北奥法律事務所

岩手・盛岡の弁護士 北奥法律事務所 債務整理、離婚、相続、交通事故、企業法務、各種法律相談など。

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個別の法的問題等

憲法記念日に考える「万物の尊厳」と書籍出版を夢見る日々

本日は憲法記念日ということで、多少は憲法を取り上げた記事を見かけますが、新コロ禍に遭遇後の社会では憲法論議は盛り上がらず、中国等との軍事的緊張により9条改正論にジワジワと賛意が広がりつつあるのかな、でも、それって日本人にとって望ましい憲法論なのかな、と残念に感じているところです。

私は数年前から「人にあらざる存在すべてに対する各々の特質に応じた尊重(万物の尊厳)」を個人の尊厳(13条。日本国憲法の最高原理)と共に憲法に書き込むこと(13条の2の創設)こそが、この国が最初に経験すべき憲法改正ではないかと感じ、2年前に岩手日報に投稿したのをはじめ、何度かこのテーマに関する投稿をしています。

内容自体、現代日本そして世界に必要と感じているだけでなく、日本が最初に経験すべき憲法改正は、日本の固有の精神性に根ざすのに憲法制定時に見落とされた価値で、これを宣言することが世界に歓迎・祝福されるものであるべきだと思っており、万物の尊厳は、その要請に合致すると確信しています。

本日のNHKのニュースで、公明党の山口代表が「加憲」を強調していましたが、万物の尊厳は、加憲の具体例の一つと言えるかもしれません(私は創価学会さんとはご縁がなく同党の支持者でもありませんが、自身が帰属した社会で与党内野党的な立ち位置になりやすい面はあり、何らかの近接性があるのかもしれません)。

1年以上前から、できれば、このテーマで1冊の本を書いて世に問いたいと夢見ており、1冊分の自費出版の費用なら、どうにか捻出できないわけではありませんが(家族には浪費だと目の敵にされるでしょうけど)、雑多な対応を余儀なくされる日々に追われ、夢のまた夢の状態が延々続いています。

今年のGWも、仕事が若干一区切りついた反面、未読の日経新聞が1年以上溜まっており、たった今から速読するか、起案を優先するか、悩んでいる有様です。

田舎の零細自営業者には「採算を問わず、出逢った仕事群に立ち向かう自由」と「それを断って立ち行かなくなる自由」しかありませんが、20年もこの仕事をしているのに、仕事を手短に賢くこなす(立ち回る)能力が今もロクに身につかず、一杯一杯のときに少し「まあ、これでいいや」的な対応をした途端に泣きを見る有様ばかりで、今も目眩を覚えないでもありません。

せめて、同じ志を共有して下さる方との出逢いに恵まれればと願いつつ、そうした時間を得るためにも、まずは目先の仕事に悔いの無い対応をしたいと思います。

ご近所の「倒壊寸前で飛散リスクのある危険な家」への現行法での対処と法整備の必要性

先日、モーニングショーで「八王子駅前にある、倒壊寸前で飛散危険が濃厚なのに頑なな高齢?姉妹が居住し悪臭被害などを生じさせている家」を特集しており、空き家ではないので現行法では対処が困難だ、近隣住民への迷惑行為を理由に逮捕しても解決にはならないよね、とまとめていました。
https://www.j-cast.com/tv/2021/03/23407797.html?p=all

理屈の上では、現行法でも、社会通念上、通常ありうる程度の風水害(数年に1回程度の台風とか?)で建物が飛散し我が家に突き刺さる(人に当たる)程度の危険があることを立証できれば、その危険に晒される方(近隣住民)は、物権的妨害予防請求権等を根拠に、その危険を除去するため必要相当な工事(撤去も?)を民事訴訟で求めることは可能なはずです。

具体的な立証手段としては、上記内容を説明した建築ないし風水害の専門家の意見書などということになるのではと思います(具体的に見たことがあるわけではないので、抽象的な説明でご容赦ください)。

ただ、そのような前例があるかと言われると、ちょっと聞いたことはなく、この種の一般条項の適用に関する訴訟となると、世間の強力な後押しなどがないと裁判所が非常に慎重な姿勢を示すことも、容易に予想されるところです(この事案でも、弁護士に相談し同種の説明を受けた方が現におられるかもしれません)。

その上で、常識的に見て、そのような高度な負担を近隣住民(たまたま近くに居住等しているに過ぎない人)に強いることが適切とは思われませんし、駅前の歩行者など膨大な利害関係者がいるのですから、行政が動くべき事案であることも、誰もが感じるところではと思われます。

結論として、建築基準法などを改正し、「通常の風水害でも倒壊・飛散などの危険がある水準の構築物(一定程度以上の安全性すら満たさない構築物)は、自治体が支障除去の改善・措置命令を下すことができ、それに従わない場合は代執行も可」という法律(具体的な基準は構築物の内容・性状等に応じた専門家の適切な知見に基づく)を作る必要があると思われます。

番組で取り上げられた八王子の事案は時価7000万円相当の土地とのことで(事案の内容からも恐らく無担保でしょう)、それだけの価値があれば代執行費用を担保とした仮差押など?を通じて費用回収は容易でしょうし、売得金などで費用を回収することを前提に、本人に一定の補償を行い、行政が物件自体を収用することも検討されてよいかもしれません。

条例で定めてもよいのではと思われますが、憲法訴訟を覚悟の上での制定となるでしょう。

ともあれ、この種の報道をご覧になる方は、「話し合いで解決すべき問題」で終わらせるのではなく、「立法の不備」の問題と理解いただき、話し合いでの解決を促すためにも武器としての適切な法律が設けられるべきだ、と政治家その他の方々に働きかけていただければと思っています。

