人権保障)も確保する(行政に確保させる)姿勢も強く求められている(それが憲法の地方自治制度に対する付託である)と言えます。

地方自治の本旨(憲法92条)は、団体自治(中央政府からの独立)と住民自治(民意反映)が強調されることが多いものの、根底には「多数決原理と人権保障の調整」という統治機構制度の全体に流れる基本思想を含んでいる=地方政治家はその担い手であることを銘じていただきたいと思います。

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そうであればこそ、地方政府の意思決定権者(首長及び地方議会議員)がご自身の職責を適切に果たすためには、人権保障の「もう一人の担い手」たる法律実務家(弁護士等)との協働(時には緊張関係)が不可欠なのであり、双方(地方政治家と地域内弁護士)は、様々な形で、「互いに関わる(刺激し合う)こと」が求められていると言えます。

米国では国会議員が議員立法などを行うため法律専門職たるスタッフを抱えることが珍しくないそうですが、それを直ちに模倣することは無理でも、例えば、市議会の委員会活動の充実化のため、弁護士会や個別弁護士に協力を求めること(そうしたものを通じて、日常的に業務上の関わりを持つこと)はあってよいはずです。

この機会を「単なる世間話と酒飲みの会」で終わらせないためにも、これを機に、皆さんの方から「よりよい市政のため、弁護士(会)にこうしたことをして(検討して)欲しい」と働きかけていただくことを、ぜひご検討下さい。

 

盛岡市議との懇談会と「弁政連のあるべき活動」に関する幻の意見書(第1回)

本日、弁政連岩手支部と、盛岡市議会の最大会派「盛友会」の議員の方々との懇談会があり、名ばかりですが支部の理事をしていることもあり、参加しました。

それに先立つ支部の会議で「内舘市長の公約や市政の課題に関し弁護士の観点から議論すべきことを取り上げることはできないか」と述べたところ、支部長の先生から、貴方が準備しなさいとの指示を受けたので、自分なりに考えたことをレジュメにまとめて用意しました。

が、当初から予定されていた他のテーマ(成年後見人の報酬助成等)のほか、直前に別のテーマが追加され、それらで時間切れだとの理由で、当方のレジュメ等には一切触れられることもなく、あたかも最初から存在しないものとして、終了が宣告されてしまいました。

私は、支部運営をされている他の同業の方々とは活動のあり方について多少異なる考え方を持っているほか、私よりも若い方々とは人間関係も希薄で疎遠になるばかりの有様で、その点も、そうした取り扱いに繋がったのかもしれません(心底嫌われているのかもしれませんが・・)。

ともあれ、いじめ被害だなどと嘆いても致し方ありませんし、もともと様々な方に考えていただきたいテーマでもありましたので、市議の方々にお伝えするのに代えて、こちらで掲載することとしました。

地方の弁護士と地方議会議員が関わりを持つ意味、或いは地方自治における民主主義(国民主権)と人権保障の実現・調整などという抽象的なテーマに関心のある方は、ご覧いただければ幸いです。

まあ、私にとっては日暮れて道遠しというほかなく、己の無力を嘆くばかりですが・・

今回は、レジュメ本文を載せ、第2回から第4回までは今回の末尾に資料1~資料3として表示(記載)した文章を載せることとしました。

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弁護士政治連盟・岩手支部 R05.11盛岡市議(盛友会)懇談会 担当資料
~弁護士と市議会議員との交流のあり方に関する考察と実践について~

文責 弁護士(弁政連岩手支部会員・理事) 小保内義和

はじめに(本稿の経緯及び趣旨について)

今回、盛友会(盛岡市議)の方々との懇談会を行うにあたり、どのようなテーマ(市議の皆さんへの陳情対象)を取り上げるべきか、支部理事会で協議がありました。

その際、会内で長年の課題になっている「成年後見人の無報酬事案に対する公的助成」(身寄りのない方への公的支援その他の必要性から後見申立がされ、弁護士等が後見人に選任されることになったが、被後見人が資産ゼロで僅かな年金又は生活保護費しか収入がなく、施設費や生活費等で完全に使い切ってしまうなど、後見人への報酬原資が全く無いため、後見人がタダ働きせざるを得ない=自営業者たる弁護士には本来は受任不能の事案について自治体に報酬相当額の助成を陳情したいという件)を取り上げるべきとの意見が出ました。そして、後見等に関する他の問題の説明等も含め、Y弁護士に担当いただくことになりました。