私は現在、盛岡市内にある数十年放置された「台風で飛散等の危険のあるバラック(の敷地)」を相続で取得した方の依頼で、そのバラックを法律上の理由なく占有し延々放置している方(先方は、被相続人からの贈与や時効を主張)に明渡請求訴訟を行っており、先般、概ね認容の判決を受けたものの、先方が控訴したため、第二ラウンドに移行したという案件を扱っています。

依頼主は周辺への被害防止のためにも勝訴後は直ちに撤去等を実施したいと希望しており、そのためにも迅速な解決を目指して闘っているところです。

震災の際にも、津波ではなく内陸(一関など)で「隣の壁が倒壊するなどして被害を受けた」と何度か相談を受けたことがあるほか、雪国では「隣の雪で被害を受けた」云々の相談を受けることが頻繁にあります。

これらも基本的に上記と同じ問題と理解しており、すべて法律等を適切に整備すれば大幅に改善できることだ(反面、その整備がなされていない現状では、弁護士の力だけで希望を実現するのは困難)と感じています。

関係者及び国民全体の奮起と現代の感覚に即した公私の調整を行う土地法制の再構築の議論が盛んになることを願うばかりです。

 

闇金や過払などを巡る、町弁たちの過去と現在

1~2年前、十数年ぶりに「幾つかのヤミ金からお金を借りた方」からの債務整理事件を受任したことがありました(他にも負債があり、現在は、それも含めて対応を完了しました)。

平成14~17年頃はヤミ金の嵐が吹き荒れており、当時はヤミ金のチンピラあんちゃん達とげんなりするだけの不毛な長電話のお付き合いを何度も余儀なくされました。

平成18年頃からはそうした相談が全く来なくなり安心していたのですが、まだこんな話に関わっている人もいるのかということで、あんちゃん達の脅迫的言辞にげんなりしつつ、とりあえず急性期のやりとりだけは終えました(なお、2~3年前は「給与ファクタリング」なる新型ヤミ金が流行しており、この案件もその一種だということを、ほどなく知りました)。

その2~3日後、当事務所のメール送信コーナーから、全く存じない方から、「北奥法律弁護士事務所の代表山田という方からメッセージが届いたのですがこちらの方ですか?」とのメールが届きました。

とりあえず、そのような者はおりません(事務所名もビミョーに違います)とだけ回答して、それ以上のやりとりはありませんでしたが、或いは、闇金の連中が、報復としてピザ注文等の代わりに当事務所の名前を騙って架空請求メールを世間に送りつけるようなことをしたのだろうか?と憶測せずにはいられませんでした。

そう思った矢先にTVを見ていたところ、震災前後から「過払回収の宣伝行脚」を延々続けていた東京ミネルヴァ法律事務所(今年、悪徳?広告会社による過払金の搾取=巨額の横領を理由に倒産して社会問題になりました。なお、この文章は1年ほど前に書いたものです)が30分もかけて特集番組を行っており、チラ見だけでげんなりして他局に替えると、今度は過払大手の代表格である某社の過払CMが出てきました。

そのため、うんざりしつつも、現在の状況で今もこの人達はそのやり方で商売をやっていけているのだろうか?と思わざるを得ませんでした(事実、東京ミネルヴァは上記の展開になりました)。

闇金の嵐が吹き荒れていた時代は、いわゆる過払特需(とバブル崩壊に伴うサラ金全盛時代の終焉)の初期ないし前半というべき時代でしたが、震災の前後から、当事務所ではその種の仕事(多数のサラ金等から膨大な約定債務を負った方から受任し、引直計算で多額の過払金を請求する類もの)が激減し、震災から5年ほどの時点で過払関係の仕事自体がほぼ無くなりました。

債務整理の受任が無くなったわけではありませんが、大体は、収入等がかなり低い方の自己破産(扶助事案)か、民事個人再生(住宅ローン返済中の方の大幅減額か一定の支払能力があり破産不相当の事案)に限られ、過払に特化した相談自体がほとんど来なくなりました(グレーゾーン金利撤廃後に借入を開始したのに過払金が請求できないかと尋ねてくる方はいましたが)。

その主因がグレーゾーン金利の撤廃により「過払そのものが今後は発生しなくなったこと」であることは間違いありませんが、震災前後から前出のような東京の弁護士達が巨額の?広告費用を投入し全国津々浦々の田舎(地方都市)まで「過払は俺たちにやらせろ」とやってくるようになったことも、少なからぬ影響を及ぼしているのでしょう。

いわば、小型漁船漁業者たちが「去年は一杯獲れたけど、今年は魚群が少なくなってきたなぁ」と感じていた海に、トロール(底曳網)船が大挙押しかけた光景に近いものがあります。

ただ、小型漁船漁業者たち=債務整理に力を入れていた地方の若い世代の弁護士は、弁護士会でさしたる力もなかったせいか?(或いは、当方と異なり過払に頼らなくても十分な収入のあった人も多かったのか?)私の知る限り「トロール船をウチの海に来させないよう、或いは来ても跳ね返せるよう、皆で団結して圧力を掛けよう」などと運動する光景は、私の知る限りでは、ほぼ全く見られませんでした(まあ、弁護士業界の性質という面も大きいでしょうが・・)。