が、それ以外に、どのようなテーマを扱うべきか、さしたる意見が出ませんでしたので、当職から次のような意見を述べました。

「内舘市長の当選に伴い、新市長が従前と異なる新たな政策等を打ち出してくると見込まれるが、推進の立場であれ批判の立場であれ、掲げられた政策を実現する上で取り扱わなければならない(直面する)であろう法的課題を検討・協議することが、市議会議員と弁護士の懇談のテーマとして相応しいのではないか。

いずれの立場であれ、市長・市役所(行政側)が承認を求めてきた政策について、実現する上で直面するはずの課題を抽出し、賛同側であれば解決の道筋を立て市長・担当部局に提言したり、反対側であれば、解決困難な法的論点を確認・指摘し市長らに軌道修正を求めることが、市議会議員に求められる主要な役割の一つというべきである。

ゆえに、その前提(議員が職責を全うするための補佐)として、政策のうち法的な事柄について、課題の抽出や検討、提言(多数の住民にとって利害関心のある事柄についての法的シンクタンク機能)を担うこと(そして、それを議員側が活かすこと)が、弁政連=地元弁護士集団と地方議会議員との交流のあるべき姿ではなかろうか」

・・結論として、「だったら、お前がやれ」ということで、担当のお鉢が回ってきました(余計なことを言うんじゃなかった?)。

ただ、その後、テーマが追加(生活保護、再審)され、私の担当は「その他」=オマケ扱い(時間切れならカット)となったので、長講釈は不要であることが分かりました。

また、事前情報によれば、今回の懇談会は谷藤前市長の慰労会と重なり、議員の方々の多くが懇親会(宴会)の途中で退席なさるとのことで、他の方々の報告・懇談のあとは、むしろ、フリートーク的な場にした上で、議員の方々に弁護士(弁政連)に期待すること(自分達=市議会・市政のため汗をかいて欲しいと思っていること)などを自由に語っていただいた方が望ましい(ので、私が下らない話をベラベラ喋って時間を浪費しない方がよい)とも思われました。

また、私の知る限り、これまで「何のために我々(弁政連岩手支部)は地方議会議員の方々との交流の機会を求めているのか(地方政治家と地方の弁護士との関わりは何のためにあるのか、何を目指すべきなのか)」について、原点・本質に立ち返った協議等をしたことが無く、一度はそうしたことを整理してお伝えすべきではないかと思っていました。
 
そこで、私の担当時間(せいぜい10分程度?)は、これらに関する基本的な考えや、内舘市長の掲げた公約等について、私なり「弁護士の立場から見た感想」、或いは、この機会に議員の方々にお伝えした方が良いと考えたことなどをレポートにまとめて、手短に口頭でお伝えし、あとは、それを踏まえて、感想であれ、ご自身のお考えであれ、議員の方々に(とりわけ懇親会に不参加又は途中退席される予定の方を中心に)、自由にご発言いただくこととしました。

交流の実を結びますよう、積極的なご意見・ご発言をよろしくお願いいたします。

なお、申すまでもありませんが、今回のレポートは全て、私(小保内)個人の意見等を述べたもので、弁政連や岩手支部としての見解等では微塵もありません(内部で取り上げられることもないので、折角の機会を活用し、これまで思ってきたことを書いてみました、というのが実情ですので、関心のある方は、後ほどチラ見いただければ十分です)。

【添付資料】
1 日本弁護士政治連盟や弁政連岩手支部の「きほんのき」と実情・課題の考察
2 弁護士(ないし弁政連)と市町村議会議員の交流等のあり方に関する一考察
3 内舘市長の公約等に関するノンポリ無党派弁護士からの一考察(雑駁なもの)
4 当事務所ブログ集(今回に関わりのあるもの)
①上川あや氏(世田谷区議)の著作書評、②前回市長選の投票日直前に掲載した論考

(以下、次号)

 

子供達が身を立てるようにするため、我々は何をすべきか

今年の春頃に函館ラ・サール学園(中学・高校)の学内誌に投稿させていただくことになったので、折角の機会ということで、読み手の迷惑を顧みず?これまで色々と考えていたことを長文で書きました。

下記は学校側に送信した原文であり、1箇所だけ学校側にカットされた箇所がありますが、敢えて原文のまま載せました。

学園祭に赴いた際、他の生徒さんのお母さん(面識のない方)から「貴方の文章が一番面白かった」などとお褒めいただいたので、中学受験や寮のある中学高校にお子さんを送り出すことに興味のある方、これから本格的な育児(お子さんの勉強等の世話)を始める方々などには、参考にしていただければ幸いです。