ちなみに、ここ3~4年に当事務所が従事した過払案件は実質2件、うち1件は「若い弁護士さんがポカをし後始末のため私が物凄い苦労を余儀なくされ、辛うじて一定の成果を得た案件」、もう1件は「昔はすんなり決着した中堅サラ金に『もはや支払能力がない』と延々ゴネられ、最後は、依頼者がリスク回避のため相手の提示額で諦めた案件」です。

時給換算では事務所が維持できないレベルの依頼しか来ていませんし、今後は、もう過払とは縁はないだろうと基本的には思っています(今年は、東京ミネルヴァの元顧客案件を含め、若干のご縁がありましたが)。

まあ、それでも何とかこなすことで、辛うじて事務所を維持できているというのが当方の偽らざる実情ですので、今も有り難く多数の不採算案件に邁進しているわけですが・・

ともあれ、そうした光景に接してきた身としては、債務整理は「顧問などを沢山抱えて潤っている弁護士達に心底敬遠され、儲からない?(良心的な?)弁護士だけが手がけていた」という、昔々(私がなりたての頃)の光景に逆戻りした印象が強くあります。

ただ、受任しても昔ほどは感謝してくださらない方が増えたような気がしないこともない、というのが時代というか弁護士業界の現実かもしれませんが。

そんなわけで前述の番組やCMに対しては、色々な意味で、複雑な印象を受けながらチラ見していたのですが、積読状態の日経の橋田壽賀子氏の私の履歴書(昨年5月分)の「おしん」の下りを今更読んで胸のつかえもとれたということで、駄文はこの辺にして仕事に戻ろうと思います。

(この文章は、1年ほど?前に作成したものの掲載を失念して放置し、今、気づいて掲載した次第です)。

 

Web上の誹謗中傷に対処する制度の改善を巡る動きとIPアドレス開示等に関する4年半前の提言

現在、Web上の誹謗中傷が大きな問題となっている女子レスラーの方の件については番組等を拝見していないので詳細を存じませんが、そこまでの規模ではないものの、同種の問題については、数年に1度ほど、相談等を受けることがあります。

ただ、被害者から投稿者への責任追及となると、投稿者の特定のため最初に必要となるIPアドレスの把握(仮処分など)に時に容易ならざる面があることが災いしてか、未だにほとんど取扱経験がありません。

IPアドレス開示のための法的手続(仮処分)については、サイトによっては外国が絡んだりするなど色々とハードルや問題があり、現在も東京の限られた弁護士さんでないと対応が難しい面はあろうかと思います。

IPアドレスを通じて投稿者の契約先プロバイダさえ分かれば、その後の手続はフツーの町弁でも対応可能だと思っていますので、もし、今回の残念な事件を機に、制度の改善が図られるのであれば、この「入口」の件について、簡易迅速にサイト運営者側から開示を行うための法制度を講じていただきたいと思っています。

この点、5年近く前にツィッターのなりすまし被害の相談を受けた際、当該サイトは外国企業が運営している関係で法的措置に幾つかの難点があり、その克服のため次のような制度を導入してはどうかとブログで述べたことがあります

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①被害者が警察や弁護士などに適切な申告を行い、警察などがサイト運営者に開示するよう要請すれば、直ちに開示する仕組み・慣行を整備する

②他の方法として、被害者からサイト側にアドレス開示要請があれば、サイト側は特定の行政機関(消費者庁など)に投稿者のIPアドレスを直ちに通知するものとし、その上で、行政機関が被害者へのアドレス開示の是非を判断する(却下されれば、被害申告者は行政手続で開示を求める)。

サイト側が行政機関の要請に従わない(通知しない)ときは、行政機関はサイトの閉鎖命令ができる(ので、通知制度の実効性が担保される)。

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他方、投稿者の賠償責任についても、以前に投稿者側から相談を受けて色々と調べたことがありますが、判例検索で出てきたのは、かなり込み入った事情のある特殊性の強い案件が多く(そのため、高額になりがち)、この種の投稿の典型と思われる「ちょっとした私怨・不満を晴らしたくて、Web上で他者の悪口を書いた」とか「Web上で誹謗中傷が横行している人の件で便乗して自分も少しだけ悪口を書いてみた」というケースで、どの程度の金額が通常なのかという相場観が判然としないと感じました。

また、既述の理由から、現在の法的責任追及には高額な調査費用が避けて通れない面がありますが、その費用負担という問題もあります。

そのため、被害者側だけでなく、加害者側も落差が大きい(たまたま見つかった人だけが不相当に高額な賠償負担を負わせられやすい)面があるのではとも感じています。

不正投稿を行った人の全部又は大半に、社会通念上適切な法的責任を果たす仕組み(被害者が重い負担を負わなくとも加害者を特定しやすい仕組み)を整えると共に、それを前提に、実害が乏しく第三者から見れば軽率との非難で足りるようなケースでは加害者側の責任も過度に重くなりすぎないようにすること、また、早期・確実に責任が問われることの周知などを通じて肝心の抑止力を高めることが、求められているのではと思われます。

引用ブログは4年半前の投稿ですので、現在では通用しない(前提などが異なっている)記載もあるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

併せて、実名・匿名の区別のあり方(匿名投稿を誰もが自由に行うことができる現在の状況が良いのかどうか)、開示(ひいては賠償責任)を要する誹謗中傷と、そこまでの必要は認めがたい正当な批判や軽微な揶揄の類との線引きなどについても、議論が深められることを期待しています。

企業倒産の実務と経営者保証ガイドライン(盛岡北RC卓話)

先日、盛岡北RCの卓話を担当したので、時勢も踏まえ、企業倒産の実務を取り上げることにしました。

金融機関以外にはほとんど負債のない事業者であれば、経営者保証ガイドラインにより破産よりも遙かに良好な解決を得やすいのですが、世間一般には知られていませんので、同GLに力点を置いた説明にしました。