***

【本学園そして君自身が生き残るため、我々は何をすべきか】

今回は、支部長退任にあたり、卒業生や新入生・在校生及び保護者の方々に本年度の盛岡支部長として御礼等のご挨拶を行うことが投稿の趣旨・目的と認識しています。

もとより、この1年間、多くの方々に支部活動を支えていただき、改めて御礼申し上げますが、本稿では通り一遍のご挨拶に代えて、勝手ながら制限字数も無視して、表題のテーマについて述べさせていただきます。

私は本校を平成4年に卒業しましたが、当時と現在では1学年が半分になった生徒数をはじめ、様々な点で違いが大きい、端的に言えば、数だけでなく比率の点でも、いわゆる難関校、とりわけ東大など最上位の大学に進学する生徒が減少したことは否めません。過去の本誌を見ても、そのことに言及し奮起を求める投稿が時折寄せられていたと思います。

そうした大学に進学したわけでもない私が偉そうなことを述べるつもりはありませんが、手元にある同窓生名簿を見ると、私の学年の理系クラスの頁には進学先がA大学医学部やらB医科大やらが延々と並ぶ偉容或いは異様な光景が広がり(我々文系クラスはピンキリでしたが)、かくいう私も、難関校に進学した同級生の背中を学んだことが後に活きたと思っていますので、子供にも優秀な同級生の背中を学べる機会を提供するのが親の務めだと、ぢっと手を見ながら赤字仕事に明け暮れているところです。

それはさておき、「当時との違い」の原因について様々な見解が表明されていますが、私は最大の要因は総体としての少子化もさることながら、北海道の札幌一極集中=地方の衰退や貧困の進行・激化だと推測します。

私の時代、北海道の公立校は「地区外2%」のルールがあったのだそうで、道内にライバル私立校もない当時は、札幌・旭川以外の「北海道の田舎」の優秀な子供は悉く本校に集結し、多くが難関校に進む光景を見てきました。本校の名声の原動力は、自宅生もさることながら、そうした道内の田舎の英才を吸収できた点にあるでしょう。

これに対し現在は当時と比べ札幌への一極集中が進み、地方都市に赴任する高学歴・高所得者層も家族は札幌在住、という方が珍しくないはずです。

主要都市圏以外の地方圏の経済的疲弊も著しく、子弟を本校に進学させることができる所得者層もかなり減少したと思われます(岩手でも強く生じていますが、北海道では特に顕著と推察します)。そして、札幌の競合私立校の出現により、北海道の南端である本校の道内からの集客環境は、ますます厳しいものとなりました。

ちなみに、当時の岩手からは、たまたま盛岡に赴任されていた「全国を渡り歩く転勤族(高学歴・所得者層)の子弟」が本校に入学し、難関校に進学していました。現在、転勤族も家族は東京等に暮らして単身赴任したり全国転勤(支社)自体が減っているはずです。

このように、本校は大都市圏はもとより地方の他の進学校と比べても外部環境の悪化が著しく、現在の教職員の方々や生徒さん達がどれほど頑張っても、長期的には存続の不安を抱えていると評しても過言ではないと思われます。

では、我々は緩やかな滅びの道を迎えるしかないのか。以下、私なりに考えてきたことを述べます。

当家に限らず、都市集住や職住近接の必要等から狭いマンション暮らしを余儀なくされる多くの共働き世帯にとって、子供が若いうちから自立し、家が広くなり家事の負担も軽減する本校という選択肢は、学費等の調達さえ可能なら十分に魅力のあるものです。

と同時に、今や、高密度労働を要求される者同士の夫婦(いわゆるパワーカップル)が圧倒的に増えた現代では、都市部を中心に、本校のサービスを必要とする世帯はむしろ激増したと言えるでしょう。

もちろん、それは親のニーズだけでなく、狭い自宅で家庭の不和のリスクを抱えながら暮らすよりは、親から自立し本校の特異な環境に飛び込む方が成長に繋がるお子さんも、相応にいるのだろうと思います。

私の時代に東京などから来た子はほとんどいませんでしたが、その光景が様変わりしたのは、単に本校が中学受験に参入したからというだけに止まらず、その点が影響しているのではと推察します。