卓話で用いた事例とレジュメの目次を掲載しますので、事業者の方などは参考にしていただければ幸いです。

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小問1 

岩手県内で物販業(一般向けの生活用品の販売等)を営むA社の代表取締役Bは、長年に亘りA社の営業不振が続き、日々の運転資金の支払も銀行借入や各種債務の延滞などをしなければ困難な状況に陥り、現状では営業の継続は不可能と考えた。A社は、銀行3社(岩銀、北銀、みずほ銀)に計1億円(岩5000万円、北3000万円、み2000万円)、取引先20社に未払買掛金計2000万円(最大500万円、最小10万円)、未払公租公課(税金、社保料など)4庁・計500万円の債務があり、賃金も2ヶ月分・従業員10名計400万円が未払となっている。

他方、現時点の資産は、手持ち現金が50万円、未収売掛金が10箇所計300万円、商品在庫などが多数(定価どおりに販売できれば1000万円以上だが、販売目処の立たない老朽在庫も多い)となっている。

Bは、銀行3社(1億)と取引先も4社ほど(800万円)、連帯保証している。

A及びBの債務問題を解決するため現実的に可能な法的手続は何か、法的手続の概要や、受任弁護士が特に検討・対応すべき課題などを説明しなさい。

小問2

岩手県内で飲食店を営むC社の代表取締役Dは、先般から社会で生じた問題により数ヶ月売上の急減が続き、手持ち資金に余裕があるうちに、経営継続を断念することとした。Cの債務は、金融機関2社に計5000万円(東銀3000万円、公庫2000万円。D保証付き)のほかは、20万円以下の小口の買掛が数件あるのみである。他方、Cの営業資産は限られたものしかないが、現在300万円の現預金がある。Dは預金300万円のほか、数年前から住宅ローン返済中の自宅があり、Dは近々転職し給与収入で住宅ローンの支払を続けたい希望である。

C及びDにとって最も賢明な「店じまい」を実現するための法的手段は何か。また、実現にあたって特に検討すべき点を説明しなさい。

【目次】

第1 様々な債務を抱えながら資金枯渇した企業の倒産処理
1 企業の債務整理・倒産処理に関する法的制度
2 個人の債務整理・倒産処理に関する法的制度(参考)
3 東日本大震災で被害を受けた企業等を対象とする特例的な救済手続
4 新型ウイルス禍に伴う支援制度の紹介例や弁護士会等の取組み等

第2 小問1 多額・多様な債務を負う一方、現預金が足りない企業の場合
1 A社の手続の選択と初動対応
2 破産手続(申立後)の一般的な流れ
3 Bの手続

第3 小問2 ほぼ金融機関の債務だけの小規模事業者が早期撤退する場合
1 C及びDの置かれた状況と方針選択
2 経営者保証GLスキームに基づく会社債務の整理(換価・弁済)
3 経営者保証GLスキームに基づく保証債務の整理

第4 結語
かつてのように「生命保険で支払う」などは絶対にしない・させない

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以上の内容について、ご自身(の所属団体など)で話を聞いてみたいという方がおられれば、ご遠慮なくお声がけください。

JCのための憲法学ともう一つの憲法改正論~H30.11講義の雑感

1年半も前の話で恐縮ですが、平成30年11月に、以前に投稿した「岩手のJCの方々(日本JC岩手ブロック協議会)向けに憲法についてお伝えする企画」があり、1時間弱ほど、岩手の現役JCの大物の皆さんに、私なりの考えをお話させていただきました。

以前にも書いたとおり、「いわゆる護憲でも改憲でもなく、ノンポリ無党派層の立場から、党派色のある方々とは全く異なるアプローチで、憲法及び憲法改正について私の考えをお伝えする」ことは、長年、自分がなすべきと思いながら実践できずにいましたので、ささやかながらも、ようやく宿題の一つを実現できたと、お声がけいただいたことに大変感謝しています。

ただ、JCIクリードと日本国憲法の類似性に関する話に時間と労力を使いすぎ、それ以外の話をあまりできなかった点は、悔やまれるところですが・・

こんな機会は二度と無いでしょうから、後日にレジュメを公表するつもりでしたが、諸事に追われ、1年半を経過した今も、まだ着手できていません。その代わりといっては何ですが、さしあたり、今回は当日の雑感を少々述べます。

①JCの卒業時にT君達から頂戴したネクタイを着用して行ったところ、運良く?T君をお見かけしたので、冒頭に「これ、T君にいただいたネクタイなんです。私、JCに入会したとき、『弁護士なのにしゃべりイマイチだね』と言われた輩なんで、本日も上手く話せないと思いますが、T君に免じてご容赦下さい」と軽妙なトークができればと思ったのですが、口下手なので、やっぱり言えませんでした・・

②久しぶりにお会いしたN理事長さんに「この人、こんなに美人だったっけ?」とびっくり。長年、盛岡JCに多大な尽力をされた方なので、しかるべき立場についたオーラの影響もあったのかもしれません。

昔々、東北ゼミナールに出向させていただいた際、東北地区の会長さんだった「秋田の女傑」と呼ばれた方が放っていたオーラに通じるものを感じました。

で、そのことも「ツカミ」で話そうかと一瞬思いましたが、純朴な岩手の田舎者には無理な注文でした・・

③こんな機会は二度とないと思い、クライマックスの場面で、昔から一度は言ってみたかった「皆さん岩手の人間は、何度も時の中央政府と戦い続けた蝦夷の末裔、戦闘民族なんです。○イヤ人みたいなもんですよ!」と興奮気味?に話しました。

が、ネタ的にぶっとび過ぎたのか、笑いはいただけず、ポカ~ンといった感じの反応でした。

ちなみに、コレも間違いなく「憲法の話」です。たぶん。

④盛岡JC次期理事長のIさんから(私がたった一人で提唱する憲法改正案である)「万物の尊厳について、もっと熱く語って欲しい」と大変有り難い言葉をいただきました。

で、本来であれば、持ちネタである「縄文と弥生の結節点としての岩手(が有する未来への役割)」について熱いトークをしたかったのですが、あがり症なので、「私、ケチで貧乏なので食事を残すのが食べ物に申し訳なくて、いつも盛岡北RCの例会でYさんと一緒に2~3人分食べてるんです」といったレベルの話しかできませんでした・・

ともあれ、JCの方々に、司法試験受験生が学ぶようなごくオーソドックスな憲法学、憲法観をベースとしてJC活動の意義やあり方をお伝えするのは、私にとって現役時代にやり残したことの一つでしたので、今回、参加いただいた皆さんに(一部、かなりぶっとんだ話だったにもかかわらず)好意的に対応していただいたことも含め、大変ありがたく思っているところです。

お声掛けいただいたB君をはじめ、日本JC東北地区岩手ブロック協議会の皆さんに御礼申し上げると共に、個人の尊厳と国民主権をはじめとする憲法の価値を実現するためのJCの地道な活動の更なる深化を、心より祈念する次第です。

ちなみに、曲がりなりにもOBですので講演料はありませんが(交通費のみ)、代わりに?岩手のワインと日本酒を有り難く頂戴しました。

CMやネット広告で「任意整理」を宣伝する都会の弁護士等の仕事に接して感じた疑問について

震災の前後から、東京の弁護士や司法書士の事務所が、CMやらチラシやらで出張相談会と称して過払だ債務整理だと喧伝してきた光景には、「見飽きたよ」という方も多いだろうと思います。

過払に関しては、平成18年頃の法改正により我々「フツーの弁護士」には震災後間もなくご縁がほとんど無くなり、私も、2年ほど前に最後の大事件(若い弁護士さんの尻ぬぐいで、無用の大論点まで引き受けて僅かな報酬でメチャクチャな苦労を・・)、昨年は回収の難しい事件が一つあっただけで、恐らく、もう過払には基本的にご縁がないのだろうと思っています。

それなのに未だにCM等で派手に宣伝する人達がいることに「商売が成り立つのか?」と不思議に思っていたのですが、その理由(カラクリ?)が多少は分かってきたような気がします。

ここ最近、これらの事務所に「任意整理」(リスケジュール)を依頼した岩手県民の方が、依頼から半年前後で「息切れ」して自己破産又は民事個人再生に移行せざるを得なくなったところ、その事務所に「破産や再生はウチではやらない。地元の弁護士に頼んで」と言われ、HP経由で当事務所にアクセスしたという方が何人かおられました。

で、その方々が全員というわけではないものの「ありがちな話」として、東京の弁護士等の請求(報酬基準)により、任意整理の着手金を1件あたり5万円(税別。以下同じ)とし、毎月5~6万円ずつを弁護士の指定口座に送金した後、半年ほど(入金総額が30万円ほど)した時点で、本人が、従前どおりの返済は無理だと「息切れ」して、その弁護士等に相談しています。

すると、その弁護士等から上記の「破産や再生はウチではやらない」との説明があり、ご本人との間でそれまでの受領額を清算しているのですが、着手金(単価×業者数)の総額(また、その間に業者とリスケ合意の書面を交わしたことを理由とする解決報酬金(1社あたり2万円など)を含む場合もあります)を控除し、従前の送金額30万円前後の全部又は大半を弁護士等が受領した上で「あとはよろしく」と手を引く、というパターンが多いように感じるのです。

これは、悪く言えば、受任通知を送付し業者の督促を止めただけ(あと、引直計算や減額の交渉もない単なるリスケ合意書を交わした程度)で1件あたり5~7万円(30万円前後)の費用を取り、本人が支払困難となるや、面倒な作業は他の弁護士に頼めと言って放り投げる、という「ボロい商売」をしているように見えます。

言い換えれば、そのような「後で払えなくなっても知ったことか」との前提で、半年ほど通知1本で督促を止める程度だけの仕事をする代わりに、20~30万円程度を本人から得ることができれば(それだけを延々と全国で繰り返すなら)、「過払なき後」も十分な収益が得られるとして、今はそれが目当てで彼らは未だに宣伝をやってくるのではないか、との印象を拭えないのです。

そういえば、震災前後に「楽して儲かる大手相手の高額過払ばかり受任し、面倒な小規模業者への過払請求は受任拒否する(東京の)弁護士が一定数いる」との話を聞いたことがありますが、上記の話も、その延長線上なのかもしれません。

ちなみに、岩手では、平成17年頃(私が岩手に戻った直後)の消費者委員会の内部規制で、任意整理の費用は1件あたり2万3000円(うち3000円が引直計算の手数料)という低額規制が定められ、当事務所は当時から10年以上に亘り、この単価で受任してきました。

引直計算が消滅した現在は、1件あたり原則2万円となっていますが、引直のあり方を巡る激論などはなく、本人が履行可能な弁済計画の策定など作業の多くが練達の職員が対応できるため、さほど不満はありません。