また、以上とは逆の話になりますが、岩手では盛岡圏以外に住む子が盛岡の学校に進学する場合、自宅からの通学が困難で、下宿の費用負担は本校の寮費を超えることも珍しくないと聞いており、本来は盛岡圏以外の世帯の方が本校のニーズがあり、現に、高校進学後に本校を知って後悔した方もいると聞いたことがあります。

しかし、近年の岩手からの入学者が盛岡市民ばかりという光景が示すとおり、その需要層に届くような広報・宣伝がなされているとの話を聞いたことがありません。

学校をはじめ関係者の方々におかれては、地元小中学校へのパンフ配布の類に限らず、以上に述べた本校への需要がある様々な世帯・親子の心に突き刺さる具体的な宣伝活動をお願いしたいですし、OBや保護者などにも協力を求めていただければ幸いです。

岩手から本校中学に進学する子がほとんどないように、岩手では中学受験は今も「遙か遠くの私の知らない世界」ですが、岩手でも「二月の勝者」の光景に意義や価値を感じる方が、「生まれた場所の違いで、その後の人生に大きなハンデを子供が負うことになるかもしれない」と人知れず思っているかもしれません。

北東北でも本格的な中学受験を経験したい層にとって、本校中学は事実上、唯一の選択肢と言えるでしょうし、本校はそうした世帯に中学受験の世界の光景と併せて強く存在をPRしていただければと思います。

例えば、北東北でも、進研ゼミなどを片手に悪鬼の如く小学生と格闘する親御さんは、中学受験の有無にかかわらず多数おられるでしょうが、教材等で「寮制学校特集」などの形で本校を取り上げて貰い、その上で、保護者やOBの豊富な体験談・成功体験を詳細にまとめたサイトを紹介し誘導する、といった取組はあってよいはずです。

綺麗事ばかり述べるのではなく、寮生活の現実と厳しさ、親子に期待される事前の訓練や入寮後のあり方等、ある程度、踏み込んで伝える方が、受験を検討する方々の支持が得られるのではと思います。

昨年から今年にかけて、本校・寮内で深刻な問題が複数生じたとも聞いています。実現の形は様々あれど、本校は勉強で身を立てる志を持つ者が来るべき学校であり、勉強以外の事柄が生活の中心になるべきではありません。

教職員の方々は授業をはじめ生徒がその志を実現するためのお仕事に尽力されているのでしょうから、前提部分は利用者たる本人と保護者の側で適切な事前準備や支援を行っていただきたいです。

逸脱行動の大半は、本校・寮の高ストレスな環境や本人の未熟さ以上に本人が心の奥底に何らかの問題を抱えている点に原因があり、その問題は家庭など生育環境を通じて形成されるのが通例と認識しています。

保護者自身が「学校が躾をしてくれる」などと甘えや期待を抱くことなく、お子さんとの関わりを通じてそのことに向き合っていただければと思います。

昔と異なり、地域社会や自身の両親などからさほど育児の支援を受けられないことが多い我々の世代は、自身の未熟さも含め、様々な課題を抱えながらお子さんを送り出さざるを得なかったとは思いますが、今だから・ご自身だからできる各人の方法と熱意で、お子さんの心を支えていただくようお願いいたします。

中学であれ高校であれ、本校に「第二志望」で入学された方は、少なからずおられると拝察します。かくいう私も第一志望の大学に合格できませんでしたが、諸々の努力の末、当時の中央大生としては早い時期に司法試験に合格し身を立てることができました。

そうした経験を持つ生徒諸君も、本校・寮で嫌な思いをすることは多々あるとは思いますが、勉強の雪辱は勉強で果たすとの気持ちで、優秀な他生徒の背中に学び、人間関係の諍いの類に囚われることなく死に物狂いで努力して下さい。

最後に、これまで学校の外周などを歩く機会が何度かありましたが、多くのゴミが散乱しているのを残念に感じました。とりわけ、不織布マスクなどプラスチック製のゴミは、雨水を通じて街中から河川に流入し、ほどなく様々な形で海洋生物に危害を加え、やがて後世の人類に深刻な影響を及ぼすことは、すでに誰もが知っているはずです。

フェンスに散らばる多くのプラゴミが放置されているのを見ていると、その向こうで生徒諸君が部活に邁進する姿に心から応援したいという気持ちは起きません。

私は少し前から、商品購入等を通じて受け取った小さなビニール袋を捨てずに持ち歩き、付近で見かけたプラゴミをビニール越しに掴んで(これなら他人のマスクでも拾えます)裏返して結び自宅や職場のゴミ箱に捨てることを、ささやかながら続けています。単なる自己満足ですが、何もしない傍観者よりはマシでしょう。