言うまでもなく、2万円は1件ごとの総費用であり「和解成立時の成功報酬」なるものは請求していません。

儲かりはしないが、こんなものでしょ、という感覚ですし、依頼者側の支払能力(岩手の所得水準?)なども含め、それが任意整理(単なるリスケ)という仕事には相応しい単価だと思います。

だからこそ「通常の消費者金融に関するリスケだけの仕事で1件あたり総額7万円」などという、当方の3倍以上の単価設定は、私には全く理解できません(昔の東京弁護士会の基準は、3~4万円+減額報酬金だったような気もしますが、私は、東京時代から着手金のみで対応し減額報酬金は請求しませんでしたので、それを理由に他の弁護士でなく私に依頼してきた方もいました)。

当方は現在もこの単価設定で行っていますが、岩手でも、この単価で行っているのは、当時の消費者委員会の議論を知る人だけかもしれません。

多少の違いはありますが、これは、法テラス(低所得者向けの立替制度)の受任額と概ね同一(1件だけならこちらの方が割安)のものとなっており、私としては、岩手弁護士会(の役員の方など)が全国に働きかけ、この「岩手方式」を全国標準にしていただきたいのですが、残念ながら、そのような話を聞いたことはありません。

また、もう一つ大事な点として、当方では、最初から任意整理(リスケ)に無理があると感じる方は、可能な限り破産又は再生を選ぶよう説得するので、現在は任意整理の受任は滅多にありません(これに対し、彼らはそうした検討や説得などを伴わず、リスケ希望があれば上記の受任費用を前提にその受任を機械的に行う面が強いように見受けられます)。

ただ、諸般の事情からリスケを希望される方はいて、その方が、やむなく破産・再生に移行したときは、それまでの業務量も考慮の上で、移行後の受任費用を減額する(リスケ費用を後者の内金扱いとする)のが基本となります。

これに対し「うちは破産・再生はやらないから他に頼んで」となれば、当然ながら、費用の二重負担は避けられません(そもそも、そうであれば、最初から説得したり費用や業務のあり方なども検討すべきでしょう)。

その上、上記の経緯で当事務所にアクセスする方々の多くが、支払能力が限られ、法テラス対象者又はそれに準じる方なので、なおのこと「最初から破産・再生相当だと分かりきった方に、解決費用の名目で半年ほど毎月数万円を自分達に支払わせた後、自分達の費用の支払が済んだら放り出しているだけでは(それって、体のいい収奪なのでは)」とも見えてしまう彼らの仕事の仕方には、到底得心できないと感じてしまうのです。

もちろん、私のやり方は(費用相場が岩手と東京で違うという話を一応別とすれば)、珍しいことでも殊更に褒めるような話でもなく、自分が引き受けた依頼者は、合理的な費用や手法を前提に最後の解決までなるべく面倒を見る、という弁護士としてあまりにも当たり前のことを述べているに過ぎませんし、個人向けの破産・再生が原則として「債務整理の基本のきのき」であることも言うまでありません。

よって、破産・再生はウチでは受けないから他の弁護士に頼め、という彼らのやり方が私には理解できません(ただ、彼らが放り投げた結果として、当方が「おこぼれ的受任」を得た面は否定できず、彼らを悪く言える立場ではないのかもしれませんが)。

残念ながら、現在の弁護士業界の内規や法制度にはこのような「都会の弁護士さんの仕事のやり方」に(明確に)NGを出すことができる定めはありません。

このような「実質的な中途辞任ケース」では、和解報酬金は返還するとか、着手金総額も一定の上限を設けるなどという対応が必要なのでは、と感じています。

もちろん、私自身が、高額なリスケ費用を請求し「本人(依頼者)から取れるだけ取った後は放り出す」などという路線に宗旨替えすることは耐えられませんので、今後も「こんなことがまかり通ってよいのだろうか」と感じつつ、淡々と後始末を続けていくだけ、ということになるのかもしれませんが、こうした話にも光が当てられることがあればと実務の片隅で願っています。

もちろん、個別事案ごとに様々な事情があり、方針選択などについては相応の事情がある場合もありますので、彼らが殊更に依頼者の犠牲のもと私利を図っているなどと、当然に思っているわけではありません(思いたくもありません)。

が、「そうであれば、費用であれ方針であれ、その事情を配慮したやり方というものがあるだろう」と感じることが多く、全体として「それって費用の取り方がおかしくないか」と感じざるを得ない(ものの、現行規制では私的自治の原則に阻まれ、是正=返金等を求めるのも現実的でない)というケースを目にすることが複数あり、思わず投稿せずにはいられなくなった、というのが正直なところです。

それだけに、全国的な実態の把握や議論の深まりを期待したいものです。

私が拝見した例がすべてだと申すつもりはなく、業務・金額とも特段の問題がない(或いは、私よりも遙かに良い)というケースも十分ありうるでしょうから、CMやチラシなどをすべて否定するつもりはないのですが、こと、現在の弁護士業界に関しては、依頼前であれ後であれ、セカンドオピニオン等を考慮する必要があるのかもしれません。

少なくとも、感覚的に疑念を感じる点があれば、そうすべきですし、それに至らなくとも、ご自身の感覚自体が鈍磨しているケースもありうるでしょうから、ご自身の信頼に値する知人への相談なども含め、健全・常識的な感覚を大事にしていただければと思います。

ウイルス禍における賃料問題と廃業支援としての経営者保証ガイドライン

新型ウイルス禍で休業等を余儀なくされる飲食店などが休業期間中も賃料の負担を余儀なくされ廃業等に追い込まれる(ので支援を要する)という問題は、4月下旬頃から都道府県や国レベルで様々な救済策が検討・実施され、今も流動的な状況にあると思われます。

私自身は3月頃には賃料問題は今回の件で特に立法的解決が求められる問題ではないかと思っていましたので、この報道(論点)の行方には強い関心があります。

この種の事件を手がけておらず、込み入った検討はしていませんが、一般論として、ウイルス禍による休業を理由に貸主に賃料を請求する法律上の権利が借主にあるか(現行法上認められるか)と言われれば、貸主から使用停止を求められるなどという特段の事情がない限り、非常に厳しいのではと現時点では思っています。

他の先生のブログで、物件価値の大幅下落を前提とした賃料減額請求が検討されていましたが、その先生も、その場合は鑑定が必要になるなど現実的ではないと仰っていたと記憶しています。

他方、借主が望まぬ休業で契約上予定していた使用収益(による賃料原資の獲得)ができず、塗炭の苦しみを強いられているのに、貸主のみが何のリスクもなく契約どおりの賃料を支払え、というのは社会的公正ないし公平の観点から、相当に違和感があります。

その先生のブログでは、貸主側からの相談で、借主より強硬な減額要請を受け、やむなく応じているとの話を幾つも受けているとの記載があり、実際には貸主も大変な目に遭っている事案も多いのでしょうが、現行法でルールがないため「良心次第・交渉(大声)次第」という歪な状態になり、トータルで不公正な光景も相応に生じているのではと危惧されます。

結論として、疫病などで休業が不可避の状況にある場合は、一定の算式を作成して相応の減免等の請求を簡易に認めると共に、貸主(ひいては、その先にある銀行等)にも、相応の受益的措置(建設費などのローン支払猶予と利息停止や債務減額、固資税などの減免その他)を講じるような法的措置を早急に講じていただければと考えています。

話は少し変わりますが、厳しい経済情勢に伴い全国的には廃業や倒産の報道も増えてきましたが、当方に関しては、現時点でそのようなご相談はまだ全く受けていません。

小規模企業の債務整理に関しては、最後の選択肢である破産と、現状では金額面で利用困難な民事再生のほか、事案次第では利用でき、自宅の維持確保など破産などよりも遙かにメリットの大きい解決になりやすい「経営者保証ガイドライン」という、第3の選択肢があります。

田舎の町弁にはあまり接点のない(ので、岩手でも経験のある弁護士は多くはないはずの)手法なのですが、私は2年ほど前に小規模な福祉施設の店じまいの事案で活用しており、先般も、ウイルス禍が原因ではありませんが、店じまいをせざるを得ないという小さな地元企業さんで、GLで解決できる事案を受任し、現在、各種対応に追われています(2年ぶりで、これが実質2件目なので、試行錯誤的を交えつつではありますが)。

経営者保証ガイドラインは世間ではほとんど知られていない制度で、私が受任した案件でも、ご本人に「本件は、個人再生が無理な事案で、破産も自宅を手放さざるを得ない、GLなら自宅を守ることができるはず」とお伝えすると、そんな制度があるのかと驚き、強い安堵を示しておられました。

それだけに失敗は許されないとの姿勢で臨んでいますが、現下の情勢により店じまいを避けることができなくなった企業の方が、GLによる解決が可能であるのに知識不足や出会いに恵まれないことなどにより、残念な選択に至ってしまうことがなければと、願っているところです。

著名人の不倫に伴う賠償問題への保険による損害填補に関する一考察

現在は新型肺炎騒動ですっかり下火になりましたが、先日まで人気俳優さんの不倫騒動の件で、改めて不倫という事象が世間の注目を浴びることになりました。

この事件自体には、職業柄その手の話は日常的に仕事で扱ってる(有名人にはご縁ありませんが)ということもあり、さほど関心はないのですが、「CM打ち切りで企業が事務所に賠償請求を予定」という報道もあり、普段扱っている仕事では出てこないようなカネの話については多少の関心があります。

この点、不貞に限らず薬物なども含め、有名人が不祥事を起こして降板等を余儀なくされて企業が巨額の賠償請求をするとか、金額があまりにも大きすぎて払えないんじゃないか、というニュースを最近はよく見かけるようになりました。

このような「本人の迂闊さが祟って巨額賠償」という事象で我々庶民がご縁がある話といえば、なんといっても交通事故であり、まともな社会人なら任意保険で備えをしているかと思いますし、近時は大企業の役員などが代表訴訟向け?の賠償責任保険に加入しているといった話もあります。

が、有名人(や被害企業)が「CM等打切に備えた賠償責任(被害填補)保険」に加入している(そのような保険商品が販売されている)という話は聞いたことがなく、もし社会内にそうしたものがなければ、いっそ、そのような保険を販売してもよいのでは?と思います(商品設計にはAIの助けが必要かもしれませんが)。

この場合、一般論として「不倫や薬物は故意行為だから保険の対象外(免責)だ」という議論があるかと思いますが、薬物はまだしも?不倫については、「犯罪じゃない」などと擁護する声があったり、発覚せずに逃げきる?ことができる方も沢山いるのかも(また、被害の程度は事案でまちまち)、ということで、多少なりとも保険に馴染むように思いますし、少なくとも、被害者側(企業側)については被害填補保険を希望する声はいくらでもあるのではと思います。

ただ、とりわけ賠償責任保険(不貞加害者自身が加入する保険)は、一定の自己負担(保険会社の免責額)が必要でしょうし、その額は一律ではなく保険会社が独自の調査や判断で設定するのが望ましいでしょうから、例えば、賠償額も実行リスクも大きい大物芸能人に対しては億単位の免責額が設定されたりするのではないかと思います。