今も、体育の授業や部活の一環で、学校の外周などを生徒が走ることが多くあると思います。可能なら、走行のついでに各人がビニール袋を持ち、ゴミも拾っていただければ、汗をかく気持ちよさも格段に上がるのではないでしょうか。

願わくば、勉学や部活の精励と共に、皆さんがそうした形で「美しい学校、美しい函館」を取り戻すことにも尽力いただければと、出身者の一人として遠い岩手から願っています。

長文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

地域の大物達が去って行く光景と託された課題

半年も前の話ですが、当事務所の最初の顧問先になっていただいた会社さんの経営者の方(以下、Aさん)が亡くなられ、葬儀(お別れ会)に伺いました。

この会社さんは二戸を代表する企業の一つであり、Aさんは私の亡父とも大変親しくさせていただいた関係で、開業祝い?として顧問契約をしていただき、以来、良好なお付き合いをさせていただいています。

Aさんは当事務所の開業時点で経営者としては息子さんに代替わりをされており、仕事上のお付き合いはありませんでしたが、二戸の慣行?として、

お盆に付き合いの深い方々の家々を廻って神棚・仏前にお参りする

というものがあり、以前はAさんも例年、私の実家にいらしていただき、留守番担当の私が亡父や兄に代わりAさんをはじめ実家にお越しいただいた方々にご挨拶していました。

その際に限らず、二戸RCの家族会など子供の頃から何度もお会いした方でもあり、祭壇できちんとお別れの挨拶ができたので、その点は何よりでした。

葬儀自体はトンボ返りで事務所に戻りましたが、折角ということで中学の同級生のご実家だと聞いている堀野の食事処に立ち寄り、引用のとおり、鶏丼を大変美味しくいただいて帰りました。

先般もお盆で帰省しましたが、ウイルス禍に加えて世代交代・慣習変化などの影響が重なり、地域の人々がお盆に親しい家々を廻る(拝みに行く)習慣は、十数年前と比べて大幅に減少しているようです。

それ自体は諸々の理由からやむを得ないのだろうとも思いますが、そうした慣行に支えられていた地域社会の相互扶助の精神(人々のつながり)までも大きく後退しているのではと、残念に感じる面もあります。

私は地域の相互扶助・交流等の再構築が現代社会の大きな課題の一つだと思っており、そのような目的のためWeb等が良好に活用されるべきだと感じています(が、社会内でさほど有意な取組がなさているとは感じていません)。

FBも有意義な投稿を拝見する機会が減り、広告や見ず知らずの外国のミニ動画ばかりが表示され、残念に感じていますが、可能なら、そうした精神を支えるツールとして活かされてくれればと願っています。

恐らく、そうした再構築の努力もAさんや亡父から我々の世代が託されたことの一つだと思って、ささやかながら、こうした投稿を細々と続けている次第です。

 

RC会長幹事会への路線バスの旅と懐かしき未来

所属団体の役職にご縁のない私には珍しく、7月から盛岡北ロータリークラブの幹事を拝命しています。8月末の話で恐縮ですが、先日、盛岡8クラブの会長幹事会(と称するタダ酒の会)があり、私の生活圏から遠く離れた盛岡グランドホテル(以下、GH)にお邪魔してきました。

が、今年は(華やかな生活をされている他の同業の方々と違って)昔の稼ぎで会費を払っている落ちぶれ町弁ですので、タクシーなどという文明の利器にはご縁が無く、愛宕山をビュンビュン上っていく黒塗りの運転手付き高級車などを横目に、遠慮無く市バス+徒歩で往復させていただきました。

ちなみに、落ちぶれていなかったJC現役時代(10年以上前)は、当時GHに無料バスがあったのを知らず、JCの例会等の都度、ウロウロと流しのタクシーを探して何度も中央通を彷徨ってました。あの頃のタクシー代を返してくれ。

お開きの際、タクシー希望を問う設営ご担当の質問に、どこかの社長さんが「俺、バスで帰る」とジョークを仰っていたのですが、さすがに「お仲間ですね。一緒に内丸まで歩きましょう」とは言えませんでした・・・

その日のGHは、私の勘違いでなければ、著名力士さんの祝勝会?があったようで(入場前のお姿をチラ見しました)、そちらは終了後に参加者向けの送迎バスが待機していたので、便乗してこっそり乗り込みたい誘惑に駆られましたが、