結果として、不貞リスクのある有名人がこぞって保険加入すれば「自分たち(仲間うち?)でやらかした問題は、自分たちで責任をとる(ので、保険料減額のためにも問題行動自体をさせない)」という一種の相互扶助(と相互監視)の仕組みも期待できそうに思います(同じような話を産廃不法投棄の賠償問題で投稿したことがあります)。

ただ、加入する有名人や保険会社が設定した免責額のリストが流出するなどすれば、それはそれで大ニュースになってしまいそうですが・・

ところで、某先生がFBで「ニュースで大事になって加害配偶者(夫)や不貞相手(女性)に顕著な減収等が生じると結果として不貞被害者(妻)が慰謝料や養育費等を回収できないリスクが生じる」と指摘されていたのですが、そうであればこそ、CM等の企業や有名人に限らず、世間一般のために「ウチの配偶者にはその種のリスクがある」と感じる方のため「被害填補保険(交通事故の人身傷害補償保険と同じ)」を販売・加入してもよいのでは?と思ったりします。

もちろん、コレも保険会社の調査・判断で「あなたの夫は危険度が高いから保険料も高くなります」という、加入者にとってはゲンナリするような話が避けられないかもしれませんが。

ともあれ、賠償責任や被害填補保険による責任や被害への備えを行いつつ弁護士費用特約のような形で当業界への委任費用の負担を軽減する仕組みも構築していただければ、なおよいのではと思っています。

余談ながら、大河ドラマ「花燃ゆ」は最後を除いて(録画の強制消去被害に遭いました)見ていましたので、京都で「やらかしてしまった」久坂玄瑞と重なって見える面はありました。そうした意味(憑依??)では、俳優さんというのも恐ろしい職業なのかもしれません。

教員によるいじめ事件について、住民が懲戒免職を求める訴訟をすることができるか

先般から神戸市内の小学校で教員間の深刻ないじめがあったとの報道がなされており、台風禍やラグビーなどと並んで全国のご家庭の関心を集めているのではと思われます。

当初から世間の注目を集めていましたが、その後、悪質な行為の様子が映像で流れたり、被害者(たる教員の方)が被害届を提出したとか神戸市が給与差止の条例を制定・施行した等の報道もあり、どのような形で事件が収束するのか、まだ予断を許さない状況が続いています。

事件が報道された最初の時点で、私がもし兵庫県の教育委員であれば、事実経過の調査確認と共に、懲戒免職や退職勧奨(最低でも?停職処分)が可能か(また、懲戒免職・停職をした場合に対象教員から処分取消請求訴訟を提起された場合の勝敗の見通し)などを検討するのではと思いました。

が、その種の訴訟に経験がないので(判例地方自治などでチラ見だけはしていますが)、直ちに勝敗の見通しを聞かれても、なかなか即答は難しいです。

自作のささやかなデータベースを確認したところ、教員絡みの裁判例としては、①女生徒に悪質なセクハラを繰り返して懲戒免職→取消請求が敗訴(処分維持)、②女生徒に甘ったれメールを大量送信し懲戒免職→停職相当として免職取消、といったものなどがありましたが、「同僚へのいじめで教員を懲戒処分」という例は、チラ見限りでは確認できませんでした。

但し、民間企業ではそのような例は相応にあるでしょうし、かくいう私自身が、それに類する訴訟を手がけて大変な思いをしていたりもします。

他方で、仮に、教育委員会が停職未満の「寛大な処分」に止めた場合、全国の「けしからん族」の皆さんには、大変不満が残るところではと思われます。

このような場合、怒りに燃える?兵庫県民の方が「教育委員会は、いじめ教員を懲戒免職すべき法的義務がある、それを果たさないのなら、俺がやる!」と言って、義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項)により、自ら教育委員会を被告として訴訟提起することもありうるかもしれません。

県民というだけでは門前払いされそうですが、当該学校に児童が通学中のご家庭であれば、当事者適格が認められる可能性はありそうな気はします(転勤になればどうか云々や、本案以前に非申請型訴訟の訴訟要件を満たすのかなどの点はさておき)。

まあ、そこまでやるかという感じはあるでしょうが、仮に「全国の同じ憤りを感じている皆さん、私が頑張りますので、訴訟費用の援助をよろしく」とクラウドファウンディングを実施する人が登場すれば、多少は資金が集まりそうな気がしないでもありません。

他方、教員の方々も、そうしたリスクもありうるということで、仮に本案審理がなされる展開にでもなれば、保険会社が訴訟費用保険を用意し、それに加入して当該訴訟に補助参加するなどということもあってよいと思います。

なんだか醜いバトルロイヤルのようだ、などと言われるかもしれませんが、こうしたこともまた「教育現場のあり方を、役人(お偉いさん)任せにせず、住民(国民)が自ら動いて作り上げていく」という住民自治・国民主権のあるべき姿だという議論もあってよいかもしれません。

少なくとも、光景としては「原発事故で東電役員を不起訴処分としたのに不満を抱く被害者ひいては国民世論を踏まえて検察審査会が強制起訴を選択し、刑事裁判が行われる」姿に、多少は?類する面がありそうな気もしますし、この議論は「行政が適切な行政措置を講じない場合に住民等がどこまで関与(参画)できるか」という問題に広く当てはまるものとして、関心を持っていただいてもよいのではと思います。

まあ、「お前は単に弁護士の仕事を増やしたいだけだろう」とお叱りを受けそうではありますが・・