「なんだお前、どこのドイツだ」

とお相撲さんを囲む会の方々に言われ、

「すいません。貧乏ロータリアンなので一緒に乗せて下さい」

と哀願したのがバレて会長幹事会に出禁→幹事クビ・・・という光景が目に浮かんできたので、見栄を張って泣く泣く歩いて帰ることにしました。

幸い、完全徒歩帰宅を覚悟していたところ、内丸に到着したところで、ちょうど信号待ちしていたバスに乗り込めましたが。

ともあれ、某大事件の起案締切がフニャコ氏状態でしたので、いつかは余計なことを考えずお酒を楽しめる身分になりたいと願いつつ、さっさと風呂に入って事務所に戻った次第です(着いた途端にスイッチが切れたかは覚えていませんが・・)。

酒の勢いで戯言ばかり書きましたが、設営いただいた盛岡南RCの皆様、ありがとうございました。

***

以上の内容をFBでコメントしたところ、著名実業家でありながら、敢えてバス利用を実践されている某社長さんより暖かいコメントを頂戴しました。

恥ずかしながら当方は車社会ズブズブの身で、盛岡で市バスのお世話になったのは本当に久方ぶりなのですが、若い頃に戻ったような感じもして刺激になりました。

思った以上に快適に利用できたので、これを機に交通利用について考え直してみたいと思います。

次いで、某事件で大変お世話になった先生から「お電話いただければ、送迎しますよ」などと妖しい?コメントもいただきましたが、その先生の運転だと、女の子が溢れるお店に到着して尻の毛まで抜かれる展開を想像せざるを得ませんでしたので、謹んで遠慮させていただきました(笑?)。

 

岩手弁護士会・会員名簿のビックリ情報とデタラメ翻訳の世界

良い子のみんなのお待ちかね、本日の岩手弁護士会びっくり情報だよ~

本日たまたま会員名簿を閲覧しようと弁護士会サイトを検索したところ、なぜか「中国語(繁体字)のページを翻訳しますか?」と表示されました。

ターゲット言語が日本語と表示されており、日本語を日本語にでも翻訳するのかと思って?何も考えずに翻訳ボタンを押したところ・・

当事務所が「北オーストリア法律事務所 内 浩峰 義和」と表示されてました!

その上の東海林先生の事務所メンバーも、大変なことになってるし・・

これらはまだマシな方で、登録順ナンバー2の大重鎮・安達孝一先生は、

「チャブ法 安田 浩一」

チャブ法って何だよ・・あんまりだ・・

その他、当事者が見たら吹き出しそうなメチャクチャ表記が多数出てきて、大笑いまくりで老化克服にもバッチリという感じです。

左脇の自治体名の表示も「北リスティング市」など味わい深いものだらけです。

というわけで、ぜひ、皆さんも岩手弁護士会名簿にGO!

ともあれ、幾つかの写真を載せておきますので、ご参考まで。

なお、本日は弁護士会の相談担当日であり、事務局には報告済みです。

あと、翻訳しますかボタンを無視すれば通常どおり閲覧できますので、念のため。

以上、岩手弁護士会非公認組織・地下広報部からのお知らせでした。

追記。「ターゲット言語を日本語」というのは、よくよく考えると、文字のうち中国語(繁体字)にあたると判断したものを勝手にソレの日本語にあたる言葉に置き換える、という意味なのでしょうね・・ともあれ、昔の海外旅行あるあるの「メチャクチャ日本語案内文」の世界を堪能できました。

    

 R05.10.20 追記

発見時、まさかヒマな中国人ハッカーの攻撃か?と勘違い?したこともあり、念のため、昨日中に弁護士会事務局にお伝えしたところ、先ほど、「業者に連絡して速やかに改善させる」とのご連絡をいただきました。

反面、後になって、既にご存知で密かに楽しんでいた(ので、小保内、余計なことしやがってと怒っている)先生も多数おられるのではと怖くなり、お詫びを兼ねて?また、未見の方々は、今のうちにご覧の上、日頃のストレスを解消していただきたく、先ほど弁護士会MLでもお知らせしました。

サイト修正後(閲覧不能後)に本投稿に気づいて「ああ、見たかった・・」という方は、当職ブログ記事でご満足いただければと思いますが、せっかくなので盛岡と一関(いちかん市)ほか、現時点で翻訳表示されたものだけPDF保存しており(花北は事務所PCでは何度押しても表示されませんでした)、欲しい方はご遠慮なくどうぞ。